校長室
学生たちの休日11
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★ ★ ★ 「いつになったら、新型パワードスーツが開発されるんじゃあ!!」 突然の三船 甲斐(みふね・かい)の叫び声に、びっくりして猿渡 剛利(さわたり・たけとし)と佐倉 薫(さくら・かおる)がやってきた。 「いったい何ごとだ!?」 「パワードスーツがいじくりたいんだよぉ!」 猿渡剛利の問いに、三船甲斐が身をクネクネさせながら答えた。どうやら、マッドサイエンティストの血が騒いで、悶えているらしい。 「今さら、パワードスーツの時代じゃないだろうに」 「それは、大艦巨砲主義も魅力的だが、ちっこいパワードスーツが巨大なイコンをばったばったと投げ飛ばす姿も見てみたいのだよぉ」 「そりゃ無茶な」 ただをこねるような三船甲斐の言葉に、猿渡剛利と佐倉薫が顔を見合わせて呆れた。 さすがに、いくら高出力にしたとしても、やはりパワードスーツではイコンとタイマンははれない。パワードスーツの利点は、イコンでも入れないような屋内でも、条件によっては行動可能なのと、装着者を保護しつつ大量輸送によって危険地帯に入っていけることであった。イコンとは、元々の運用思想が異なる。 「ならば、大型のパワードスーツにすれば、イコンにも負けない性能が出せるはず。そうだ、ウォーストライダーをベースにして、可動式の手足をつければ、それなりの物が……」 なんだか、本末転倒なことを三船甲斐が言いだした。だいたいにして、ウォーストライダーは、多脚歩行マシンであって、パワードスーツとは設計思想が異なる。また、未解明の部分が多いので、パワードスーツに流用するのはリスクが大きすぎた。 「動けばいいのだよ。BMIでは超能力者専用になってしまうが、医療用の義手のシステムを組み込み、脳波で反応するようにすれば……。あるいは、魔術的なコントロールシステムとジェネレーターを採用するという案はどうかなあ」 三船甲斐が、佐倉薫にアドバイスを求めた。 「ううむ、わしとて、特別魔術に明るいというわけではないが、そのへんは専門の技師でしか分からぬだろうな」 「そうだよねえ。とは言っても、専門家は忙しくてつかまりにくいし、だいたい、こんな計画、賛同してくれるかどうか」 まず無理だろうと、猿渡剛利と佐倉薫が肩をすくめ合った。 「普通に、現行機種のバリエーションとか、極地戦用の環境特化タイプじゃダメなのか?」 「おお、局地戦専用重パワードスーツ……、肩書きだけでロマンあふれるねえ。それもらった、で、どういう感じにする?」 「いや、どんどん話を進めるなって」 「何を言う、どんどん暴走してこそ、マッドの楽しみ。はははは、なんでこれがパワードスーツなんじゃいというパワードスーツをデザインしてみせるぞぉ」 そう言うと、三船甲斐は凄い勢いでデザインラフ画を描き散らかしていった。はたして、それが日の目を見るときは来ることがあるのだろうか。 ★ ★ ★ 「ネルソン提督? もしかして留守? まったく、ちょっと目を離すと勝手にどこかに行っちゃうんだから」 ホレーショ・ネルソンの様子を見に来たローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)が、空っぽの部屋を見て腰に手をあてて憤慨していた。 どうも、この前ひっついたマサラ・アッサムをデートに誘ってどこかに行ったらしい。 まったく、ちょっと目を離すとこれだ。年の離れた若い娘相手に、犯罪行為をしなければいいが。ちなみに、十歳以上年下に手を出せば、ローザマリア・クライツァール的にはりっぱな犯罪者だ。ローザマリア・クライツァールの方は、まだ正式に決まった人がいないというのに。 「もう、休日じゃないんだから、ちゃんと家にいてくれないと……、あっ、今日は休日か」 はたと気がついて、ローザマリア・クライツァールは、てへっと軽く自分の頭を叩いた
▼担当マスター
篠崎砂美
▼マスターコメント
遅くなりました、休日シナリオの11をお届けします。 いろいろ、パソコンが不安定になったりとあったのですが、あいかわらずのボリュームです。 というか、今回は、いろいろと判定に手間取ることが多かったのですが、その分のボリュームも増えてますのでお楽しみください。