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ACT1 巨大ゆる族、現る!?


 クリスマスが終わり、もういくつ寝たらやってきましたお正月。
 日本文化の影響を色濃く受けた街”空京”にある空京神社では、日本にある神社と同じように新年の幕開けを祝う人々で溢れていた。
 境内には出店が並び、パラミタや地球からやってきた人たちが楽しそうにしている。
 そんな中に晴れ着を着たエルサーラ サイジャリー(えるさーら・さいじゃりー)の姿があった。
 晴れ着を着る機会などあまりないはずだが、お嬢様のオーラを身に纏ったエルサーラはなんでもそつなく着こなしてしまう。

「とてもよくお似合いですよ」

 そんなエルサーラの前にサッと一輪の薔薇を差し出してそういったのはエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)
 羽織袴で彼女をエスコートしているのはこのエースだった。
 と、エルサーラは目の前の薔薇を一瞥した。だがすぐに興味を失くしたのか視線をエースに向ける。

「薔薇はいいわ。それよりもこれ持ってくれる?」

 そしてエルサーラはそういうと、さっきほど買った破魔矢やお守りをエースに向かって差し出した。
 かなり不遜な態度だが、エースは笑顔を崩すことなく薔薇をしまうと快く荷物を受け取った。

「エース、僕も荷物を持ちますよ」

 穏やかな口調でそういって手を伸ばしたのはエースの横を歩いていたエオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)
 彼はエースが何かをいうよりも早く、荷物に手をかける。
 エオリアはここに来る途中にエルサーラが買ったバゲットやらチーズやらをすでに両手に持っていた。

「なら、そのバゲットとこの荷物を交換だ。君にばかりいい恰好はさせられないからね」

 エースはにこりと笑ってエオリアにそういう。「わかりました」とエオリアも笑顔で答え、二人は荷物を交換した。
 と、エルサーラの晴れ着を誰かがクイクイと引っ張る。

「なによ、ぺシェ?」

 そういいながら、エルサーラが視線を下に向けるとそこには白モモンガのゆる族ペシェ・アルカウス(ぺしぇ・あるかうす)の姿があった。
 実はこのぺシェが「初詣に付き合って」とエルサーラにいったことから彼女たちはここに来ることになったのだった。
 ぺシェはキラキラしたまんまるの目をエルサーラに向ける。

「人がいっぱいだよエル。すごいねぇなんだか楽しいねぇ」

 そんなぺシェのセリフにエルサーラは口元を綻ばせた。