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砦に侵入するは女体化男子!?

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砦に侵入するは女体化男子!?

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囚われの姫君は姫君か?

 薄暗いレンガ作りの牢屋の中に、武装を解かれた状態の娘たちが檻に入れられている。
 間に仕切りのある状態の牢屋のひとつ。
 酉下 芭柘美(とりもと・はつみ)は精神感応を使って義理の兄、フェリクス・ドラリオン(ふぇりくす・どらりおん)と連絡を付けようとしていた。

『フェリ兄―、聴こえるー? 聴こえたら返事してよー』
『聴こえている。今、他の何人かと共にそっちに向かってるから、それまで辛抱してくれ』

 何度かのテレパシーの末、フェリクスから返事が来た事で安心感を覚えた芭柘美。

『急いでて捕まるなんてことあったらうち悲しいよ? 慎重に向かって来てよね』
『分かってる』
『今、うちが分かる範囲ではダオザの人たちは好きな相手を決めて牢屋の外に出してるってことだけ。他に分かる事があったら、その時伝えるから』
『ん、了解だ』

 念話の間にも檻の外からはダオザの男たちが値踏みをしていた。

「俺、この子にするー!」
「は、離して!!」

 気に入った女性を選ぶと、乱暴に腕を掴んで檻の外へ引っ張っていくダオザの連中。
 階段を上がっていく時も、肩を組んだり胸を触ったりしながらのセクハラばかりである。

「(ココにいても情報が掴めない……どうやって情報収集をしよう……)」

 芭柘美が考えている中、なにやら小さな声を耳にする。

「ん?」
「……これは作戦の為であって俺は女装が好きな訳ではない。断じて変態じゃない」

 小さな声、もとい呟いているのは町娘風の服装でロングヘアのウィッグをかぶった夜月 鴉(やづき・からす)である。

「ねぇ、もしかして物資調達に行ってた人?」
「変態じゃな、……いや違うが?」

 ぶつぶつ呟いていた鴉は、そこで芭柘美の存在に気が付いた。
 小声で聞いてきたのに合わせるように鴉は盗賊団に襲われた村からの依頼で、タン・ユを捕まえに来た旨を伝える。

「そっかぁ。まさか既に侵入してた人がいるなんてびっくりだよ」
「侵入というか、本からあの慈善活動の中にいたから。俺は」
「えぇ!?」



◇          ◇          ◇




 慈善活動の時からいたことに驚いていた芭柘美の隣の檻の中では、黒崎 麗(くろさき・れい)が怯えていた。

「(武器は取り上げられてしまったし、私……お母さんに守ってもらうしか……。いざという時に何もできないなんて……こんな私をお父さんは助けてくれるのかな……)」

 俯いたまま目線だけ母のユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)へ向ける麗。

「(親子と言っても別の時代でのことだから実際に血がつながってるわけじゃないから……。私、どうすればいいんだろ……)」

 ぎゅっと握っていた拳をきつくする麗。
 それに気付いたユリナは優しく麗を抱きしめた。

「こんなトラブルに巻き込まれたの初めてだもんね。大丈夫だよ。竜斗さんは麗ちゃんを本当の娘だと思って助けに来てくれるから」
「……本当?」
「本当だよ。竜斗さんと合流するまでは私が麗ちゃんを守るからね」
「お母さん……」

 ユリナの胸元の服を握りすり寄る麗に、ユリナは自らが使える念力系の術でどう脱出しようか考えるのだった。



◇          ◇          ◇




 階段から一番近い檻ではフィリシア・レイスリー(ふぃりしあ・れいすりー)が同じ檻の中に居る村の女の子を慰めている。

「大丈夫ですわ。私たちの仲間が必ず助けに来ますから」
「本当?」
「ええ、本当ですわ。少なくとも私の婚約者なら、絶対来ますもの。だから、それまでの辛抱ですわよ」

 フィリシア自身、不安が無いわけではないのだが、婚約者であるジェイコブ・バウアー(じぇいこぶ・ばうあー)が必ず助けに来ると信じている為、決して絶望はしなかった。

「(結は大丈夫かしら……この檻の中にはいないから、捕まった訳ではいけれど。でも、結が無事ならそれで……)」

 フィリシアとは違い、仁科 美桜(にしな・みおう)は自分がさらわれているにも関わらず、堂島 結(どうじま・ゆい)の心配をしていると、ダオザの連中が階段を下りてきた。

 舐めるように檻の中を見回しているダオザたちの前に、神月 摩耶(こうづき・まや)董卓 仲穎(とうたく・ちゅうえい)クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)が声をかける。

「ねぇねぇ、ボクらとイイコトして遊ぼうよぉ♪」
「私、退屈ですの……暫しの間でも、お楽しみ致しましょう?」
「ここにずっといるなんて嫌ぁ。痛くしないのなら、ナニをしても良いから、ここから出してぇ?」

 可愛らしくおねだりする摩耶。
 しっとりとしたお色気を強調して誘うリリンキッシュ。
 甘く上目づかいでお願いするクリームヒルト。
 三者三様の誘いに誘惑されたダオザたちは、その三人を檻から出す。

「ふふ……ここで直ぐ致しても良いけどぉ、小部屋での方がもっと気持ちイイと思うなぁ」
「複数の殿方相手も全く無問題でしてよ♪」
「痛くなければ何でもヤっちゃうよぉ♪」

 三人の色気に当てられたダオザが群れをなして三人を上へ連れて行った。