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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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「……あぁ」
 ベルクが答えた。
「知っている子だけに心配」
 コルセアはキーアが通う幼稚園と交流した事があるので余計に心配である。
「大丈夫ですよ。きっと無事です」
 フレンディスが力強く言った。きっと今頃誰かに保護されているだろうと信じている。
「そうね。魔術師はあなたの言うように何かの実験で石をばらまいたのかもね」
「……その上、姿を発見したという連絡も来ていないからどうにも手の打ちようがない」
 ベルクはため息混じりに言った。行方不明者発見の連絡だけではなくどこぞの魔術師の発見の連絡もない。予測通りいない可能性が高い。
「……盗んだ石は選んでいたのか、その目的が気になるな」
 重安も盗まれた石の利用目的が気になっていた。

 石についてあれこれ思考を巡らしている間、
「手伝いに来ましたよ」
「大丈夫?」
 稲穂と木枯が吹雪に声をかけた。
「……助けでありますか」
 吹雪は倒れないようにするので精一杯で石に近付くための一歩を踏み出せない状況だった。
「その石は僕が貰うのだ!」
 ポチの助は真紅の石に直行した。
「触れると危ないから手伝うよ〜」
 木枯は『サイコキネシス』で石を宙に浮かせた。
「……ここに入れるのだ」
 ポチの助はあらかじめ用意していた袋を取り出し、木枯に指示を出した。
「入れるよ〜」
 木枯は上手に石を袋に入れた。
 これで解決。
「……これが」
 ポチの助は嬉しそうに袋の中の石を見ていた。
「良かったねぇ」
 木枯は嬉しそうなポチの助を見ていた。
「本当は下等生物に力を貸して貰わなくても出来たんだからな」
 ポチの助は木枯の視線を感じ、石から顔を上げて強がりを口にした。
「そうだねぇ」
 と木枯は笑顔だった。なぜならポチの助の尻尾が嬉しそうに動いていたから。

 吹雪の助けに回った稲穂は、
「肩を貸しますよ。ベンチで休みましょう」
 動くのが大変そうな吹雪に肩を貸していた。
「……助かるであります!」
 何とか稲穂の協力を得てゆっくりと休める場所へと移動を始めた。

「ご主人様、無事手に入れました!」
 ポチの助は嬉しそうにフレンディスの元に戻るなる報告した。
「良かったですね。ポチの助を手伝ってくれてありがとうございました」
 フレンディスは手伝ってくれた木枯に二度目の感謝の言葉を口にした。
「お礼はいらないよ〜」
 木枯は笑顔で言った。いらないというよりはもうとっくに貰っているのだ。あのポチの助の嬉しそうな様子がお礼なのだ。
「……連れて来ましたよ」
 吹雪を連れた稲穂がやって来た。
「……何とか無事みたいね」
 コルセアはベンチから立ち上がり、吹雪に席を譲った。
「……疲れたであります」
 ベンチに座った吹雪は本当に疲れた様子だった。
「当分は動けないわね」
 コルセアはため息をついた。今まともに動けるのは自分だけだ。
「それであの石は何でありますか」
「あれは……」
 事情を訊ねる吹雪にコルセアが話した。
「そうでありますか」
 吹雪は力を振り絞ってうなずいた。
「……あの魔術師が関わっているとなると石にも何か手を加えているかもな」
 ベルクは思いついた事をそのまま口にした。
「……むっ、エロ吸血鬼、余計な事を」
 一番に反応したのはポチの助だった。忌々しそうにベルクをにらむ。
「大丈夫ですよ。危険の無い石を一つ残してくれるよう頼んでみますから」
 フレンディスはポチの助のためにルカルカに連絡を入れて交渉を始めた。ついでに吹雪達や処理した石の事にポチの助の頼みを伝えた。代わりにルカルカから魔術師の情報を入手した。

 そして、
「一つ確保しておいてくれるそうですよ」
 あっさり成功。
「ご主人様! ありがとうございます」
 ポチの助はフレンディスの報告にとても嬉しそうだった。
「フレイ、他には何か言っていなかったか?」
 交渉にしては話が長かったので何かあったのだろうと思い、ベルクが訊ねた。
「何かを加えたためか効果も記録よりも強化されているそうですが、その何かの痕跡が全く無いそうです」
 フレンディスは涼介の石分析の結果をみんなに伝えた。木枯達が出会った石は本来なら手に軽く電気を感じるだけで吹雪達が出会った石も体力をあそこまで奪うほどではないのだ。
「……その効果を確かめるための実験でしょうか。上手く行かなくてばらまいたのかばらまく自体が実験だったのか、分かりませんね」
 稲穂は首を傾げながら集まった情報をパズルのように一つずつはめていくが、どうにも絵柄は完成しないまま。
「分かってる事はたくさんの人が迷惑してる事だけだねぇ」
「ますます放っておけないですよ」
 木枯と稲穂は石捜索に本格的に参加する事に決めた。
「心配だけど、二人共動けそうに無いからここで休む事にするよ」
 二人に代わってコルセアが答えた。
「……慎重に行くぞ」
「はい、マスター」
「ご主人様、行きましょう」
 フレンディスはベルクの言葉に力強くうなずき、ポチの助は先頭を歩いた。
 途中までは五人だったが、回収と処理の効率を上げるため途中で別れた。
 フレンディス達は、主にポチの助が石捜索、ベルクが『我は紡ぐ地の讃頌』で被害者の治療と石の破壊を担当し、フレンディスは『龍鱗化』で周囲への被害軽減に務めていた。
 木枯達は、稲穂の『トレジャーセンス』で石を探し当て、木枯の『サイコキネシス』を使ったり無心になったりして袋に石を次々と入れた。