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リアクション
「パレードもクライマックス! 最後まで楽しみましょ!」
指揮も戻り、佳境へと突入するパレード。
三二一たちのテンションも最大。
上空では花火が更に勢いを増し、仮装したイコンたちによる行進が行われていた。
その中の一体、ゼアシュラーゲン。
「一人で操縦だが、まあ戦うこともないしな」
操縦者の瀬乃 和深(せの・かずみ)はコックピットからカメラで地上のパレードを撮影していた。
「だからといって兄さん、余所見はいけないわ」
併走する【聖邪龍ケイオスブレードドラゴン】に乗った瀬乃 月琥(せの・つきこ)は注意を促す。
「まあまあ月琥、硬いこと言うなよ。この光景を見ると、どうしたってそうなるぜ? こう、心を奪われるっていうか……」
「私は今、それ以上に気になることがあるわ」
「ん、何だ?」
「そこの人よ」
視線の先、ゼアシュラーゲンの肩にはなぜか軍服仮装のセドナ・アウレーリエ(せどな・あうれーりえ)の姿が。
「ふはは! 見ろ! 人がゴミのようだ!」
地上を見下ろし、高笑いしながらのたまう。
アニメのワンシーンを彷彿とさせていた。
「……まあ、楽しそうだし放っておこうぜ?」
「何もなければいいわね」
月琥の心配は現実に。
「和深、何をしている? 早く打つのだよ」
「はい?」
セドナの命令に全く心当たりが見つからない。
「ここはビームを放つところであろう? みせてやるのだ、ゼアシュラーゲンの雷を」
「こんな所で【プラズマキャノン】なんて打たないぜ?」
「準備もできていないのか。仕方ない、三分間だけ待ってやる」
「いや、待たれてもやらないぜ?」
和深はそう言ったのだが、セドナは聞き入れる風もない。
「月琥、どうする?」
「仕方ないわね。私が兄さんの変わりにやってあげるわ」
「何を……」
「時間だ」
三分と言いながら、まだ一分と少々しか経っていない。
「説明している時間が無いわ。とにかく任せて」
風上へと移動する月琥。
「どこへ行こうというのかね?」
鼻で笑うセドナに、月琥は【ビッグバンスイーツ】を顔面に叩き込んだ。
中の爆薬はあらかじめ抜いてあるが、クリームが眼を刺激する。
「目がぁー! 目があああぁぁぁーーー!!!」
両目を押さえ、天を仰ぐ。
「おい!? 危ない!」
咄嗟に和深が機体を動かし、落下だけは免れる。
「ちょっとやりすぎじゃないか?」
「滅びの呪文を唱えないだけマシよ」
唱えればゼアシュラーゲンが崩れ去る……ということはないが、変なスイッチの入ったセドナは今と同じような反応をしていただろう。
「それと、滅びって単語、ここでは凄く不釣合いの言葉だわ」
空から見渡すデスティニー・セレスティア。
たくさんの人たちの協力により、以前よりもますます輝きを増していた。
その光景を眺めると、自然と惹きつけられる。
「兄さんの言ったこと、わかるもの」
月琥は感慨深げに微笑んだ。
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