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【怪盗VS探偵】闇夜に輝く紫の蝶

リアクション公開中!

【怪盗VS探偵】闇夜に輝く紫の蝶

リアクション

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 青太がいる場所とは反対側の広場の外れ。
 そこで蠢く人影があった。
「この混乱に乗じて作戦を実行です。宜しくお願いします!」
 そう陽太が告げた。
「あとでちゃんと食べ放題を奢ってもらいますわよ!」
「おにーちゃん、スイーツバイキング忘れないでね!」
 エリシアとノーンはそれぞれの約束に念押しすると、エリシアが持っているベルフラマントに一緒に入ろうとした。
「その作戦! ちょっと待ったァァァァァっ!」
 どこからともなく声が降って来る。
 上を見上げる3人の目に飛び込んできたものは、ユニコーンにまたがって下りてくる音井 博季(おとい・ひろき)だ。
 何故、停電しているのに博季だとわかったのか……それは西宮 幽綺子(にしみや・ゆきこ)が光術でライトアップをしているからだ。
「な、なんなんですか!?」
 陽太の声がひっくり返っている。
「イルミンスール魔法学校所属! 魔術士・音井博季ここにありッ! 白昼堂々怪盗の手助けとは言語道断! 愚かな企みみは即刻止めて、直ちに慈善活動とかゴミ拾いあたりにその情熱を燃やすがいいッ!」
 ユニコーンが着地するとそう名乗りを上げた。
「いや、カンペ出してもらっての口上とか……決まってないですわよ?」
 エリシアからつっこみが入ったが気にしない。
「騎士道大原則! 一つッ! 騎士たるもの、弱きを守らねばならないッ! そんなわけで正々堂々勝負ッ!! 僕が勝ったら、即刻悪巧みを諦めてくださいッ! ……僕が負けたら、僕が人質になりましょう!」
「騎士道って……。貴方さっき自分で魔術士って名乗ったじゃない? しかも大きな声で」
 今度は幽綺子がツッコミを入れた。

「皆さん元気ですねぇ。怪我しないと良いですが、頑張って下さい」
 そんな楽しげな様子をちょっと離れたところから観戦しているのは神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)だ。
 持参した冷たい緑茶をすすり、手作りのローズヒップゼリーを食べている。
「敵、味方混じってますけど、見てる分には、楽しいです」
「これは、混戦だな? 最後に、立っていたのが、勝利みたいな感じだな」
 その横では柊 美鈴(ひいらぎ・みすず)レイス・アデレイド(れいす・あでれいど)が涼しげな顔で冷たい緑茶を飲んでいた。

「もしもし? 何か妙な集団が妙な動きをしてて妙に怖いのよ。妙なクスリとか持ってたりするのかも……。至急来てくれないかしら? 特に目の前でユニコーンに乗ってる人が……」
 話しは戻りまして、幽綺子が携帯を使って警察に電話を掛けている。
「って、僕もかよ!!」
 今度、ツッコミを入れたのは博季の方だった。
 暫くすると本当に警察が広場の中へとなだれ込んできたのだった。
「ちょっと何してくれてるんですの!?」
 エリシアの声が響いたのだった。

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 怪盗と探偵の攻防とは全く関係ないことをしている人がここに1人。
 御子神 鈴音(みこがみ・すずね)は校長に交渉して、ツァンダ東の森の調査の為に校庭の隅にテントを張っていたのだ。
 テントが無事に張り終わると、先ほどからずっと騒がしかった広場の方へと出向く。
 広場では警察官とよくわからない服装をした怪盗達と探偵達が入り乱れて、それを沢山の一般人男性が巻き込まれている。
「これが誘拐現場……?」
 なんともカオスチックな現場を目撃することとなった。
「ド派手に行こうか!」
 そう叫びながら、近くに来たのは大佐だ。
 大佐は背中からロケットランチャー(中身は花火)を発射して、場を混乱させている。
 その大佐が鈴音と目が合うと、バーストダッシュで一気に間合いを詰めてきた。
「お持ち帰りさせてもらおう」
「はい?」
 大佐の言葉に無表情で答えるが、大佐はお構いなしにお姫様抱っこで鈴音を抱えると広場から遠ざかっていってしまった。
(どうなってるの?)
 顔には現れていないが、鈴音は内心かなりびっくりしていたのだった。

