First |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
■依頼を受けた日
「やっと……やっとオレの事件がきましたーーー!」
そんな【百日紅 火焔(さるすべり かえん)】の叫び声が探偵事務所の部屋から聞こえてきた。
炎天下の中、マンションの側にある木で鳴いていた蝉が驚いて飛んで行った。
呼び鈴を鳴らそうとしていた秋月 葵(あきづき・あおい)とリア・リム(りあ・りむ)はびくりと肩を震わせる。
お互いに押そうとしていた手をひっこめた。
マンションの一階にあるインターホンで、2人とも顔を見合わせる。
「何かあったのかな?」
「そうらしいな」
葵の言葉にリアが同意を示す。
リアが呼び鈴を鳴らすと【陽炎 橙歌(かげろう とうか)】がすぐに出て、通してくれた。
2階のフロア全てが事務所となっている。
綺麗な花が飾られた事務所の玄関にくると、橙歌がゆっくりとお辞儀をし、2人を待合室へと通してくれた。
橙歌が待合室を出ると2人は会話の中でお互いがここに来た理由を話した。
葵は火焔に探してもらっていた猫を引き取りに、リアは一週間前に食糧の買出しをすると出ていったきり戻ってこないルイ・フリード(るい・ふりーど)を探してもらう依頼をしにきたとのことだ。
会話が一息つくと小谷 愛美(こたに・まなみ)とマリエル・デカトリース(まりえる・でかとりーす)が応接室から出てきた。
「全てはこの百日紅 火焔にお任せ下さい!」
火焔はキラキラとした眼差しで愛美とマリエルを見ている。
「お願いします」
そんな火焔に愛美は安心した表情で返した。
「何かあったの?」
葵がマリエルに話しかけると、怪盗から愛美を狙われている話しを聞かせてくれた。
「なんか大変そうだね……」
葵はそう呟く。
「なっ! 僕は依頼をしようと思っていたのに……それが終わらなければ僕の依頼がこなしてもらえないのではないか?」
リアは絶賛迷子中のルイの事を一瞬考え……まあ、無事ではあるだろうが、やはり心配だという結論になったようだ。
「僕も手伝う! だから早く解決して僕の依頼を受けてくれ!」
「ええっ!?」
リアの申し出に火焔は驚きの声を上げる。
「別に手伝って下さる分には構わないんじゃないですか? その方がさっさと終わりやがる……ですの」
「う……はい」
橙歌の言葉に力なく頷く火焔だった。
この日、事務所をあとにしたマリエルや愛美は自分の知り合いに今の状況を説明するメールを送ったようだ。
First |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last