リアクション
ヴァイシャリーの街角にて。
大晦日の夜、イルミネーションに飾られた街を、
フレデリカ・レヴィ(ふれでりか・れう゛ぃ)と
フィリップ・ベレッタ(ふぃりっぷ・べれった)が、仲睦まじく歩いていく。
その様子に、街行く人達も、思わず振り返る。
フレデリカとフィリップは、1本の長いマフラーを、2人で巻いて、肩を寄せ合っていた。
「綺麗ね、フィル君」
イルミネーションを見ながら言うフレデリカに、フィリップがにっこりとうなずく。
「そうだね。でも、フリッカの方が綺麗だよ」
「やだ、フィル君ったら」
控えめなフィリップには珍しい、
積極的な愛の言葉に、フレデリカは鼓動が高鳴るのを感じた。
2人は、やがて、ヴァイシャリーの街を一望できる、
小高い丘の公園へとたどりつく。
「今年は一年どうもありがとう、フィル君。
フィル君のおかげで、いつだって心強かった。
さびしい時も、辛い時も、いつもフィル君がいてくれたから。
この一年、数えきれないくらいの幸せを、フィル君からもらったの」
改めて、今年のことを振り返り、フレデリカがお礼を述べる。
ふと、フレデリカの心に不安がよぎる。
「どうしたの?」
フィリップが、フレデリカの表情に陰りが浮かんだのを見逃さずに訊ねる。
「ねぇ。フィル君。
私、フィル君からもらったもの、少しでも返せてるのかな?
フィル君の支えになれてるのかな?」
「もちろんだよ、フリッカ」
フィリップは、大きくうなずいた。
その瞳に迷いはまったくなかった。
「さっき言ってもらったこと、僕も同じ気持ちだよ。
フリッカのおかげで、
たくさんのきらめきが、僕の毎日に訪れているんだ。
今だって、そうだよ」
そう言いながら、フィリップは、フレデリカの手を握る。
2人の距離が自然と縮まり、フィリップから、そっと、フレデリカに口づける。
熱いキスが、フレデリカの不安も、
冬の寒さも、すべて、吹き飛ばす。
そのまま、長い時間、2人はそうして、お互いの熱を確かめ合っていた。