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空京警察特殊9課――解禁、機晶合体!――

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空京警察特殊9課――解禁、機晶合体!――

リアクション

「えーと、それで、なんで皆さん僕をじっと見てるッスか?」

 一斉に注目を浴びた良雄が、落ち着かない様子で皆の顔を見回した。
 リカインがぽんと良雄の肩を叩く。

「頑張るのよ」
「へ?」
「へ、じゃなくて、貴方しか出来ないことなんだから覚悟を決めなさい!」

 助けを求めているのか、謝っているのか、悲鳴をあげているのか。その全てを器用にこなしながら目を回しているエメネアを指差す。

「エメネア君は新たなる力、覚醒光条兵器を発現しかけているわ。でも不完全な状態だったのね、そのせいで彼女は苦しんでいる。あとはどうすれば良いか分かるでしょ?」

 リカインの言葉に、良雄は美羽とルカルカを交互に見た。その手にある光り輝く武器は、安定しながらも強力な存在感を放っている。
 ぶるっと身震いをすると、良雄はエメネアに向かい大声を上げた。

「わかりました。僕、やるッス、やるッスよ!」

 その声が合図となった。全員が散開してエメネアを囲み、臨戦態勢をとる。
 方法は単純。あらゆる手段を用いて光の鞭を押さえること。
 そして、良雄をエメネアの元へ送ることだ。

「牙竜、シャーロット、横は任せたわ」

 セイニィの突撃に合わせて、牙竜とシャーロットが同時に仕掛けた。
 三人の方向に伸びていた鞭が反応し、動き出す。だが、その多数がセイニィへと向かっていた。

「なんてこと!? セイニィには届かせないわ」

 シャーロットは予測していた上下から襲いかかかる鞭を、踊るような動作ではじいていく。横から更に一本が加勢に入るが、流れる動きで攻撃を寄せ付けない。

「セイニィ……防御は任せろ!」

 牙竜は側面に氷の壁を展開し、防ぎきれない攻撃をレーザーブレードで受け止めた。足元からすくいあげるように現れた鞭を蹴りとばし、横の鞭へとぶつける。
 エメネアを中心とした反対側でも猛攻が始まっていた。

「派手にいっちゃうよ!」

 ミニスカートをなびかせた美羽が、自分の身長以上はあろう大剣を振りかぶる。
 危険を察知した鞭が互いに組み合わさって盾のようになるが、美羽は構わず振り下ろした。勢いを殺さぬまま、一息に三撃が繰り出される。
 二、三本固まっていた鞭が抵抗虚しく吹き飛んでいった。
 だが、その攻撃の隙を別の鞭が襲う。横殴りに振り払われた鞭が大剣を構え直す美羽に届く瞬間。
 リカインのグラブがをれを掴んでいた。
 別の方向から連続してくる攻撃も、横にいた狐樹廊が跳ね返している。

「ありがとっ!」
「こういう時はお互い様よ」

 両手の塞がれたリカインへ届こうとしていた鞭が、美羽の大剣で打ち上げられる。
 そして、空中で見えないなにかに押し込まれていった。狐樹廊の操るフラワシだろう。

「エメネアさーん! 今助けるでござごふっ」
「所詮は自動攻撃、まだまだ甘いですわ」

 突撃した鹿次郎が四本目を避けたところで雪に盾にされ、勢いよく吹き飛ばされた。

「おっと」

 非常口の列へ突っ込みそうになる鹿次郎を、シリウスが軽く受け止めて床に降ろす。そのまま手を当てて回復をした。
 傷口が消えたのを確認したシリウスが、忍者の背中をポンと押す。

「ほらよ、がんばってこい!」

 鹿次郎は一言礼を言うと、戦列に戻った。
 エメネアの周りでは、切り殴り撃ち避け防ぐといった激しい攻防が続いている。

「今だ良雄、行って来い! エメネアから覚醒光条兵器を引っこ抜くんだ!」

 後方支援で戦況を冷静に見ていたシリウスが叫ぶ。
 その声に反応した良雄が、雄たけびを上げながらエメネアに突っ込んだ。

 良雄の接近に呼応してエメネアの全身がさらに輝きだす。
 光に手を入れた良雄は、何かの手ごたえを感じ、それを握りしめて全力で引き抜いた。
 瞬間。
 暴走していた光条兵器の光がゆっくりと消えていく。
 完全に光が消えて、気を失ったエメネアが崩れ落ちる。
 それを良雄が優しく受け止めていた。
 ティセラが駆け寄り、エメネアと良雄を抱き寄せる。
 そして、皆に向かって頭を下げた。

「みなさん……エメネアを助けていただいて、本当に感謝しています。この二人は、わたくしたちが責任を持って全力で保護いたします。本当に……本当にありがとうございました」

 皆の顔に安堵の表情が浮かんだその時。
 一際大きい揺れがビルを襲った。その後にも小さな揺れが連続して発生し、止まらない。

「ティセラ、二人を安全な場所へ。私たちは逃げ遅れている人たちの非難を手伝う」
「……安心して、全員助けるから……」

 セイニィとパッフェルの言葉に、契約者たちも助力を申し出る。
 ティセラは潤んだ瞳を隠そうともせず、もう一度頭を下げた。