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【空京万博】美しくも強くあれ! コンパニオン研修!

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【空京万博】美しくも強くあれ! コンパニオン研修!

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AM10:02

(ななな様、ななな様。聞こえますか、ななな様)
 先ほどから何度呼びかけても彼女からの返事がないことに、セシルは不安を募らせていた。
(これだけ呼びかけてもななな様が答えてくださらないなんて、薬か何かで眠らされているとしか考えられないわ)
 みなさんに大見えを切ったというのにこんなことに思い至らなかったなんて、不覚ですわ。
(……私を呼んでいるのは誰?)
(ななな様!)
 内心で焦っていたセシルだったが、呼びかけられた声にはすぐさま反応した。
(大丈夫ですか、ななな様! お怪我はありませんか?)
(セシルちゃん!うん、少し頭の後ろが痛いけど、他は大丈夫。ただ目隠しをされてるみたいで周りの状況は分からないの。手足も縛られてるし猿ぐつわもされてるから、自分じゃどうにもならなそう)
(なんてひどいことを……今、私を含めてティーカップパンダを見つけた時の人たちと一緒にななな様の救出に動いていますわ。ですからもうしばらく我慢してくださいませ)
(ありがとう、セシルちゃん。とりあえず分かってることを伝えるね。私をさらったのはパラ実生。あんな特徴的な服を着てるのは、あの学校しかないから間違いないと思う。あとは……私をさらったのはティーカップパンダを捕まえるためみたい。気を失う前にそんなようなことを言ってたから)
(私と同じ学校の生徒だなんて許せませんわ!)
 自分の学校の人間がなななをさらったことに、セシルは強い怒りを感じていた。
(私は箱みたいなものの中に入れられているみたいだから、これ以上は分からないの。また何か分かったら教えるから)
(はい、ななな様。きっとお助けしますね)
 それを最後に一度なななとのテレパシーを止めたセシルは、目を開けて驚いた。
「きゃあ!?」
 彼女の視界に映ったのは、大写しになった誰かの顔。
 思わず尻もちをついた彼女だったが、すぐに手が差し伸べられた。
「ごめんね、あんまりにも反応が無かったからどうかしたのかと思って」
 どうやらセシルがテレパシーを終えたのは、心配した刀真がセシルに顔を近づけた時だったようだ。
「大丈夫ですわ。それより他の皆さんはどうされましたの?」
「他の人達はそれぞれに動きだしてる。連絡先は俺が知ってるから、分かったことを教えてほしい。端末にまとめてみんなや他のグループに連絡するから」
「他のグループ?」
「動いているのは僕らだけじゃないでしょ?」
まだ少し混乱気味のなななに、刀真は落ち着かせるように告げた。

AM10:14

「つーわけで、俺達シャンバラ教導団は金元少尉の救出に動きだしてる。だからお前たちも俺達に協力してもらえないか?」
 ハインリヒは、目の前にいる六人に向かって要望を伝えた。
 【プリエンツ】の方針が決まって動き出した後、彼はまだ残っていた何人かの生徒たちに声をかけた。自分たちと同じくらい人数がいるグループは、その多さゆえに動き出すまでもう少し余裕があると判断したのだ。
 残っている生徒たちは六名。自己紹介によると、湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)エクス・ネフィリム(えくす・ねふぃりむ)ディミーア・ネフィリム(でぃみーあ・ねふぃりむ)セラフ・ネフィリム(せらふ・ねふぃりむ)八日市 あうら(ようかいち・あうら)ノートルド・ロークロク(のーとるど・ろーくろく)
 他に残っている生徒はいなかったので、そちらはここでの連絡が済んでからになる。
「まあ、あの人を助けなきゃ研修は再開されないですから、僕らなりのやり方で協力しますよ」
 最初に返事をしたのは、目つきの悪い少年だった。銃型HCを持っているし、体を動かすよりも頭を使う方が得意そうだ。
「なななちゃんは放っておけないし、教導団にはお世話になってるから今回は協力しようかねぇ」
 続いて返事をしたのは、ネフィリム三姉妹の長女セラフだった。その拍子に大きな胸がたゆんと悩ましげに揺れる。二人の妹たちも同じ意見のようだ。
「どうしようか悩んでいたところだし、私も協力するね」
「あうらが協力するなら僕も協力するよ」
「すまねーな、よろしく頼むわ」
 残りの二人も協力してくれることが決まり、ハインリヒはすぐに残りのグループの様子を確認した。彼らはちょうど三々五々に散って行くところだったが、三人ほどがまだ残っている。やや出遅れた感はあるが、あの三人に話をつければ大丈夫だと思いたい。
「確認したいんですが、情報交換はどなたとすれば宜しいんですか?」
 下からかけられた湯上の声にハインリヒは慌てて答えようとするが、それよりも先に一緒にいた亜衣が答えてくれた。
「向こうにあたしたちの隊長クレーメック・ジーベック中尉がいるわ。情報交換は隊長たちとしてほしい」
 亜衣が示した方向に湯上たちが歩き出すのを確認すると、ハインリヒは亜衣に声をかけた。
「亜衣、あの三人と接触した後はここにいない生徒達を探すぞ」
「分かってるわよ。こういうときは単独で動く人間が一番障害になる、でしょ」
 離れた位置にいる三田とアイコンタクトを交わしたハインリヒは、足早に動き出した。