リアクション
女の子2人をはべらせて、アンタル・アタテュルク(あんたる・あたてゅるく)は鼻の下がほんのすこしだけ伸びている。
(チンマイけど美少女2人だもんなぁ……独り身の野郎の殺意に満ちた視線も痛くないぜ)
「2人とも水着似合ってる、可愛いぜ」
白のビキニに身を包んだ芦原 郁乃(あはら・いくの)とピンクのビキニを着た荀 灌(じゅん・かん)に言う。
「まあねぇ〜」
得意げにする郁乃に対し、灌は恥ずかしそうにうつむいてしまった。
「ありがとうです……」
そのまま3人で波のプールまで行き、郁乃と灌はプールの中へ。アンタルははしゃいで遊ぶ2人を眺めながら、プールの近くのイスでたこ焼きとウーロン茶を飲み始めた。
「そーれ!」
「きゃあっ!」
水の掛け合いっこをする2人は水滴が太陽の光を乱反射してキラキラと輝いて見える。
するとそこへ突然、異変が現れた。水中から白い触手が2本飛出し、郁乃と灌の2人に忍び寄る。それを見たアンタルは血相を変えて2人の元へ駆け寄った。
2人ともアンタルのただ事ではない様子にやっと触手が自分たちを狙っている事に気が付き、固まってしまった。
「おらぁっ!」
回し蹴りを2本の触手に同時に加えると触手はすごすごと引き下がっていった。
「大丈夫か!?」
アンタルが2人に聞く。
「うん、助かったよ〜」
「お兄ちゃんありがと」
2人がにっこりと笑ってお礼を言った瞬間、アンタルは鼻血をプッと吹き出して、前のめりに倒れた。水につかる寸前、郁乃がアンタルを支えた。
「ど、どうして……? わ、わ、ぅわぁ!」
灌は自分のトップスが外れてしまっている事にようやく気が付いた。郁乃も外されてしまっていたので、胸が丸見えになっている。
真っ赤になりながら、灌は慌てて漂っていた2人分の水着を回収し、2人で、アンタルを支えるのと着替えるのを交互にした。着替えが終わると、すぐにアンタルをプールから出す。
しばらくして、アンタルが目覚めるとそこは灌の素敵な膝枕の上だった。
「へっ……」
「へ?」
「……ヘ……ブン……桃……源、郷……」
やっと鼻血が止まったと思っていたのに、また思い出したのと、下から胸を見上げるというシチュエーションにもう一度鼻血を吹き出し良い顔で気絶したのだった。
なぜか鼻血で床に『もう死んでもイイ』と書かれていたのだった。