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エピローグ:最終特急



 ヴァイシャリーにたどり着いたもみワゴンはその旅を終えた。
 乗客たちは、それぞれに散っていき、また自分たちの生活に戻っていく。
 みすみは種を配り終えると、またどこかへと修行に旅立っていった。今度会えるのはいつだろうか……。
 そして……。
 吉井 真理子が地球に帰る日がやってきた。
「みんな、ありがとう。今日のことは忘れないわ」
 空京の新幹線駅まで無事に送り届けてもらった真理子は、見送りの人たちに礼を言う。
「よかったら、また来てね」
 結局、ワゴンの中では真理子と話す機会のなかった及川 翠(おいかわ・みどり)は、わざわざ同じルートを逆行して空京へと戻ってきていた。
 他の皆とともに真理子を見送る。
 これはひどい、と思ったが、こんな機会でもないともう話すこともないだろう。
「次は私たちがヴァイシャリーを案内するわ。いつでも電話かけてきていいからね」
「うん、ありがとう。ちゃんたちも元気でね」
「お花摘んできたの。地球でもきれいに育ったらいいな」
 アリス・ウィリス(ありす・うぃりす)が、わざわざ集めてきたパラミタでしか咲いていない花の束を真理子に手渡す。
「本当にありがとうね。おかげで完全に元気になったわ」
「それはよかったわ。真理子さんに新しい恋がありますように」
 翠はにっこり微笑む。
 もみワゴンに乗っていた人たちに見送られ、新幹線は帰っていった。
 またいつもの、パラミタの生活が始まる。
「さて、今度はどうやって帰ろうか」
 楽しいことを探しながら駅を立ち去る翠に、ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)は指差す。
「あそこにおかしなワゴンが止まってるんだけど、乗ってみない?」
「……」
 今度はどんな旅になるのだろうか。
 それはまたのお話……。