リアクション
「私は裏口からおじゃまします」
アサシンマスクとブラックコートで身を隠し、職員用裏口からサツキはESCに潜入する。
入り口のセンサーカメラの死角を縫ってまずは潜入成功。内部構造を《ソートグラフィー》で拝見する。
1階のセンサー類と警備員の数はそこまで多くはない。受付などの一般開放部分が多いため重要な研究施設や部所を置いていないからだろう。
案内見取り図からは特に怪しい場所はない。あるとしたら、20階以上上にある上層フロアーか、離れにある研究棟か。
エレベーター設備を使うのは危険なため、階段を使って上を調べることにする。案の定上に行くほどにセンサー類の配置が厳しくなった。クリアランス制のセキュリティゲートが登場し始める。自動生体認証、これ以上は先に行くのは危険だと感じる。ゲートの前後に隔離シャッターがあることからも明白だ。
一旦、1階へと戻る。見取り図からは怪しさはなかったが、地下搬入口にあるエレベーターが気になった。正確にはエレベーターではなく、近距離転移装置の一種だ。
装置は2つ。だが、他の階の設置場所と一つがずれている。明らかに搬入以外の目的に設置されているとしか思えない。
「なかに入るのは危険ね……」
扉のパネルに触れて《サイコメトリー》。利用者たちの記憶を引き出す。
記憶には運び込まれる若い浮浪者たち。くわえタバコの女博士。拘束された足のない男――
アラートが鳴り響く。
「しまった……!?」
燕馬:サツキ、今すぐそこから離れろ! ヘタに深入りすると戻れなくなる! 一部の壁に生体感知センサーが埋め込まれているらしい
サツキ:忠告が遅いです!
《サイコメトリー》で触れていた場所にもそれが施されていたのか。とにかくに今は逃げるしかない。
サツキはアクセルギアで超加速し1階へ。近場の窓を蹴破って外へと逃げた。