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リアクション
第4章 最終決戦
敵のボスを倒さんとする勇気ある者たち。彼らはそれぞれの方法で最後の決戦へと向かっていた。
セトとエレミアは【セイレーン】の援護の下、防御スキルを使用しながら敵陣に切り込む。併走する水神樹は迫りくる矢をハルバードではたき落とし、三人は甲板に降りることに成功した。
「ここは私に任せて、お二人はまっすぐ三人組のところに向かってください」
樹が海賊たちの前に立ちはだかる。
「恩に着ます。そちらもお気をつけて!」
「頼んだのじゃ」
セトとエレミアは樹に礼を言って船室へと向かう。
「この戦い、絶対に負けるわけにはいきません!」
樹は気合いを入れ、ハルバードを構える。
「なにかっこつけてやがるんだ、この女が!」
一人の海賊が早速樹に斬りかかる。樹はハルバードのリーチを生かし、冷静に突きの牽制で対処した。海賊は樹が一筋縄ではいかない相手だと悟ると、距離をとってゆっくりと樹の周りを回る。
「嬢ちゃんやるじゃねえか」
「俺らの相手もしてくれよ」
樹が海賊と睨み合いを続けていると、他の海賊たちが集まってくる。
「……集団攻撃ですか。情けないことこの上ありませんね。いいでしょう、そのねじ曲がった根性、まとめてたたき直して差し上げます」
樹はハルバードでなぎ払う。樹の周囲にいた海賊たちは、これを避けようとしてバランスを崩した。
「せえいっ!」
樹はこのチャンスに気迫溢れるチェインスマイトを見舞い、一度に二人の海賊を攻撃する。そうして海賊たちを分断すると、ハルバードで斬りかかり、近くの海賊から追い詰める。
「たっぷり反省してもらいますよ」
こうして樹はハルバードを状況によって巧みに使い分け、海賊を各個撃破していった。
ベア・ヘルロット(べあ・へるろっと)とマナ・ファクトリ(まな・ふぁくとり)は、大砲が数多く設置されている側面を避け、海賊船の後方でじっとボート上に待機していた。
「よし、いくぞマナ」
船上での戦いが激化してきたのを確認すると、ベアが腰を上げる。
来るボス戦に備えて力を温存するため、なるべく海賊たちとは戦いたくない。そこで二人は、生徒たちと海賊たちが乱戦を始めるのを待っていたのだ。
「ようやくこのときがきたね」
マナも気を引き締める。
ベアが爪付きの丈夫なロープを海賊船にひっかけ、二人は船腹を登っていく。ここまでは作戦通りだったが、ベアが甲板を覗き込んだときに近くで爆音がした。後方にも移動式の大砲があったのだ。
「ぬおっ!?」
驚いたベアは足を滑らせて海に落っこちてしまう。
「ベア!」
心配そうに下を見るマナ。その上から声がした。
「ユリ、その人を助けてあげるのだ」
声の主は箒に乗ったリリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)だった。
「分かりましたぁ」
パートナーのユリ・アンジートレイニー(ゆり・あんじーとれいにー)は箒でベアのもとに向かい、彼を救助する。しかし、ベアが箒に乗ると、ユリは身をのけぞらせた。
「ひ〜ん。あんまりくっつかないでくださいですぅ」
彼女は男性が苦手なのだ。
マナがじとっとした目でベアを見る。
「いや、俺は何もしてないぜ」
ベアが焦って弁解する。
「ユリ、いい加減その男嫌いをどうにかした方がよいぞ。不便であろう。さて、リリは大砲を潰してくるぞ」
ウィザードであるリリは白兵戦に向かない。そこで彼女は、大砲を破壊し、海上から海賊船に接近する仲間を援護することに決めた。
リリが光条兵器『ニケの翼』を発動させる。すると、胸のメダリオンから体を貫いて背中に翼状の光条が生えた。この光条は鳥の翼程度の可動性があり、半自動で物理攻撃を防御する能力をもっている。
「大砲があるなら、近くに火薬樽もあるはず……あれに間違いなかろうな」
火薬樽をめざとく発見したリリは、それに向かって火術を放ち、誘爆させる。爆発は大砲を巻き込んだ。
リリは間髪入れずにアシッドミストを唱えて敵を攪乱すると、ユリに合図する。
「ユリ、今がチャンスだぞ」
「い、行きますぅ」
ベアを乗せたユリが海賊船に接近する。だが、ユリは肝心なところで箒の先を船縁にひっかけ、つんのめった。
ベアは高々と宙を舞い、豪快に甲板へと叩きつけられる。
「はう、ごめんなさぁい」
マナも慌ててロープを登り、乗船した。
「せめてものお詫びにヒールを……」
マナはヒールを唱える。ところが、かけた相手はベアではなく海賊だった。
「ユリ、もう十分であろう。やるべきことはやった。後は白兵戦を担当する者たちがなんとかするはずだ」
「うぅ……私、またドジをしちゃいました」
「船には乗せてやったのだから、あの男も文句はなかろうよ」
形はともあれ、こうしてベアとマナも乗船に成功した。
綾瀬 悠里(あやせ・ゆうり)とパートナーの千歳 四季(ちとせ・しき)、イエス・キリスト(いえす・きりすと)(彼女自身は自分のことを「ヨシュア」と呼ばせている)は最初、海賊船に直接攻撃を仕掛けるメンバーと行動していた。
そうしてボートで海賊船の近くまでやってくると、悠里は箒で、イエスは守護天使である四季に運んでもらって乗船する。
三人が船内へと続く入り口の前にやってくると、そこには既にセトとエレミアがいた。セトは悠里たちに気がつく。
「あなたたちも三人組を?」
「ええ、そうです」
悠里が答える。
「よかった。仲間を探していたんですよ。相手が相手ですからね。よろしければ一緒に行きませんか?」
「よろこんで」
セトたちは船内に入り、片っ端から部屋のドアを開けていく。だが、どの部屋にも誰一人いなかった。海賊たちは戦闘に出払っているのだろう。残す部屋は一つだけとなった。
「……開けますよ」
セトが最後の部屋のドアに手をかける。そして一気に開け放った。
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