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リアクション
第十五章 遺跡
「へえ、最後の地図はそんな風にして手に入れたんだ」
大太刀『紅嵐』を構えた永倉八重(ながくら・やえ)は、周囲の様子を確認しながら相槌を打つ。
「ほう、にわかには信じられない話だが面白いな」
一行を先導する霧雨透乃(きりさめ・とうの)はチラリと後ろを振り向きながら話に参加する。
「でも呪詛子ちゃんたちはこの遺跡に来てるでしょ、これ全部本当なの!」
「ええ、嘘みたいですが真実なんですよ」
呪詛子と英彦は二人の女武闘家の後をついていきながら、退屈しのぎにと今までの旅について話していた。
「で、そんなに凄いワイバーンがどうして今はいないんだ?」
霧雨にそう問われると、呪詛子は口ごもってしまう。
「それは……レースが終わった後にワイバーンの元の持ち主がやってきて盗んでいったのよ!」
「呪詛子さま、元はと言えばワイバーンを盗んだのはこちらの方ですよ」
「ははは、お前たちは中々愉快だな」
体に赤い闘気をまとった霧雨が快活に笑う。だが、彼女は笑いながらどんどんと出現するモンスターを蹴散らしていた。
いや、それは霧雨だけでなく八重や英彦も次々と現れるモンスターを葬り去っていた。一人を除いて、
「むっ、呪詛子ちゃんだってやれば出来るんだから」
自分一人だけ仲間に入れないのが嫌なのか、呪詛子はつんと胸を張って不機嫌そうにする。
だんだんと、遺跡の奥へと進むうちにモンスターの襲撃はその激しさを増してきていた。
「グッ……予想以上にキツくなってきましたね」
英彦は闇から次々と繰り出されるモンスターの攻撃を、ブライトシャムシールでなんとか凌ぐ。
一同は移動の邪魔になる数体だけを狙って攻撃し、素早く通路を進む。そして、一際大きな広間に出た。
「おお、ここが噂の大広間みたいだね」
八重は紅嵐を握りなおしながら、広間を観察する。
「で、魔王アニュージアルの本体はどこだ?」
霧雨も自身の闘気をさらに燃え上がらせる。
その後に続いて呪詛子と英彦も広間に入る。が、その瞬間にそこら中からモンスターがあふれ出てくる。
「呪詛子さん英彦さん! ここは私たちに任せて、先に進んでください」
「ここから無事に出たらまた武勇伝聞かせなさいよ」
八重と霧雨は二人を進ませた後、背中合わせになって襲いかかってくるモンスターたちを薙ぎ払う。だが、通路の方からもモンスターたちは溢れ出るように湧いてくる。
「ちと、骨が折れそうだな」
霧雨は高速の足蹴りでモンスターを3匹薙ぎ払う。
「でも私はこういう状況、案外好きですよ。ふふ、モンスターたちよ! ここを通りたかったら、私を倒していくことね!」
八重も負けじと蝶のように華麗に紅嵐を捌き、モンスターの胴体と頭部の風通しを良くした。
「なかなかやるじゃないか」
「そちらもね」
二人は絶体絶命の状況でありながら、不思議と楽しそうだった。
「頑張りなさいよ、呪詛子たち。あんたがゲームクリアするまでは何とか踏ん張るからね」
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