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リアクション
通り。
「石探しですか〜、どんな石でしょうか? きれーですかね〜?」
ホリイは消えた石を想像して少し楽しそう。
「どうだろうな。しかし、執念を込めて作った石は意思を持ち意志を持って行動すると言うからな。中には姿を変える事が出来るモノもあると聞く」
「すごいですね」
甚五郎の言葉にホリイはますますワクワクしていた。
「まぁ、ただの言葉遊びだが。それより、どうする」
甚五郎はこれからの事について話し始めた。今はとりあえず、ホシカの店を出た所なのだ。
「そうじゃな、石を探すのは簡単じゃが、どうして危険な石が消えたのかが気になるのぅ」
羽純が発言した。石を探すだけなら甚五郎の『トレジャーセンス』を使えば、簡単に見つかるだろうが、羽純が気になっている事はそれでは分からない。
「それなら聞き込みをしてはどうですか。普通の石でないのなら何か普通でない事が起きているはずです。誰か記憶に残っている人もいますよ」
ブリジットが有効な手段を提案。
「そうだな」
甚五郎はうなずくなり、手近にいた男性に聞く事にした。
「少しいいか、探し物をしているんだが」
甚五郎は簡単に説明した。
「石に行方不明者? 知らねぇな。でも」
男性はあっさりと答えるも何かを思い出したのか渋い顔をしていた。
「何かあるんじゃな。話してくれんか?」
羽純は、男性の表情から何かあると感じ、話すよう促した。
「あぁ、あそこの職人が死んで数日かな。酒飲んで家に帰る途中、あの店の前を通ったんだ。そしたら裏口から人が出て来るのを見たんだ」
男性はある真夜中の出来事について話した。
「どんな人ですか?」
ホリイが問う。
「……真夜中だったし、酔ってたからよくは覚えてねぇんだけど、魔術師のような感じだった。何かの見間違いかもしんねぇけど。俺、用事があるから行くわ」
男性はぼんやりする記憶を何とか形にした後、どこかに行った。
「ありがとうございます」
ホリイは代表して協力してくれた男性に礼を言って見送った。
「甚五郎、今の話じゃが」
心当たりありまくりの羽純。
「あぁ、その人物が二人の行方不明と関わっている可能性もあるが。わしは……」
甚五郎も誘拐犯の可能性を説きながらも頭に浮かべているのは羽純と同じ人物。
「前に森をひどい目に遭わせた魔術師さんですね」
ホリイが二人が思い浮かべている人物を言葉にした。動物変身薬事件で遭遇した多くの犠牲者を出す森を作り上げた魔術師の事。
「わらわもそう思うぞ。確証は無いが」
羽純はうなずくも確かな証拠は無い。
「そうすると二人を連れ去ったのは別の人物と?」
ブリジットが今の状況と先ほど得た情報をまとめる。
「その可能性が高い。とりあえず」
甚五郎はブリジットに言ってから報告のためルカルカに連絡を入れた。
涼介の石分析結果など少しばかり話し込んでから連絡を終えた。
「どうでしたか?」
「やはり、キーアの方の行方はまだだが、グィネヴィアを連れ去ったのは、亡くなった職人にそっくりの奴だったらしい。聞き込みした奴とは別だ」
案配を聞くホリイに甚五郎が得た情報を話した。
「そうですか。では、例の魔術師は一体何の目的で店に忍び込んだのでしょうか」
「……石を盗むためだ。石から情報を読み取った奴がいたらしい。しかも消えた石は……」
ブリジットの疑問に甚五郎は即答し、石について詳しく語った。
「ふむ。盗んだ石も選んでおったのか。ご丁寧に手を加えておるとは」
羽純は、忌々しそうに言葉を洩らした。
「共通していた素材が必要だったのでしょうか。ばらまいたのは細工の実験結果を見るためか失敗して放り出したのかどちらか分かりませんね」
ブリジットは今の状況を確認。
「これ以上、悪さをする前に捕まえたいですね」
ホリイは誰もが抱く気持ちを洩らした。
「そうだな。しかし、捜索者の中で目撃したという奴はいないらしい」
甚五郎もホリイの言葉にうなずいた。今、捜索をしている人達誰も例の魔術師を見かけていないというのだ。もちろん自分達も見ていない。
「名前はおろか性別さえも分からぬ。捜そうにも無理じゃ。それより、職人とそっくりという犯人も気になるのう。他人のそら似という事かもしれんが、あまりにも都合が良すぎる」
羽純は話を誘拐犯に戻した。あまりにも計ったタイミングにきな臭さを感じる。例の魔術師の事で敏感になっているのかもしれないが。
「その辺りは、他の奴が何とかしてくれるだろう」
「今は、石探しに専念しましょう」
甚五郎とブリジットの言葉で石処理に専念する事になった。
そして、すぐ
「あ、早速見つけましたよ!」
ホリイが緑色の石を発見した。
「気を付けるんじゃ」
発見に喜ぶホリイに注意する羽純。
「はい」
ホリイは念のため『エンデュア』を使い、気持ちを落ち着かせゆっくりと石を拾い上げ、見てみる。感動したいのを全力で押さえて。
「ホリイ、その石を粉々にしていいか?」
ホリイが感動を楽しんだのを見計らってから聞いた。
「あ、はい」
甚五郎の言葉でホリイは石から手を離した。石が地面に着地する前に甚五郎が緑竜殺しで跡形もなく粉々にした。
「……無くなったのは残念ですが、とってもきれーでした」
ホリイは、少し残念そうにするが、出会った感動は消えない。
この後、甚五郎達は石処理に精を出し、石に細工をした痕跡が無いという連絡を受け取った。
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