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第2試合

 
 
『さあ、準決勝第2試合に参りたいと思います。
 イーブンサイド、ゲブー・オブインパイロット、バーバーモヒカンシャンバラ大荒野店サブパイロットの御自慢、キング・王・ゲブー喪悲漢
 オッドサイド、猪川勇平パイロット、セイファー・コントラクトサブパイロットの翼、バルムング
 舞台は、ジャタの森となります。
 さあ、両者とも、試合開始です!』
「敵はどこにいるんだ?」
 飛行形態で森の上空に近づきながら、猪川勇平が言った。レーダーにはまだ反応がない。
「ちょっとは待てないのでございますか。あんなカボチャ、すぐに見つけてみせてごらんにいれます」
 機晶制御ユニットに埋もれながら、サイクロプスの目玉からのデータを分析しながらセイファー・コントラクトが猪川勇平に言い返した。
「いや、もういい。見つけた。それじゃ、始めようか
 言うなり、猪川勇平がスフィーダレーザーで森を斬り裂いていった。
あぁ? なんだ今のは?
 森の中に、自然のカボチャのふりをして隠れていたキング・王・ゲブー喪悲漢が、あわてて飛び出してきた。さすがに、ちゃんと見れば、不自然きわまりないのでバレバレだ。
『ゲブー様サイキョー!! ゲブー様サイキョー!! ゲブー様サイキョー!!』
 ソニックブラスターで、キング・王・ゲブー喪悲漢がわめき散らす。はっきり言ってうるさい。
漢は拳で勝負だぜい。ゲブー喪悲漢ゴットパンチ!」
 空中で、キング・王・ゲブー喪悲漢が機神掌を繰り出してきた。
ようし、きたきたきたあ!
 猪川勇平が、華麗なロールでキング・王・ゲブー喪悲漢を回避する。同時にバルムングを変形させてこちらも機神拳を繰り出した。
うひゃひゃ、こいやぁ! ゲブー喪悲漢サイクロンキック!」
 キング・王・ゲブー喪悲漢が、旋風回し蹴りを真っ向からバルムングの機神拳にぶつけてきた。双方共に反動で吹っ飛んで墜落する。森の木々が薙ぎ倒されて、両機を結ぶ一本の道ができあがっていた。
「相手に合わせてどうするのでございますか!」
 使い物にならなくなった右手マニピュレータを素早くチェックしながらセイファー・コントラクトが叫んだ。
 一方、キング・王・ゲブー喪悲漢の方も、右足が使い物にならなくなったらしい。
「ふっ、だが、まだ俺には喪悲漢がある!」
「さすがですぜ、ピンクモヒカン兄貴。止めは、喪悲漢ブーメランでさあ!」
 バーバーモヒカンシャンバラ大荒野店が、待ってましたとばかり手を叩いて喜んだ。
「まったく。この程度の腕で、本気で決勝に進むつもりでございますか!」
「なあに、まだ左手は動く。ちょいとばかし、全力でやらせてもらうぜこいつはきっついぞー
 スフィーダソードを左手で構えると、バルムングがキング・王・ゲブー喪悲漢に突っ込んでいった。
しゃあ! これでどうだ!? 脳ミソぉ、ぶちまけな! 必殺、ゲブー喪悲漢・キング王ライトニング喪悲漢ブーメ……あれれれれ!?」
 頭の喪悲漢ブーメランに両手を添えてまさに発射しようとしたとき、キング・王・ゲブー喪悲漢がぐらりと傾いた。足をやられていたのをすっかり忘れていた。
「一刀両断!!」
てめえ、おぼえていやがれー!!
 すぱーっと斬り抜けたバルムングの背後で、キング・王・ゲブー喪悲漢が爆発した。ばらばらと、周囲にカボチャの種が降ってくる。
 やや遅れて、喪悲漢ブーメランが風を切って落ちてきた。ズンと地面に突き刺さった喪悲漢ブーメランはゲブー・オブインたちの墓標のようであった
 
    ★    ★    ★
 
「勝者、バルムングです」
 
    ★    ★    ★
 
「ひゃっはー、いい気になるんじゃねえぜ。モヒカンは不滅だぜえい」
「いよー、ピンクモヒカン兄貴格好いい!」
「この俺様を倒したお前のおっぱい、いつかもらいも、もにもに、もみもみ、ええい、揉みに行くぜえ。胸洗って待ってやがれ!」
 そう叫ぶと、ゲブー・オブインとバーバーモヒカンシャンバラ大荒野店は、猪川勇平たちから反撃を受けないようにささささーっと人混みの中に紛れていってしまった。
「あんなこと言っていらっしゃいますが。もちろん、マスターの胸のことでございますよね?」
「えっ?」
 セイファー・コントラクトに聞かれて、猪川勇平が言葉に詰まった。