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リアクション
12.ホワイト、バレンタイン
空京のデートスポットを2人で回った後、祥子・リーブラ(さちこ・りーぶら)とティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)は、予約してあったホテルのレストランで夕食をとって、それから部屋へと向かった。
2人が宿泊する高層階の部屋の窓からは、空京の夜景が見える。
バレンタインの時期だからか――普段よりも、桃色や柔らかな色のイルミネーションが多く感じられた。
それから。
「あ、また雪……」
そらからちらちらと雪が舞い落ちてきた。
今日は概ね晴れていたが、気温が低くて、雪がちらつくことがあった。
「いや、それにしてもね」
雪を見て、祥子は思い出して顔を赤く染める。
「まさかティセラがあんなことを言い出すなんて……」
テレビ局が公園で通行人に行っていた雪の日のインタビューで、ティセラは堂々と言ったのだ。
『愛する祥子といる時の雪は特別な気分に浸れて私は好きですわ』と。
「あれ、空京じゃなくて日本のテレビ局のマークだったわよ」
祥子は思わず顔を覆う。
「ああああああ今思い出しても顔が赤くなるわ」
「……わたくし、何か可笑しなこと言いましたか?」
ティセラは普段とは変わらない笑みを祥子に向けてくる。
「あーいや、嬉しい、んだけどね?」
「でしたら、雨の日にも、台風の日にも同じことを言いますわね」
「うっ、そ、それは……ちょっと……!」
赤くなる祥子を、ティセラは余裕のある笑みを浮かべて、見ていた。
祥子はふうと大きく息をつくと、ソファーに腰かけて、作ってきたウィスキーボンボンを口に入れる。
ティセラもすぐに祥子の向かい――ではなく、隣に腰かけて微笑みかけ、ウィスキーボンボンを食べた。
(お互い、お酒強いから酔ったふりなんてできないけど……ま、いっか)
祥子が少しティセラに近づくと、ティセラが更に体を近づけてきて。
少しの間、お互いに寄りかかるように、ウィスキーボンボンと会話を楽しんだ。
しばらくすると、自然に二人は抱き合っていた。
ティセラの耳に唇を寄せて、祥子が囁く。
「この方が、温かいわね……」
祥子の手は、ティセラの服の中に入っていた。
「ええ」
答えたティセラの手も、祥子の背に――肌に直接触れた。
「もうちょっと、暖かくしよっか」
祥子がそう囁くと、ティセラの頭が縦に揺れた。
祥子はティセラの身体を両腕で抱き上げた。服が乱れていて、細いウエストが露わになっている。
祥子の服のボタンも、いつの間にか外されていた。
くすりと微笑み合ってキスを交わした後。
祥子はティセラをベッドへと運んだ。
「暖かいわね、ティセラ」
「ええ、祥子の温もりで温まっていきます」
「温めてあげるわ。ティセラが私を熱くしてくれるから……」
吐息が混ざり合う。
温かく、甘く、幸せな時間を。
この時が、ずっと続くかのような、他には何も感じられない幸せな時を過ごしていく。
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