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リアクション
「おかしいわね。今日は定休日じゃないはずだけど」
綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)は以前来た事のあるこの店に久しぶりにやって来た。
しかし、店は閉まっていた。
「何かあったかもしれないですわ」
アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)は閉まっているドアを見ながら言った。
「もしそうなら何か手助けをしたい」
さゆみは心配そうな目をドアに向けた。
「……そうですわね」
アデリーヌはさゆみの言葉にうなずき、ドアをノックしてみた。誰かがいる事に期待して。
アデリーヌの期待は届き、
「……はい」
ホシカが現れた。
「……今日は定休日では無いようですが」
「……ごめなさい。実は大変な事があって」
事情を訊ねるアデリーヌとさゆみにホシカは疲れたように事情を話した。
「キーアちゃんを捜しに行こう、アデリーヌ。子供の足ではそう遠くには行っていないはず」
話を聞き終えたさゆみはやるべき事を即決めた。グィネヴィアについては年長だし他の人が捜しているから幼いキーアを優先する方が良いと判断。
「それにあの子の事は知ってますしね」
アデリーヌも賛成した。親しくなったキーアの事は覚えている。
行方不明者二名の写真をルカルカから念のため貰い二人はすぐに店を出た。
「……グィネヴィアちゃん、この店に行ったはずだけど」
冬蔦 日奈々(ふゆつた・ひなな)はホシカの店の前にいたが、閉店している様子を訝しんでいた。グィネヴィアとは同じ学院で知り合いとなり、この店の人と一緒に石を買いに行くという話を聞いて様子を見に来たのだが、どうにも様子がおかしい。
「……何かあったのかなぁ……人はいるみたいだし、聞いてみようかな」
日奈々は鋭い聴覚と気配で店に人がいる事を知り、勇気を出して事情を聞こうとドアをノックした。
すぐにホシカが現れた。
「……ここにグィネヴィアちゃんがいると思うんですけど」
日奈々は小さな声でグィネヴィアについて訊ねた。
「……もしかしてグィネヴィアちゃんのお友達?」
ホシカは日奈々の聞き方にグィネヴィアの友人だと思い、逆に聞き返した。
「……知り合いになったばかりで……もっと、仲良くなりたいと思って様子を見に来たんですけど」
日奈々は少し困ったようにますます声が小さくなる。友達というにはまだ知り合って間もないから。
「……グィネヴィアちゃん、どこかに行ってしまったの。私が用事に行っているうちに。キーアちゃんもいなし、石の処理も」
ホシカは大変な状況を話した。
「……私も……グィネヴィアちゃんを捜してみますね」
少し考えた後、日奈々はグィネヴィア捜索に出発した。
「……確かグィネヴィアさまが石を求めた店とはここですわよね」
白鳥 麗(しらとり・れい)はグィネヴィアが石を買いに行ったのを知って興味を抱き、店に来た。
「しかし、お嬢様、閉店のようですよ」
サー アグラヴェイン(さー・あぐらべいん)は『閉店』と書かれたプレートを見つけた。
「……それはおかしいですわ。グィネヴィアさまが訪れたのは今日ですわよ。それに定休日でもないようですし」
麗は噂を聞いた事や定休日を確認し、今の状況がおかしい事を知る。
「……何か不測の事態が起きたのかもしれませんわ」
嫌な予感を感じた麗はドアを激しく叩き始めた。もしかしたら緊急の事態かもしれないと。
「お嬢様、もう少し穏やかに」
麗の気持ちは分かるが、あまりにも激しいノック音にアグラヴェインは思わず一言。端から見ればお嬢様としての立ち振る舞いとしてはまずい。
「あ、はい」
すぐに慌てた様子のホシカが現れた。
「グィネヴィアさまがこの店に来たはずですが」
麗は真っ先にグィネヴィアについて問いただした。
「……今は、ここにいないの」
ホシカは表情を曇らせながら答えた。
「……いない、とは」
アグラヴェインが事情を促した。ホシカは石や行方不明者について話した。
「それは大変ですわ。同じ百合園の仲間として放っておけませんわ。アグラヴェイン、参りますわよ!」
話を聞いた麗は、考える間もなくグィネヴィアを探し出すために飛び出した。学院の仲間の危機に一々考えている必要は無い。するべき事は救い出す。ただそれだけだ。
「……お嬢様」
アグラヴェインはルカルカから行方不明者二名の写真を手に入れ急いで麗について行った。
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