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リアクション
足止め
アテナ・リネア(あてな・りねあ)は遺跡入口まで駆け戻り、息せき切って電話を掛け捲っていた。
「もしもし〜〜あのね……というわけで、知り合いで来られそうな人は来てもらって!! アテナ、遺跡の入口でみんなを案内するからお願いね!」
桜葉 忍(さくらば・しのぶ)は赤毛の美少女、織田 信長(おだ・のぶなが)と一緒に遺跡の中を探索していた。と、突然信長が立ち止まり油断なく辺りを見回した。
「どうした信長? 急に立ち止まったりして?」
忍の端正な顔に怪訝そうな表情が浮かぶ。
「……忍よ、お前は感じぬか? この気配?」
「うん? 別に俺は何も。 ……ッ?!!」
忍の手に白銀に光る2メートルはある片刃の大剣が現れる。次の瞬間、すさまじい爆音が響き渡った。
遺跡内を探索していた夢野 久(ゆめの・ひさし)は何かが崩れるようなすさまじい音を聞きつけた。急いでそちらの方へと走る。もうもうたる土煙の向こうに、泉 美緒(いずみ・みお)と瑛菜が邪悪な笑みを浮かべて、仲間であるはずのシズルに攻撃を仕掛けていた。シズルの方は二人の受け流すだけで、攻撃を仕掛けてはいない。油断なく構えてはいるものの、シズルは切り傷や打ち身を負って、かなり辛そうだ。
夢野とは対照的な長めの黒髪の美青年長原 淳二(ながはら・じゅんじ)も、同じく近くにいたらしくミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)を従えて、夢野とほぼ同時に駆けつけていた。崩れた壁の向こうに、忍と信長も油断なく構えている姿があった。
4人は異口同音に呼びかけた。
「どうした? 仲間割れか?」
「何事だ?」
「違うのよ」
加能 シズル(かのう・しずる)が急いで事情を説明する。
夢野の強面に気の毒そうな表情がふっと浮かぶ。
「なるほど。ひどい怪我させちゃあ元も子もねえしな。……俺は馬頭を引き受けよう。押さえ込めるかやってみる」
そこでシズルに向き直り、優しい口調で言った。
「お前さんは休んでてくれ。かなりの怪我だ」
可愛らしいワンピースの美少女、ミーナが、ちょっとどぎまぎした様子で言う。
「わ、私、お怪我を治療しますねっ!」
すぐにシズルのそばに屈みこみ、治療を施し始めた。
藤井 つばめ(ふじい・つばめ)は、たまたま遺跡内部の現場近くを通りかかったのだった。夢野、シズルらから事情を聞き、即座に太刀川 樹(たちかわ・いつき)を全身を覆う真紅のフルプレートと化した魔鎧として纏う。つばめがつぶやく。
「剣は使うけど、体は美緒さんだし、あまり傷つけないようにしないとね……」
樹が言う。
「時間稼ぎ、だね」
つばめが頷く。設置型複合兵装機晶姫 フラグランティア(せっちがたふくごうへいそうきしょうひめ・ふらぐらんてぃあ)に向かって、樹が言った。
「フラン、そばに来た小鬼の掃討を頼むよ」
「了解です、マスター」
つばめが夢野に言う。
「僕はじゃあ、馬頭にいろいろ質問してみるね。気をとられるかもしれないし」
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