リアクション
◆◇◆◇ エピローグ ◇◆◇◆ ――ペルム地方、ペルム城 城の一室では幽霊城の戦いに参加したコントラクター達を労う食事会が催され、ペルム地方の郷土料理が振る舞われた。 楊霞やグィネヴィアもその中にいたが、ソフィアとシェヘラザードの姿はなかった。 「やれやれ、このあたしがここまで解呪にてこずるとはね。どんな術式を使ったか聞きたいくらいよ」 肩を回しながらシェヘラザードが入ってきた。彼女はオリカの解呪を手伝っていたのだ。 それだけモルゴースの掛けた呪いは強力だった。 しかも、肝心のモルゴースはオリカの解呪が終わる頃には、厳重な警戒にもかかわらず姿をくらましていた。 「皆、やっているようだな」 そこへソフィアもやってきた。彼女の後ろには石化を解かれ、生身に戻った母オリカと、選定神にして父アントニヌスがいる。 コントラクターの1人が漏らしたが、オリカはソフィアと並んで立っていても、母子というよりは姉妹に見えるくらい若い美少女だった。北欧神話の戦乙女を思わせる凛々しい銀の鎧姿で、煌びやかな銀色の長髪を湛えている。 一方、選定神アントニヌスは年相応の渋めのダンディなオジサマといった雰囲気で、ナイスミドル好きのご婦人方の人気が高そうだ。 ソフィアの容姿は母親似のようだ。 「この度は我が娘ソフィアにご尽力頂き、オリカを救出して頂いただけではなく、龍騎士テミストクレス討伐にもご協力頂き、大変感謝している。龍騎士テミストクレスについては私の不徳とするところ、お恥ずかしい限りだ」 「私も、テミストクレスに後れを取るとはまだまだ修行が足りないわ。オリカは良いお友達を持ったわね」 頭を下げる選定神アントニヌスに対し、オリカは微苦笑した後コントラクター達に微笑み掛けた。 「母上が今以上に修行されては、ペルム地方の龍騎士では相手にならなくなってしまいます」 「その時はコントラクターのみんなに相手になってもらおうかしら? ハニーが封印したカトブレパスを倒した実力、私も味わってみたいわ」 「は、ハニー?」 「オリカ、そのくらいにしておきなさい。ソフィアの修行好きは君譲りなのだから……」 ついさっきまで石化されて囚われていた人とは思えないほどの発言に、娘のソフィアですら面喰ってしまう。 ソフィアは性格も母親譲りのようだ。 選定神アントニヌスに優しく窘められた。 「またエリュシオンを訪れることがあれば、ペルム地方にお立ち寄り頂ければ、この選定神アントニヌス、何時でも歓待しよう。そして引き続き、我が娘ソフィアをお願いしたい」 「それでは父上!?」 「今回の件で中断することはない。引き続き、シャンバラでの留学に励みなさい。龍騎士としての実力を付けることも大切だが、より多くの人達と知り合い、友達や仲間になる、そのこともそれ以上に大切だ。今回龍騎士テミストクレスに勝ったのは、人の輪の力だと思いなさい」 「私もシャンバラに行こうかしら。ペルム地方の龍騎士は相手にならなくて」 「母上」 「オリカ」 「はぁい」 2人に言われ、ちろっと可愛く舌を出すオリカ。少なくとも呪いの後遺症などはないようだ。 しかし、それ以上に何か企んでいそうな気がするのは気のせいだろうか。 何はともあれ、ここにペルム地方で起こった龍騎士テミストクレスのクーデターは、コントラクター達とプリンセスカルテットの活躍により、大事になる前に防がれたのだった。 ソフィアはコントラクター達とシャンバラに戻り、今まで通り百合園女学院で勉学に励むこととなった。 ここに1つ、【ぷりかる】の物語が終わりを告げるのだった。 担当マスターより▼担当マスター 菊池五郎 ▼マスターコメント
監修の菊池五郎です。 |
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