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【借金返済への道】秋うらら、行楽日和!

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【借金返済への道】秋うらら、行楽日和!

リアクション

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「これより! 第1回パラミタフットサル最強決定戦を行いたいと思います!」
「……いや、クロセルよ。最初で最後じゃないのか?」
 気合いの入ったクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)の言葉にマナ・ウィンスレット(まな・うぃんすれっと)がツッコミを入れた。
「細かいことは気にしちゃダメですよ!」
 しかし、軽く流された。
 その様子をフットサルをやろうと集まった面々が笑って聞いている。
「ささ、早く始めようや! 日が暮れてまうで」
 一番最初にフットサルをやろうと声をかけた社が掛けあいに交ざった。
「そうだな、では審判の私が軽く説明を。まず、さっきサイコロで決めたチーム毎に分かれて、ポジションを決めてしまおう」
 マナの提案に皆が賛同し、それぞれのチームへと分かれた。

【オッドナンバーズ】
レロシャン・カプティアティ(れろしゃん・かぷてぃあてぃ)
ネノノ・ケルキック(ねのの・けるきっく)
クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)
樹月 刀真(きづき・とうま)
ヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)

【イーブンナンバーズ】
ホイップ
日下部 社(くさかべ・やしろ)
望月 寺美(もちづき・てらみ)
愛沢 ミサ(あいざわ・みさ)
神和 綺人(かんなぎ・あやと)

【審判】
マナ・ウィンスレット(まな・うぃんすれっと)

【写真係】
漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)

「それじゃあ、チームが解りやすいようにビブスを配りますね……ふわぁ〜……眠い」
 レロシャンは数字が書かれたベスト状のものを欠伸をしながら配布する。
「レロシャン、試合中は集中して下さいね」
 自前サッカーユニフォームに身を包んだネノノがいつになく真剣にレロシャンに詰め寄る。
「わ、解ってるよ〜」
 その様子にたじたじになった。
 ビブスを配ったあとは、ネノノの『サルでも出来る簡単キック講座』が開催され、ボールにあまり触ったことのない人達にも解りやすいと評判だった。

「ホイップちゃん!」
「ん? 何?」
 体操服にブルマという出で立ちの愛らしいヴァーナーがホイップを背後から呼んだのだ。
「えへへ! ホイップちゃんの分も用意したんですよ! さっ、あっちの草むらでお着替えです!」
「へっ? ……へっ!?」
 頭にはてなマークを飛ばしまくってホイップは無理矢理草むらへと引きずり込まれた。
「あっ、覗いちゃ駄目ですからね!
 めっ! というポーズを男性陣に向けて取る。
「ボクはここでちゃんと見張ってますから安心して着替えて下さい」
「安心してって言われても……流石にこれに着替えるのは……」
「ダメ……ですか?」
 潤んだ瞳に見つめられ、折れてしまった。
 しばらくごそごそしていると着替えが終わり、草むらから出てきた。
「は、恥ずかしいよぅ〜」
 顔を真っ赤にしながら、上の体操服を必死で引っ張りブルマを隠そうとしているが、全く隠れていない。
「ホイップ似合うねぇ!」
 ミサが感心したように言う。
「コレが……萌え?」
 月夜は早速デジカメでホイップとヴァーナーを撮影しておく。
「だ、ダメ! 恥ずかしいよ!」
 慌ててカメラのレンズを覆い隠そうとするが、ひらりとかわされ失敗に終わった。
「ホイップちゃん、勿体ないですよぅ〜。似合っているんだからもっと見せるべきですぅ」
 寺美がホイップの姿を良く見せようと、服を引っ張っている手をどかした。
 男性陣は気まずくて、なんとなく目をさらしている。
 なんだかんだとあったが、無事にキックオフ!

