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リアクション
リースが報告をしている間、
「これが噂の石ね。本当に綺麗ね」
「でしょー」
水色の石を見るとマーガレットと地面に座ったままその様子を嬉しそうに見るキーア。
「あ、あの、キーアちゃん見つかりました。とても元気です」
リースはルカルカにキーアの事を伝え、石が共通の素材によってある人物に盗まれた事、細工の痕跡が無い事を知らされた。
「……それで何か分かったか?」
話を終えたのを見計らって白銀が訊ねた。
「あ、あの……」
リースはゆっくり手に入れた情報をみんなに伝えた。
「……正体不明の魔術師か。何がしたいんだ、森の時と同じじゃねぇか」
「消えた石の謎は明らかになったけど、目的は分からないままだねぇ」
白銀は忌々しそうに言葉を吐き、北都はため息をついていた。心当たりがあるのでますます嫌な感じだ。
「キーアちゃんまで巻き込んで」
「……何のつもりでしょうね。またこんな事を起こして」
心当たりのあるさゆみもアデリーヌも怒っていた。勝手に外に出たのはキーアが悪いがもし石が転がっていなければ彼女は被害に遭う事はなかったし、助けを呼ぶ事だって出来たはずなのだから怒って当然である。
「怖いわねぇ」
「で、そいつを見かけて捕まえた奴はいないんだろう。嫌な感じだ」
セリーナはおっとり感想を口にしてナディムは行方不明者を見つけ、石を処理しても完全なる解決にならない事に正直な感想を口にした。
「私達はキーアちゃんと一緒に店に戻ろうと思うんだけど、みんなはどうするの?」
いつまでもこうしている場合ではないと気付いたさゆみがみんなに訊ねた。
「……えと、私達は石を処理します」
リースはちらりと転がっている石を見た。
「僕はグィネヴィアさんを捜しに行くよ」
石の力を借りてまで願いを叶えようとしているグィネヴィアを知って切ない事だなと気になっていたので。弾は後の事を任せ、捜索に行った。
「それなら僕達も一度店に戻ろうかな」
「だな」
北都と白銀も店に戻る事にした。
「キーアちゃん、立てる?」
さゆみが優しく手を差し出した。
「あ、ありがとうお姉ちゃん」
キーアはさゆみの手を借りてゆっくりと立ち上がった。
「ほら、キーア乗れ。少しだけ冒険して帰るぞ」
白銀は人の姿に戻り、機晶マウンテンバイクの座席をぽんと叩いた。
「うん!」
駆け寄り、北都に手伝って貰いながら機晶マウンテンバイクに乗った。
店へ帰還組が出発しようとした時、
「……少し前から街が騒がしいが、何か厄介事か?」
バウンティハンターの勘で何か事件が起きていると察した十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)が現れた。
「えぇ、少し」
さゆみが話を始めた。
「……お先に行って下さい」
アデリーヌが北都達にキーアを連れて行くように言った。
「おう」
白銀はうなずき、機晶マウンテンバイクを走らせた。
「バイバイ」
「はい」
手を振るキーアにアデリーヌは小さく手を振って見送った。
キーアは来た道とは別の道を通って無事にホシカの元に戻った。
「実は……」
さゆみは宵一にまだ行方不明者がいる事や石の事など詳細を伝えた。
「それで今行方不明なのは」
さゆみがグィネヴィアの名前を出す時に
「グィネヴィア・フェリシカですわ」
アデリーヌはさっと写真を宵一に見せた。
「……お姫様みたいな女の子だな」
宵一は可憐な少女に一言。
「まだ見つかっていないみたいで。出来れば協力してくれると助かるんだけど。人手は多い方がいいから」
「……分かった。捜してみよう」
さゆみの頼みに宵一は快諾し、『捜索』と賢狼の嗅覚を頼りにグィネヴィア捜索を開始した。
さゆみ達が宵一に事情を説明している間、リース達は石処理に励んでいた。
「……と、とりあえず石に直接触れないように気を付けて」
リースは念のためにみんなに注意事項を思い出させた。
「だったら、燃やしちゃおう!」
マーガレットは即答した。
「マーガレットちゃん、頼りになるわ〜」
セリーナは手を叩きながらにっこり。
「燃やすって燃えんのか? 魔法も含んでるんだろ」
ナディムのツッコミ。相手にするのは魔術師が手を加えて迷惑効果を強化したもの。普通の処理で効くのかどうか怪しい。
「リースも手伝って! 二人でやれば大丈夫よ!」
「あ、はい」
マーガレットは『火術』、リースは『凍てつく炎』で燃やし尽くしてから凍らせ石を跡形もなく粉々にした。
「……無事に終わったねぇ〜、お疲れ様」
セリーナは石処理を終えた二人を労った。
ちょうどその時、
「石の処理終わったんだね」
宵一と話し終わったさゆみがリース達に話しかけた。
「あ、はい」
リースはこくりとうなずいた。
「さゆみ、これからどうしますか」
「やっぱり、店に戻ってみようかな」
アデリーヌにさゆみは予定通り店に戻る事を言った。
「わ、私も戻ります」
リースも戻る事に決めた。
このまま六人はホシカの店に向かった。
途中、誘拐犯が亡くなった職人と同じ姿をしていたという知らせが入った。
「亡くなった職人と同じ姿ってやっぱり幽霊だよ! あたしの推理通り!」
と、マーガレットは嬉しそうに声を上げていた。
キーア、冒険中。
「大変だったねぇ」
北都は楽しそうに風景を眺めているキーアに話しかけた。
「うん、でも平気だったよ。それに少しだけ楽しかったし。今度幼稚園でヒルナに話すんだ」
キーアは元気に答え、友達のヒルナに今日の冒険を話そうと考えていた。
「その前に謝らねぇとな」
白銀は元気なキーアに笑いながら帰って真っ先にしなければならない事を口にした。
「……うん、おばちゃん心配してるよね。迎えに来るお母さんも知っちゃうよね」
白銀の言葉にキーアは少し元気を失った。ホシカが心配している事や母親を心配させついでに怒らせる事もすぐに想像出来るから。
「怒られるよりヒルナちゃんと遊べなくなる方が悲しいと思うよ。そう考えたら怒られる事ぐらい大した事無いと思うけどねぇ」
北都は、何でも無い事のように言う。怒るのはキーアを心配しての事だから手伝えるのはお叱りの覚悟を決めさせる事ぐらい。
「うん。でもお母さん、いつも優しいけど怒るとオニみたいに怖いんだよ」
キーアは北都の話は分かるもやっぱり母親の雷は怖いらしく口を尖らせ、両人差し指で二本角を頭上に作った。
「そりゃ、怖いな」
白銀はキーアの様子に笑いながら言った。好奇心旺盛なキーアが怒られる様子はすぐに分かる。しっかりしていてもまだ子供。
「そうなんだよ!」
キーアは力強く白銀にうなずいた。
「もうそろそろ、ホシカさんの店だよ」
北都は近付く冒険の終わりをキーアに知らせた。
「うん」
北都の言葉でキーアは覚悟を決めた。
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