リアクション
「ここは……何処かな?」
「ここは……何処よ?」
「ここは……何処ですか?」
「「「……」」」
三人は当然、迷子になっていた。
三人集まれば文殊の知恵とか女三人寄れば姦しいとか言うが、迷子が三人集まっても迷子にしかならない。
「で、どうするのよ。列車に戻るんじゃなかったの」
起こり気味なフレリア。
「そんなこと言ったて、どういけば戻れるんです?」
眉寄せるヴェルリア。
「二人とも落ち着いて。ともかく動きましょう。歩いていればいつか着きます」
アリサが二人を宥める。
「それもそうね」
「そうですね」
迷子の危険な思想に納得する他の迷子たち。そこに着くまでどれくらいかかるのだろうか?
「それじゃ……」
「「「こっちへ行きましょう」」」
南だけが指されていなかった。
ちなみに、南に行くと列車まですぐだ。
迷子たちが居るのはすでに国境の町だった。いつの間にかグリーク国国境から抜けていたのだが、彼女たちが気づくはずがない。何処に行くのか揉める。
そして、迷子たちが気が付かない事がまだあった。
後ろにそれが迫っていることに。
「で、どうするんですか――ん?」
アリサが後ろから自分を覆う影に気づく。振り向くそこには――
大きな『くまちゃん』が立っていた。
大きなきぐるみの『くまちゃん』がじっと立っているのを見て三人が固まる。
愛らしい『くまちゃん』はアリサを脇に抱えて回れ右。
―!!
筆舌しがたいスピードで消えていった。
「「…………拐われた!?」」
To be continued