 ネノノのキックから始まり、華麗なボール回しでオッドナンバーズがゴールへと向かっていく。
「クロセルくん!」
「女性からパスだなんて光栄ですよ……っと」
 相手コートに入っていたクロセルへと低いパスを出す。
「このままゴールだなんてさせないから!」
 そのパスが上手くいく寸前に綺人が割り込み、パスの阻止成功。
 奪ったボールは直ぐに相手コートで走っていた寺美へとパスが行く。
「寺美さんっ!」
「任せるですぅ〜! ここは僕たちゴールデンコンビが実力を見せるですぅ! ねっ? ホイップちゃん!」
「へっ!? わ、私!?」
「うんうん、さっ! いっくですぅ〜!」
「う、うん! 頑張るよ!」
 寺美の無茶振りに驚いたが、意外とノリよく寺美へと動きを合わせていく。
 寺美からホイップへとパス、そしてホイップにマークがつく寸前で、ホイップは寺美へとパスを出す。
 結構良いコンビプレイを見せている。
「ここで決めるですぅ〜! 必殺シュートっ!!」
 パスされたボールをシャープシューターでレロシャンの待つ、ゴールへと決めた。
「させません」
 それをレロシャンは拳1本で見事に止めてしまった。
 そのままボールは相手コートへと飛んでいく。
 勢いのあるボールは一直線に社の守るゴールへと向かっていった。
「よっしゃ! 俺が華麗に止めたる!!」
 腰を落とし、臨戦態勢を取った社に近づくボール。
 そして――。
「おごっ!!」
 前に付きだした手をすり抜け、ボールは社の顔面でゴールを阻止されたのだった。
 そのまま社は顔面から地面に突っ伏した。
「タイムだ! 大丈夫か?」
 箒で空中をふよふよ飛んでいたマナが急いで社へと近寄る。
「ふぬっ! 大丈夫や! ボールは友達! 怖くなんかないさ!」
 勢いよく立ちあがり、どこかで聞いたようなセリフを言う社を周りに集まった皆は凝視した。
 たらりと鼻血が。
「なんや、なんや? 皆俺の格好良さに惚れたか……って、おわっ! 鼻血だったんかい!」
 皆から笑いが起こる。
 勿論、月夜はこの様子もばっちり撮影していた。
「これをこうすると……うん。直ぐ止まるから、暫くこのままね」
 ホイップが社の鼻、割と上辺りをぎゅっとつまんだ。
 そうすると本当に鼻血は5分で止まってくれたのだった。
「おお! ホイホイちゃんはこんな事よう知っとったなぁ」
「えへへ」
 社の鼻血が止まったのをしっかり確認してから社のキックからプレイ再開となった。
 ボールは刀真へと渡ってしまい、落ち込む社がいたが、刀真の居る地点はレロシャンの近くだったのでまだ余裕がある。
「ヴァーナー!」
「はい!」
 刀真はボールを近くに居たヴァーナーへとパスを出した。
「え〜い!!」
 パスを取り、足の裏で止め、思いっきりキックを繰り出した。
 が、そのまま足はボールに触れることなく高く上がり、背中からこけてしまった。
「あぅ……」
 一瞬何が起きたのか解らず、地面にねっ転がったまま唖然としていたが、自分がやってしまった事が理解できると顔を赤面させてしまった。
「どんまいですよ、ヴァーナー」
 ねっ転がっているヴァーナーに刀真が手を差し出す。
「刀真おにいちゃん、ありがとう!」
 手を取り、立ちあがるとヴァーナーは刀真へとハグをかました。
「私も……はぐぅ〜」
 刀真を羨ましがり、写真係の月夜はコートに入ってヴァーナーをぎゅっと抱きしめた。
「月夜おねえちゃんにボクもハグ〜」
 ヴァーナーはそのお返しのハグをした。
 ちょっとだけ汗臭いハグが終了し、試合は続行となった。
 このあと、ゴールが決まったのは結局、試合終了間際に放った強烈なキックのネノノだけとなり、パラミタフットサル最強決定戦はオッドナンバーズの勝ちとなった。
「ネノノ凄い!」
「勿論です!」
 レロシャンはゴールを決めたネノノに抱きつき、喜びを分かち合ったのだった。

 そして、試合終了後は月夜が持ってきたレモンの蜂蜜漬けとタオル、スポーツドリンクを配った。
「ああ、楽しかった! 皆お疲れ様! またやろうね!!」
 ミサがスポーツドリンクに口をつけながら言う。
「もう一度勝負ですよ! なんせ……お茶の間のヒーローである俺の活躍が無さ過ぎです! MVPを狙っていたのに……ぶちぶち」
 クロセルは自分がそんなに活躍出来なかったのが不服なようだ。
「スポーツの秋を堪能したって感じだね!」
「うん! 普段スポーツってやらないから楽しかったよ!」
 綺人の言葉にホイップが満足そうに頷く。
「……レモンが丸ごとじゃないだけ進歩……したかな」
 半分に切られた蜂蜜漬けを見て、刀真は感想をもらす。
「これでもメイド、だけど牙竜には負ける」
 進歩という言葉に月夜は嬉しそうに言う。
「ホイップ、全力で遊べた?」
「うん! 勿論!」
「そっか! ここに来るまで少し暗かったから心配したんだよ!」
「へっ!? ご、ごめん! でも、大丈夫だよ? 有難う」
 柔らかく笑うとホイップは汗でびっしょりの体操服とブルマを着替えに草むらへと向かったのだった。