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謎の古代遺跡と封印されしもの(第2回/全3回)

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謎の古代遺跡と封印されしもの(第2回/全3回)

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第十一章 ――地下・第一層――

(あれはヤバいって、なんでこの階だけあんなに敵がいるんだ?)
 ミューレリアは第一層に足を踏み入れて間もなく、光学迷彩で姿を消したいたにも関わらず集中砲火を浴びせられかけた。幸い、超感覚で察知していたから回避出来たようなものだ。
(ガーディアンか、あれ。さっきのゴーレムなんか比じゃないぜ。なんとかこの広い部屋に駆け込めたから助かったようなものだぜ)
 彼女がいるのは最上層の大広間のような部屋だった。全体を見渡す事が出来ないのは、暗いだけでなくかなりの面積だからだろう。不思議と敵は中までは追って来なかった。
(さて、逃げ切れたことだし宝探しだぜ。何やらとんでもないものがありそうな気がするぜ)
 ミューレリアは部屋の中を調べ始めた。手探りで触れたものを考古学の知識で鑑定してみる。
(剣か、これ? もしかして女王器の試作品みたいなものか?)
 見た事もない形状だった。他にも槍や銃のようなものまである。
(これはかなりの収穫だぜ。ん、あれは……)
 広間の奥を見据える彼女。目が慣れてきたこともあり、暗がりでもある程度は察知出来る。そこにいたのはナガンだった。
(人の事言えないけど、良くここまで来れたもんだぜ)
 ナガンもまたガーディアンを振り切り、この部屋に入り込んでいたいたようだ。ミューレリアよりも先に。
 ナガンは茫然と立ち尽くしている。その先に見えるのは……
「な、なんだありゃあ!?」
 ミューレリアは驚きのあまり声を上げる。そこには、まるで檻のような格子があった。
『グガァァァア……』
 唸り声のような音が聞こえてくる。格子越しに見えるのは二つの瞳と、牙。その形だけは分かる。全体を見渡せないため分からないが、体長は小さく見積もっても十五メートルはあると思われる。影だけだと、獅子を思わせる獣のようだが、もう少し近づかないと判別出来ない。
 時折格子を殴りつける音も響く。それだけでなく、鎖で繋がれているのかジャリ、ジャリ、というものも。
「出れたー! ここはどこだろう?」
 同じ広間に二人の影が現れる。彩とオハンだ。図書館三階の隠し通路で発見した階段は、第一層まで繋がっていた。上がり切って扉を開けたらこの広間に出たのである。
「広い部屋のようだが……奥に何かいるぞ」
 オハンが気付いたのはミューレリアやナガンの姿だけでなく、その先の「何か」であった。
 おもむろに近づいていく二人。檻の手前にまで来て、ようやくそれの正体が分かった。
「魔獣? でも、こんなの見た事ない……?」
 近くまで来て分かったが、体長は二十メートルはあった。それが部屋の約四分の一くらいであろう大きさのスペースに収まっているのだから、どれほどの巨体かが分かる。
「だがここからは出れないようだな。それにしても、なぜこんな所に?」
 オハンにはなぜこんなにも厳重に拘束されているのかが分からなかった。
 その時だった。
「え、柵が!?」
 両者の間を隔てていた格子が上がっていく。だが、まだ魔獣らしきものは鎖には繋がれており、完全に自由になったわけではない。
『だーめ、まあだだよ』
 そこへ新たな声が響く。しかしそれはその場にいる調査団の誰のものでもなかった。
『そうだね、ごめんね。やっと「オトモダチ」がきたんだもんね。うん、あたしもうれしいんだー』
 まだあどけない少女の声だった。よく見ると、魔獣の顔の近くでなだめようとしている小柄な女の子のような姿があった。金髪で、黒のゴスロリのような格好をしている。
 満面の笑みで一行に向かって口を開く。

『ねえ、遊ぼうよ』

             ***

「ゴーレムを倒した矢先に機械仕掛けのガーディアンですか!」
 ファレナ達は最上層で迫りくる敵をかわそうとしていた。甲冑の騎士を模したと思われる機械兵が執拗に攻めてくる。
「やはりこの階には危険なものが眠っているはずです。いえ、既にこのガーディアンが相当危険ですが」
 彩蓮もまた、下手に倒そうとはせずに攻撃をかわす。何度か攻撃を試みたが、装甲が硬く阻まれてしまう。
 さらに背後から別の一体が迫っていた。そちらは剣を構えるのではなく、身体中に仕込まれた重火器による一斉砲撃を仕掛けてくる。
「さすがにこれは厳しいですね」
 九十九が声を漏らす。前方には剣士型、後方には銃撃者型、通路を塞がれた状態だ。
 そこへ氷術が繰り出される。後方の銃撃者型ガーディアンの砲門が凍りつく。
「女性の危機は助けんとな」
 ルーメイと卓也であった。卓也は凍りついた砲門をメイスで砕こうとする。
「……硬い、ですね」
 それでも完全に破壊する事は出来なかった。
「機械が相手なら、これでどうです!」
 そこへさらに声が重なる。エメだ。蒼とともに轟雷閃を放つ。二体のガーディアンが一時的に動きを止める。やはり電気は効いたようだ。
「今のうちに!」
 この隙に敵を切り抜けていく。ガーディアンは手強い。一体だけならこの人数でどうにかなるかもしれないが、二体が相手では分が悪い。それに、この先にもいないとは限らない。
 走りつつ、蒼がトランシーバーを取り出す。先程入口の新ベースで受け取ったものだ。
『最上階には強力な機械仕掛けのガーディアンがおります。有効な攻撃は電撃ですが決定打ではありません。他にもいる可能性があります。気をつけて下さい』
 他のフロアにも出現している可能性がないわけではない、そのため今のうちに報告したのだ。

 しばらくすると、機械仕掛けの兵は再起動した。索的モードになったのか、徘徊を始める。
「これはまた、強そうなのが残ってますね」
 そのタイミングで最上階へ足を踏み入れた優梨子は、嬉々とした表情で剣士型と対峙しようとしていた。