リアクション
酒杜 陽一(さかもり・よういち)も、
高根沢 理子(たかねざわ・りこ)を誘って、
テレビ番組「コントラクターズ&イコンズ」を振り返っていた。
(もともとはジークリンデ様の為に設立したリコルート。
尤も、ジークリンデ様が住んでいるのはシャンバラでなく東京だったが……。
理子さんが会社を作ったのは驚いたが、
彼女が作ったものが目に見える形で人の役に立っているのを見ると、自分も嬉しい)
理子の設立した株式会社リコルートが、広告代理店として、
契約者特集の番組を放送したこと。
その結果として、地球の人々に、契約者の姿を見てもらい、
親しみを持ってもらえた、というのが、陽一にも誇らしかった。
「地球とパラミタ、そしてニルヴァーナも。
皆が幸せになれる世界を作るために、来年もがんばらないとね!」
「ええ。俺も、これからも頑張ります」
笑顔を浮かべる理子に、陽一は、力強く頷いた。
ふと、画面が進んで、
酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)が像賊のイコンに蹴散らされるシーンになる。
「うぐ、げ」
美由子は、嫌なことを思いだして、顔をしかめる。
「……わ、私が本気を出したら理子の活躍の機会を奪っちゃうからね!
目立てる様に御膳立てしてあげたんだから、感謝しなさいよっ」
美由子の強がりに、理子が肩をすくめる。
「はいはい。おかげで番組が盛り上がったし、感謝してるわよ」
「なによ、その言い方!
理子、ちょっと代王で社長だからって、調子に乗ってるでしょう!」
「ちょっと代王で社長って何よ。あと、別に調子になんて乗ってないわよ」
「いーや、調子に乗ってるわよ」
「よくわかんない因縁のつけ方やめてよね!」
「まあまあ」
陽一が、そんな2人をなだめる。
忘年会の夜は、穏やかに更けていった。