空京

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戦乱の絆 第二部 第二回

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戦乱の絆 第二部 第二回
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■ホイップ

ホイップ・ノーン(ほいっぷ・のーん)もまた、
一般人の避難のため、仲間とともに行動していた。
恋人のエル・ウィンド(える・うぃんど)
エルを「エル兄」と慕うホイップの友人、ミレイユ・グリシャム(みれいゆ・ぐりしゃむ)
そのパートナーのロレッタ・グラフトン(ろれった・ぐらふとん)
ホイップを妹と思っているルディ・バークレオ(るでぃ・ばーくれお)と、
魔鎧として身を守るロビン・クリスーン(ろびん・くりすーん)
皆、ホイップに危険が迫ることのないよう案じていた。
「ホイップ姉様、
髪を下して眼鏡をかければ、ちょっと見ただけでは誰かわからないはずですよ」
ホワイト・カラー(ほわいと・からー)が、
ホイップを変装させる。
「ありがとう。
皆も気をつけてね」
「だいじょうぶなのですよー。
みんな、強いのです。
じゃわも、ホイップ殿の直近衛として守るのです」
あい じゃわ(あい・じゃわ)が、合羽を着せられたホイップの肩の上で言う。
「ああ、誰にもキミを傷つけさせないし、
キミが涙を流すようなことにはならないようにするから、安心して!」
「うん、エル兄もワタシ達も一緒だし、
危険なことにならないように注意するからね」
エルとミレイユが口々に言う。

「ホイップ殿、あちらに村が!」
藍澤 黎(あいざわ・れい)は、
上空からワイルドペガサスで偵察を行っていたが、
崩れ落ちた集落を発見して声をかける。


一行が集落に駆けつけると、ミレイユが注意を促す。
「何か周りにいるよ!」
ディテクトエビルに反応したのは、やはり特殊部隊だった。
黒ずくめの前傾姿勢の特殊部隊員が、四方から飛び出してくる。
「ホイップの居場所がわかるということか!?」
ラスターエスクードでホイップをかばいながら、
変装しているのにもかかわらず、まっすぐホイップを狙ってきた特殊部隊員を見て、
エルは叫ぶ。
「ボクはホイップを……大切な人の笑顔を護る為に、
修行して聖騎士にまでなったんだ。絶対に殺させはしない!」
「エルとホイップ姉様を……そして穏かな平和を望んでいる人達を脅かす者を私は決して許しません!」
ホワイトも、ブラインドナイブスで攻撃する。
「ホイップさんは傷つけさせない!」
ミレイユも、炎の聖霊で特殊部隊員を倒す。

一行が特殊部隊を撃退すると、ホイップは、すぐに崩れた家に駆け寄った。

「お願い、無事でいて!」
一行は、懸命の救出活動を開始する。
ホイップ達は、以前、火事で村が燃えたことを思い出す。
あの時は、救えなかった子達もいた。

「今度は……そんなことになりたくない!」
ホイップは、必死でおのれを顧みず救助を行う。
「ホイップ殿、おちつくですよー」
じゃわは、ホイップが焦らないよう、ぽんぽんと肩を叩く。
黎は、泥だらけのぼろぼろの姿になってしまったホイップに言う。
「こういう時こそ皆を安心させる為にイメージを保つものだ」
黎にSPルージュを引いてもらったホイップは、身嗜みを整えてもらうとともに、
精神的にも落ち着きを取り戻す。
「ありがとう。絶対一人でも多くの人を助けよう!」
「ああ、ホイップ殿がロイヤルガード、女王の盾ならば、
我らはホイップ殿の盾となろう。
ともに、人々を助けよう」
黎は力強くうなずく。
「これ、甘くておいしいんだぞ」
ロレッタはおずおずと、疲れた人にキャンディを配る。
バッグにはたくさんの人に配れるようにぎっしりキャンディが詰められていた。
さらに、ロレッタは、親とはぐれている子どもを集めて、
一緒に画用紙にクレヨンで絵を描いて元気づける。
「楽しい絵を……そうだ、おやつの絵を描くんだぞ」

ルディは、医学の知識や応急手当で、治療を行いながら、人々の話を聞く。
「大荒野の民はいつも戦いに巻き込まれてきたんだ!」
「大丈夫、私達はけっしてあなた方を見捨てませんわ。
それに、ホイップさんは十二星華の中でも、特に優しい方だと、
『姉』の欲目かもしれませんが思っております。
ホイップさんの立場なら、アイシャ女王に進言することも可能でしょう」
ルディは、嘆く人々をなだめ、勇気づける。

こうして、一行は、崩壊した村から怪我人を救出し、
安全な場所に向けて移動をするのだった。