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水着デートは刺激的?

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「どうしたものかなぁ……」
 ホルターネックのトップスに両脇をリボンで結ぶタイプのパンツというイエローを基調とした水着を着て、波のプールにぷかぷか仰向けで浮かんでいるのは柳玄 氷藍(りゅうげん・ひょうらん)だ。
 何かを考えているらしいが、一向に良いアイディアが浮かばないらしい。
 氷藍は水の上から真田 幸村(さなだ・ゆきむら)の方をちらりと見た。彼はずっとこちらを波打ち際から見ている。
「急に言ったら……? んー……でもなぁ……んんー……」
 雲が途切れ、日差しが顔に当たり、氷藍は眩しそうに目を細める。
「言うとしたら、今日……だよなぁ……」
 氷藍はまた幸村の方を見たのだった。
(何か不穏な気配が……呼び戻すのが賢明か……)
 プールの波打ち際にいた幸村は水面にプールの波とは違う盛り上がりを見つけ、氷藍へと声を張り上げた。
「氷藍殿! このぷぅるとやら、あまり長居しては……って……」
 幸村が声をかけたと同時に、氷藍の体に2本の触手が絡みついてきた。
 1本はお腹をかかえ、動かないように固定し、もう1本は器用にトップスとパンツのリボンを引っ張ってしまった。
「わっ……!?」
 触手に気が付き、慌てて武器を取り出そうとするが、水着に武器は装着してきていない。そう気付いた氷藍はお腹の触手を手で取ろうとするが、力が強く、うまく取れない。それならとリボンを引っ張ってきた触手を捕まえようとするが、するりと逃げてしまうのと、体が固定してしまって、うまく動かす事が出来ず、捕まえる事が出来ない。
 引っ張った方の触手は一度水底へと引っ込んでいき、そのまま誰かのところに行くのかと思いきや、また浮上してきて、今度はリボンではなく、膝へと伸びて行った。
 触手は膝から足の付け根へと何度も往復する。氷藍から甘い吐息が漏れ出した。その触手の動きで体の上でとどまっていたパンツがどこかへ行ってしまいそうになっている。しかし、あまりの事に頭が回っていないのか、氷藍はその事に気が付いていない。
「貴様……烏賊の分際で主を晒し者にするとは……よほど命がいらぬようだな…… 生きたまま刺身にしてくれるわ!」
 すると、突然、触手が引っ込んで行った。近くまで来た幸村が『適者生存』でクラーケンを威圧したのだ。
 氷藍のぐったりした体が水に沈みそうになるのを幸村が抱え、そのままプールを出る。
 幸村は氷藍を床の上に置き、自分の着物を掛けると、まだひるんでいるクラーケンに向かって槍を投げた。刺さると槍に結わえ付けたロープを手繰り寄せ、また投げるを繰り返し、ある程度おしおき出来たところで、氷藍のそばへと寄って行った。
「氷藍殿、お怪我は……?」
「大丈夫だ。しかし流石だ幸村、従者の鏡とはお前のことを言うのだろう……」
「はっ、ありがたきお言葉」
「そ、それでだ……お前を従者から恋人、ひいては伴侶に格上げしたいのだが……」
「……え? 恋人……は、伴侶?」
 そう氷藍が口にすると、幸村は固まってしまった。どうやら、氷藍がずっと悩んでいたのはこの事らしい。
「……申し訳ありませぬ! この幸村、貴殿とそのような関係になることは……お、お見逃しをー!!」
 幸村はそれを一気に告げると、脱兎のごとく逃げ出したのだった。
「……ってこら待て、逃げるな幸村ー!」