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もみのり

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もみのり

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「ええい、貴様ら! 種もみならやるから帰りやがれ!」
 ホー・アーは被害をなくすためにありったけの種もみをモヒカンに分け与え、穏便に引き下がってもらおうとするのだが。
「ヒャッハー! ワゴンごと叩き潰しちまえ!」
 モヒカンたちは構わず波状攻撃を仕掛けてきた。
 ホー・アーは後ずさる。
「これはたまらん! オレは救世主を呼ぶぞ!」
「呼ぶ前に、すでにいるぜっ!」
 みすみたちを、というか種もみを護るために後からやってきていたハインリヒ・ヴェーゼル(はいんりひ・う゛ぇーぜる)が、どこからともなく現れモヒカンたちの前に立ちはだかった。指差し、言う。
「お前ら、今年もスッカスカのおせちを食べたらしいな。アレ企画したの、実はオレだぜ!」
「なんだとおおおおっっ!?」
「去年のおせちもオレたちの仕業だ!」
「ぷっ殺おおおおすっっ!」 
 モヒカンたちは、いまだかつてないほど激怒した。種もみそっちのけで、いっせいにハインリッヒに襲い掛かってくる。
「じゃあ、よく喉に詰まる餅を売り出したのもお前らかぁ!?」
「そこまでは知らんわ! 大体お前ら、種もみを持ち帰ってどうするつもりだったんだ?」
 迫りくるモヒカンたちをなぎ倒しながら、ハインリヒは聞く。
「貪り食うんだよ、バリバリとなぁ!」
「スッカスカのおせちのほうが、マシじゃねえか!」
「うるせぇ! 作り方わからねえんだよ!」
「あなたたちに食べさせるような豪勢なおせちはないわ!」
 上空から偵察行為をしていた鶴 陽子(つる・ようこ)も参戦してくる。
「ちなみに、来年のスカスカおせちも、すでに予約入れてあるから。当社比70%」
「さらに減ってるじゃねえか!」
「とにかく、種もみは渡せねえぜ。オレたちのビジネスのためにな!」
「いや、ちょっと待てよ」
 モヒカンの一人が攻撃の手を止める。
「当社比70%ってことは、二つ買えば140%じゃね?」
「おお、すげえ。お前頭いいな!」
「へへ……、オレ算数得意なんだ。九九言えるようになったしな」
「いや、さらに待てよ。三つ買えば210%だろ!? ヒャッハー、特盛りだぜっ!」
「……いいのか、お前らそれで?」
 呆気にとられるハインリッヒに、モヒカンはビシリと親指を立てた。
「実はいい奴じゃねえか、兄弟。全部予約だ。来年も楽しみにしているぜ!」
「ああ、来年は210%のゴージャスおせちだ。今から来年が楽しみになってきたぜ……」
 モヒカンたちは満足げに帰っていく。
「……来年の分まで売れちゃったわね。しかも例年の数倍」
「なんか負けたような気がしねえ?」
 ハインリッヒは言った。