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死いずる国(前編)

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死いずる国(前編)

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2日目
AM7:00 休息と死


 爽やかな朝だった。
 気候だけは。
 しかし、理子たち一行には重苦しいものが立ち込めていた。
 休息はしたものの疲れが取れない面々。
 寝ずの番のために休息していない面々。
 怪しい者がいないかこっそりセットしておいたビデオカメラをチェックする千歳。
 カメラには、特に怪しい者は映っていなかった。
 しかしこれだけの人数を一度にチェックはできなかったので、映っていない所で誰かが動いている可能性は高い。

「ほ……ほらほら! 朝飯だよ! 少しでも元気になるために腹に物を入れておかなきゃな! それが、生きている者の務めだよ!」
 朝食の炊き出しを行った弁天屋 菊(べんてんや・きく)が皆に声をかけている。
 それが終わればすぐに、全員の昼食用に握り飯を作らなくては。
 菊はぱたぱたと働きまわる。
 そうすることで、目の前の問題を、不安を忘れ去るかのように。
 にゃん子とペト・ペトは、元気な様子で菊の手伝いをしている。
 グラルダ・アマティー(ぐらるだ・あまてぃー)と名乗る少女が、黙々と朝食用のスープを啜っている。
 その手の中には、紙。
 一枚の紙が、彼女の全てを決定しているかのように大事に大事に握りしめている。
 彼女は時折目を瞑る。
 目を瞑って思い返す。
 少女が、今自分が名乗っているのと同じ名の少女が、自分にこの紙を渡した時の事を。

 一部の人間が目を背け、一部の人間が気にしないようにして、そして一部の人間がその事実に、恐怖を押えられずにいた。
 人が、死んだ。
 それも、5人も。
 朝起きて、点呼をしようとした雷霆 リナリエッタに死人が襲い掛かってきた。
 慌てず落ち着いて、死人を倒すリナリエッタ。
 残る死人も皐月と刀真が撃退し、セルマが即座に拘束したため、大事にならずに済んだ。
 しかし、その事実は一行の心に大きな、あまりにも大きな影を落とした。
 死人が、いた。
 それは、死人を作った死人が、仲間の中に紛れているということ……


<死亡>
 名も知らぬ人物、5人