リアクション
着替え終ってすぐに子ども用プールに行こうとする神代 明日香(かみしろ・あすか)を神代 夕菜(かみしろ・ゆうな)が慌てて腕を取り引きとめた。
ワンピースタイプの水着を着ているから明日香は子ども用にいてもおかしくないかもしれないが、夕菜は両脇を紐で止めるトップスのビキニを着ていて、どう見ても子どもには見えない。他の子ども連れのお母さんたちからの視線を考えると、夕菜は止めざるを得なかった。
「さすがに恥ずかしいですわ」
「でも……私、泳げないですぅ……」
「教えてさしあげますわ」
「えっと……手、離さないでくれます? 深いところで置き去りにしないですか?」
「はい、いじわるなんてしませんよ。大丈夫です」
夕菜の言葉にやっと頷いて、明日香と夕菜は2人で波のプールへと向かって行った。
「そう、バタ足はしっかり太ももの付け根からですわ」
「ぷはっ」
明日香は夕菜の腕につかまり、息継ぎも含めた泳ぎの練習をしている。
しばらく夕菜が練習を見てあげていると、少しずつ泳ぎに慣れてきたようだ。
「それじゃあ、そろそろわたくしに掴まらずに――」
「ダメですぅ。まだ怖いです……」
明日香はさっきよりもしっかりと夕菜の腕を掴んで離さない。
「でも……きゃあっ!」
夕菜の悲鳴と同時に夕菜のトップスが外れ、しどけない姿となってしまった。夕菜の後ろには白い触手が少しだけ水面から出てまた水の中に消えて行った。
「って、じっと見てないでくださいー!」
夕菜は自分の腕を掴んでいる明日香を振りほどく事が出来ず、胸を出したままの恰好になってしまっている。
「別に女の子同士だから恥ずかしくないですぅ」
そんな明日香に真っ赤になって夕菜は抗議の声を上げた。
「他の人の目もあるんですよ?」
「それじゃあ、これなら大丈夫ですぅ」
明日香は夕菜の背後に回ると、自分の手で夕菜の胸を包み込み、隠してしまった。その態勢に耳まで赤くなる夕菜。
「ひゃっ……そ、それも恥ずかしいですわ……」
「……夕菜ちゃん、見てもそうだったけど……やっぱり……」
「ふえっ……?」
明日香は自分の手の平に収まりきらない夕菜の胸と自分のちょっと小ぶりな胸を比べて、少し気落ちしたようだ。
その後、なんとか水着を直して今度は50mプールを使って練習を始めた2人。どうやら明日香は今回の練習で15メートルは泳げるようになったらしい。