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リアクション
■□■□■□■
「珠輝さん連れてきたよー!」
「やあ、美しいお嬢さん。またお会いしましたね」
ファル・サラーム(ふぁる・さらーむ)が、先にホイップを探しだしていた早川 呼雪(はやかわ・こゆき)の元へと珠輝を連れて戻ってきた。
「変熊様をお連れしてきました」
「はっ! 俺様のをえのき茸発言ホイップちゃん!」
今度はユニコルノ・ディセッテ(ゆにこるの・でぃせって)が仮面を連れてきたのだ。
「ぶっ! い、一体なんのこと!? はじめましてだよね?」
呼雪に貰っていたあったかいお茶を吹き出しそうになりながら仮面へと質問をする。
「……ん? もしかしてアレは……本当にキノコの話だったのか?」
「キノコ狩りだったら今日してたよ?」
「……そうか……では、いつもの挨拶をやり直すと――」
「とりあえずご飯食べないか?」
マントを開きそうになる仮面を呼雪が制し、やっとお昼が始まったのだった。
呼雪が作ったのは出汁巻き卵、唐揚げ、たこさんウィンナー、おひたし、それとデザートのプリンだ。
主食はファルとユニコルノが挑戦しており、ファルは形の崩れたおにぎり、ユニコルノは定規で測ったかのような二等辺三角形のサンドウィッチだ。
「あのね、形は悪いんだけど味は悪くないんだよ? サケとか昆布とか梅とかあるよ? 何が良い? あ、ボクの好きなたこさんウィンナーもあげる!」
ファルは自分が作ってきたおにぎりをホイップへと勧める。
「えっと、じゃあ昆布食べたいな」
「うん! どうぞ!」
ホイップが1つ手に取り、食べた。
食べるまでじっとホイップの顔を凝視している。
「うん、美味しいよ! 塩加減も丁度良いし!」
「本当!? 良かったぁ〜」
ファルは胸をなでおろす。
「良かったな。これでホイップのところにお婿に行く事になっても大丈夫だな」
「げほっ! ごほっ! もうっ!」
呼雪の発言にびっくりしたファルがおにぎりを喉に詰まらせ、真っ赤になって抗議していた。
「ん? また紛らわしい事を言ったか?」
「う、うん。そうだね」
聞いて来た呼雪にホイップは素直に返事をした。
「変熊様、良かったらサンドウィッチをどうぞ。ハム、レタス、チーズの入ったものと玉子サラダの2種類ございます」
ユニコルノが仮面へと勧めると、玉子サラダを手にとった。
「うまいっ!」
「それと、こちらは毛糸のパンツで御座います。そろそろ寒くなってまいりましたから」
真っ赤な手編みの毛糸のパンツを差し出す。
「気持ちはありがたい、だが……この格好は俺様の美学だ! だから気持ちは受け取っておく。有難う」
そう言うと、仮面はパンツを受け取り、マントの内ポケットへとしまったのだった。
そして、珠輝はというと――。
「ああ! 美しい!!」
そう言い、妖しく笑いながら筆を走らせていた。
勿論、おにぎりとサンドウィッチ、おかずはきちんと確保していた。
■□■□■□■
「食材お待たせしましたですぅ」
「只今戻りましたわ〜」
籠一杯の食材を持ってきたのはメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)とフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)だ。
「うわあ! 色々とあるね!」
2人が戻るのを調理の準備をして待っていたセシリア・ライト(せしりあ・らいと)が籠を覗きこんで、そう感想をもらした。
「山ぶどうだ! あけびもある! それからシイタケ、エノキ、大きなナメコ、クリタケ……この真っ赤で毒々しいのはタマゴタケだね! えっ……幻って言われてるショウロまであるよ!?」
セシリアは驚いて2人の顔を見た。
「それはもらったんですぅ」
「和子様が扱いに困っていたから、貰ってきたのですわ」
「そっか! それじゃあ、調理開始しますかっ! なんか面白い食材が多いし、燃えてきたよ!」
腕まくりをすると、枝を使って落葉の山の中からほくほくになっているジャガイモを取り出した。
それを2人に渡し、そのまま食べるように促す。
帰ってきたらお腹が空いてるだろうという配慮だ。
2人はほっくほくのジャガイモを頬張り、体を温める。
「じゃ、あとのジャガイモは皆にあげてね! 僕、料理してくる!」
セシリアは珍しい食材で嬉しいのだろう、鼻歌が聞こえてくる。
少し時間が経つと調理が全て終了したようだ。
沢山のキノコを使ったスープに、ショウロは茶わん蒸し、タマゴタケはてんぷら、山ぶどうやあけびはデザートとしてそのまま出している。
家を出る前に焼いて来たパンも出し、お腹の空いている人達を呼び寄せた。
すると、自分の分まで確保出来なかったカガチや、運動をして相当お腹の空いているフットサルチーム、食べるの大好きなシロ、そしてペーパードレスのロザリィヌもやってきた。
ホイップもショウロが食べられると聞いて、やってきたようだ。
皆で歓談しながら楽しい昼食会となった。
「ショウロって不思議〜。しゃりしゃりしてる!」
ホイップは自分でも見つけたショウロを口に出来て満足しているようだ。
食後には紅茶とコーヒーを出し、のんびりと景色と空気を楽しむ。
「そういえば、日本のどこかにはもみじの天ぷらっていうお菓子があるんだって」
紅茶をすすりながら、セシリアが言う。
「もみじって、食べられるんですか。知らなかったですぅ」
メイベルが食い付いた。
「うん、でも決まった種類の葉っぱだけみたいだから、ここにはないよ? シロちゃん」
「そうなんですか……残念です」
さっそく取りに行こうとしていたシロをセシリアが止め、暖かな笑いが起こった。
■□■□■□■
こうして昼食も無事に過ぎたのだった。
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