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リアクション
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「わーはっはっ!!」
蝶子達が走っている最中、どこからともなく笑い声が聞こえてきた。
「誰!?」
「私の名は解凍レッド・エビフライ! 貴様、私と被っているぞ!!」
前方から現れたのは変熊 仮面(へんくま・かめん)だ。
蝶子の問いに答えながら、びしっと指差した。
ついでに仮面の背後からは大量の薔薇吹雪とビラが飛んできた。
いくつもの扇風機で無理矢理散らしている。
「あたしは露出狂じゃないわよ! どこが被っているのよ!」
そう、仮面はいつもの格好……全裸に薔薇学マントで登場しているのだ。
「ふっふっふ……」
薔薇を一輪咥え、不敵な笑みを見せる。
「あんたの方が被ってるじゃないの! このビラは何!?」
『■月○日19時【小谷愛美】を盗ませてもらう。』
ビラにはミミズがのたくったような汚い字でそう書かれていた。
「貴様が私の真似をしたのだ! これでも食らえ!! そして、愛美は私がいただく! そいつらは偽物だ! 本物の愛美は……こいつらだ!」
仮面が指差した先にいたのはメモリープロジェクターで愛美の姿をかぶせたペルディータと橘 舞(たちばな・まい)、そしてマリエルというデカデカとした名札がついているもののかなり無理のある変装をしているブリジット・パウエル(ぶりじっと・ぱうえる)だ。
「いや、2人もいる時点で本物やないやろ! パープル・エビフライもなんと言いや!」
突っ込みをしてきたのは日下部 社(くさかべ・やしろ)だ。
「パープル・バタフライ! 怪盗パープル・バタフライよ! あんな変態と名前を混同しないで頂戴。そもそも本物かどうか分からないなら……全員盗めば良いだけの話しよね!」
「そうはさせません!」
「それさっきも聞いたからもう良いわよ!」
火焔に蝶子はきっぱりと言い放った。
「しかし……お色気系の怪盗とは……私の美貌で貴方の心も盗んじゃうぞ☆とか言う気かっ!? よっしゃ! これからお世話になりやーすっ!」
まじまじと蝶子を見ていた社がそんなことを言いながらお辞儀をした。
「はっ! アカン! 危うく怪盗のペースに乗せられるとこやった……」
「あたしは何もしてないわよ! で、あたしを使ってどういうお世話になろうとしていたのかしら?」
蝶子は社の側によると、社の頬を優しく撫でた。
顔をほんのり赤らめる社。
「そりゃ勿論――って、だまされんぞ! 危うく色々ばらしてしまうとこやったー!」
「あなた可愛いわね。名前は?」
「く、日下部社や!」
「そう……覚えておいてあげる」
妖艶な笑みを浮かべると、蝶子は戦い(?)へと戻って行った。
「さあ、春美さん、ピクシコラさんお願いするわ!」
蝶子が言うと、蝶子のすぐそばでポンという音とともに兎とハトがいきなり飛び出した。
成功するとピクシコラが姿を現した。
ブラックコートで姿を隠していたのだ。
電気はまだ復活していないので、いるのがわからなかったのだ。
それに気を取られているとペルディータ、舞、ブリジットが宙に浮き蝶子のそばに連れてこられてしまった。
そして、ピクシコラが持ってきているサンタのトナカイに乗せてしまった。
成功すると光学迷彩で姿を隠していた春美が姿を現した。
サンタのトナカイにはアスティと美羽も乗せられている。
「連れていかせませんよ!」
火焔は蝶子へと走り出したが、司とウォーデンが前に立ちはだかる。
「怪盗セバスチャンがお相手しましょう。しかし……鼻しか役に立たない人が一体何をすると言うんです? その鼻もさきほどの仮面くんの薔薇の匂いで役に立つとは思えませんが」
「くっ……確かに……犯行前から何故かミルクとレモンの香りが取れずに苦心していましたが……こうも薔薇の香りが強いと……」
司がずばりの事を言って、火焔の心を折る。
「鼻しか役に立たない屑が今さらそんな事で傷ついてるんじゃねぇ……ですの」
「ぐはぁ!」
「へたれ……ですの」
本当に助手かと疑いたくなるような橙歌の言葉が突き刺さる。
「怪盗アンスールも……って、なんか必要ないくらい落ち込んでるよね。どうする? セバスちゃん」
「そうだですね……なんだか、こっちが意図するよりもしっかりダメージがあるみたいですし、このままにしときましょうか」
「そうだね」
再起不能となっている火焔を放置して怪盗達は全員去ろうとした、その時――
「たとえ闇夜にまぎれても、悪の匂いは消せやしない。今こそ魅せます正義の忍術。『まじかるくのいち☆さゆきちゃん』参上だよっ」
沙幸は名乗り口上を済ませると蝶子に向かって手裏剣を投げた。
「和服とか黒足袋ニーソとか……被ってるなんて許せないんだもん!」
どうやら蝶子を攻撃した意図はそこにあるらしい。
「何するの……って、いやーーーん!」
沙幸の投げた手裏剣は蝶子の帯に当たり、帯が解けてしまった。
慌てて直す蝶子。
その様子を見ていた周りの出会い系男性と警官の目が釘付けになる。
すると、見ていた男性達の目に熱々のエビフライが張り付いた。
「貴様達のスケベ心は頂いた! 裸ならほらここに居るだろ!」
仮面はマントを広げて自分の体を隅々まで見せる。
「被ってるって……肌蹴るところ? 食べ物が勿体ないような……」
「……す、すんません……構って欲しかったんです……」
青太の言葉に仮面は一気にシュンとなる。
そして、見ていた警官によって御用となってしまった。
仮面の行動のおかげで怪盗達は探偵の手を振り切り、無事にアジトへと帰還することが出来た。
こうして、とりあえず広場前での騒動は一段落した。
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