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「あたしの大事なマナを盗むとは良い度胸! マナはこのあたし……メイド怪盗【ラヴストーカー】が盗んであげるわ!」
 漆黒のメイド服に白いエプロンがよく映える。
 朝野 未沙(あさの・みさ)がポーズを決めて、広場中心の木の手前の辺りにやってきた。
「さーて、マナはどこかなぁ〜?」
 キョロキョロと辺りを見回すと、何やら愛美と同じ格好をしている人達がちらほら。
「見つけた!」
 そう言って、近くを歩いていた女性の手を掴むとすぐに手錠を掛け、盗まれないように先手を打った。
「これなら盗まれないよね! マナ! あたしが守るからね!」
「確かにマナですけど〜」
 それは愛美に変装していた葵だったようだが、暗くていまいちわかっていない。
 瞬間、2つの街頭の上に人影が現れた。
「メイド魔女っ子、ラグブラック参上です!」
 1つにはアインが……
「メイド魔女っ子、ラグホワイト推参です」
 もう1つにはツヴァイが乗っていた。
「魔法の機晶キャノンで私の必殺技をお見舞いしてあげます! スターでライトなブレイカーですよ! っとと……反動凄いから下りないと……きゃっ!」
 アインが街頭から降りようとしたのだが、お尻から着地状態になってしまった。
「と、とりあえず……そこの怪盗さんっ、おとなしくお縄につきなさーい! 10数える間に投降しなかったら、問答無用で撃っちゃいますよー!」
 恥ずかしそうに顔を赤くしながらアインが叫ぶ。
「カウントダウンなんて必要ないですよ姉上。とりあえず一発ぶち込んでおけば万事解決なんです。リリカルマジカル、アフロにな〜れ!」
 が、ツヴァイは問答無用で六連ミサイルポッドを発射した。
「あたしはただマナを守りたいだけなのにーーー!」
 ミサイルは見事、未沙の頭上に命中。
 華麗なるアフロなメイドさんがそこにはいた。
「お前が犯人だな! 俺の名は万有コナンッ! 探偵さっ! 大人しく変死体になれっ!」
 未沙がげほげほしているところへ登場したのは万有 コナン(ばんゆう・こなん)だ。
 マッチョで野太い声、そして素肌にブレザーを着こみ、首には赤いアゲハ蝶の蝶ネクタイ、ぴっちぴちの半ズボンを履いている……これでも小学生なのだから驚きだ。
「あの人が被疑者リストに書いたメイド怪盗【ラヴストーカー】みたいよ! ……アフロ怪盗に転向したのかしら?」
 首を捻っているのは公孫 勝(こうそん・しょう)だ。
「うるさいわね! 違うわよ!」
 未沙は必死に髪型を直そうと手で髪を撫でつけているが、まったく直らない。
 そんな2人をよそに、コナンはアインとツヴァイに背中に装備していたグレートソードで切りかかろうとしていた。
 大胸筋がぴくぴくしている。
「私達は探偵側ですよーー!」
 慌ててアインが言う。
「いや、探偵も俺1人で十分だし」
「きゃーーーー!」
 理不尽なコナンの言葉にアインとツヴァイは悲鳴を上げる。
「巨獣狩りライフルの準備OK! 発射!」
 その瞬間、コナンの背後からライフルがぶっ放された。
 コナンの体に当たったが、死んではいない。
 弾はゴム球に変更されているようだ。
 しかし、その反動は凄いようで、巨躯のコナンが前のめりになり体勢を崩した。
 ライフルを構えていたのはリアだった。
「はい、そこまで。君ら少しやり過ぎだから」
 そう言うと、佑也は皆の頭を軽く叩いていく。
「はい、ごめんなさいは?」
「ごめんなさい……」
 佑也の【皆のお父さん】の名は伊達ではないようだ。
 頭を叩かれた者はみなシュンとなってしまったのだった。

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 蝶子と少し違う衣装を身に纏っているのは明日香だ。
 その衣装からは白い猫耳と尻尾が生えている。
「ネコミミ怪盗参上ですぅ〜! 愛美さんは私が盗ませていただきます!」
 明日香はそう言うと、近くに居た蒼空学園女子制服を着た2人に近づいた。
 背後からそっと忍び寄り、背中に羽の生えていない方を抱きかかえようとした。
「…………」
 しかし、持ちあがらない。
「ふはは……もてない・やるせない漢の味方、怪盗ヤルセナイザー! 呼ばれていないが、ただ今推参! リア充の連中は地べたにはいつくばるがいい! お嬢さん、マナミンを盗むのをお手伝いしよう!」
 明日香の背後から女性を持ちあげたのは正悟だ。
「ああ! 今度こそあなたがマナミンの運命の人だわ! 付き合ってください! ……警察署まで!」
 正悟の腕の中にいたのは、なんと女装した健勝だったのだ。
 健勝は正悟の足元に氷術を使用。
 凍った地面に足を取られ、健勝を抱えたまま正悟はすっ転んだ。
(こんな変装に引っかかる人、本当にいるんだ……)
 マリエルに変装していたレジーナが、そんな正悟を無言で縛り上げようとする。
「させません!」
 助けてもらった明日香が胸元に手を突っ込み、何かを取りだすと地面に投げつけた。
 中身は煙幕ファンデーション。
 辺りは真っ白になり、視界が遮られる。
 レジーナの手が止まっているうちに、明日香は正悟を起こすと、健勝を抱えたまま走り出していた。
「助かった!」
「怪盗同士助け合うのは当然ですぅ! でも……この人どうするんですか?」
「……一応戦利品ってことで……」
 2人は健勝を連れて、アジトへと向かって行った。