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リアクション
■■■前回までのあらすじ■■■
突如あらわれた冬の精霊、「冬の女王」は、イルミンスール魔法学校近郊の町、ルクオールを冬にしてしまった。
さらに、「冬の女王」は、魔法学校校長エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)のパートナーの魔女、アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)を連れ去ってしまう。
「ふっふっふ……。かわいいお嬢さんがいるぞよ。わらわの城にくれば、なんでもしてやるぞよ」
「なに、それは本当か!? ……あーれー、さらわれるー」
「冬の女王」の言葉に、アーデルハイトは意味ありげに答え、明らかに棒読みな悲鳴を上げて、2人は飛んでいってしまったのだった。
その事態を知ったエリザベートの、
「ルクオールを夏に戻して、大ババ様を助け出すまでは、イルミンスールの夏休みは中止ですぅ!」
という宣言により、学生達は夏休み奪還とアーデルハイト救出のため、ルクオールに向かう。
ルクオールに築かれた氷の城で、「冬の女王」にさらわれた(もしくは、そのフリをしていた)と思われていた、アーデルハイトは、コタツに入ってアイスを食べていた。
イルミンスールに帰らない理由を訊ねる学生達に、アーデルハイトは答える。
「エリザベートは、私が大切に取っておいた貴重な『シャンバラ山羊のミルクのアイス』を勝手に食べてしまったんじゃ! しかも、そのことを謝るどころか、『年寄りは子どもにアイスを譲るものでぇす!』などと言いおった! あやつが悪いくせにこの私を理不尽な年寄り扱い! 絶対に許せん! そこに、「冬の女王」殿が、なんでもしてくれるといってあらわれたので、帰らないでやろうと思ったのじゃ!」
つまりは、エリザベートの行動に大人気なくブチ切れたアーデルハイトは、たまたま出会った「冬の女王」についていくことで、「合法的に家出」していたのであった。
シャンバラ山羊のアイスを用意しないかぎり、アーデルハイトの機嫌は直りそうにない。
シャンバラ山羊のミルクはルクオールの特産品である。しかし、突然気候が変わったことに驚いて、シャンバラ山羊は乳を出さなくなってしまったのだ。
一方、イルミンスールの校長室では、エリザベートがばつの悪そうな顔をしていた。
「ぜぇったいに、わたしは悪くありませぇん。大ババ様が悪いのですぅ……。もう、超ババ様がいなくたって、ぜんぜん平気ですぅ!!」
意地っ張りなエリザベートを説得し、アーデルハイトに謝らせに行かせてあげないと、仲直りは難しいと思われた。エリザベートが一度言い出した手前、夏休みも中止になってしまうだろう。
一方、ルクオールを冬にしてしまった張本人の「冬の女王」は、封印から目覚めたばかりで機嫌が悪く、しかも季節が夏だったことに苛立ったのだという。
「わらわは復活の儀式もなしにいきなり目覚め、機嫌が悪かったから町を冬にしてしまったのだが……。そのかわりになることをしてくれれば、ルクオールを夏に戻すこと、考えてやるぞよ」
物言いは高飛車だが、「冬の女王」は、せっかく出会えた学生達と、本当は仲良くしたいと思っているようだった。
事情を知って、魔法学校の熱血男子生徒、ジャック・サンマーは、拳を振り上げていた。
「皆、難しく考えすぎだぜ! ようは、アイスを手に入れればいいんだろ! 普通の牛乳でもないよりはマシだぜ! レッツ・クッキングだぜ! ファイヤー!」
とはいえ、ルクオールを炎の魔法で溶かして無理やり夏に戻そうとし、学生達に取り押さえられたジャックが、ちゃんとアイスを作れるのかどうか、不安ではある。
なんとかして、学生達の手で事件を丸くおさめないと、イルミンスールの夏休みはなくなってしまうのである。
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