空京

校長室

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション

リアクション公開中!

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション
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リアクション

 
「れ、レラ! それはズルイ、ズルイわよ!
 いくら神子になったからって、それじゃあたいが何も打てないじゃない!」
「だって、折角だもの。いくら強力な必殺技も、その使用を封じてしまえばいいのよね」
 にこにこと笑顔を浮かべながら容赦なく必殺技を封じてしまうレライア・クリスタリア(れらいあ・くりすたりあ)に、カヤノが抗議の声をあげる。
「カヤノ、こちらの『決めのアタック技』を受けてみなさい!」
 そして、宙を舞ったチャンスボールに、十六夜 泡(いざよい・うたかた)が拳に炎を漲らせ、高々と打ち上げる。炎を纏ったボールは上空から引かれるように、カヤノのコートへと落下する。
「フジヤマヴォルケ――」「何かそれアウトな気がするわよーっ!!」
 地面で起きた大爆発に巻き込まれて、カヤノがぷすぷす、と煙を立てながらコートに崩折れる。
「あんたたち……まあ、泡は前からな気がするけど、レラ、ちょっと見ない間に随分変わったわね……」
「カヤノ……やっぱり、変、かしら?」
 レライアが不安げな表情で問いかけるのを、カヤノが首を振って答える。
「いいんじゃないの? そうやって変わっていくもんでしょ。
 それに、レラがどうなったって、あたいはずっとレラの友達よ」
「……そうね。ごめんなさいカヤノ、変なこと聞いて」
 レライアが微笑みを浮かべて頷く。
「あーあ、勝ったついでに言おうと思ってたこと、先に言われちゃったな」
「何それ、そんなのいちいち言われなくたってそうするわよ。別のコトにしなさいよ」
「じゃあ、海の家でかき氷でも食べに行こっか! もちろんカヤノの奢りで!」
「いいわよ、どうせ払うのリンネだし」
「そ、それはリンネさんに申し訳ないような気がします……」
 そんな会話を交わしながら、三人が揃って海の家へと向かっていく。

「うわぁ、パラミタってやっぱりすごいよ!
 みんなすごい技で戦ってる! 炎とか氷とか出てくるバレーなんて、見たこと無いよ!」
 双眼鏡から目を離して、興奮した面持ちでリュート・エルフォンス(りゅーと・えるふぉんす)が隣で観戦していたエリス・フォーレル(えりす・ふぉーれる)に語っていた。
「まあ、私はもともとパラミタ出身だから、このくらいのことあっても不思議じゃないって思うけど……流石に十二星華の方々、それに精霊の長ともなるとやることが派手ね〜。それに勝っちゃってる生徒も凄いっちゃ凄いけど」
「そうだよね! 僕もいつかすごい技が使えるようになるのかな! 今度は混ざってみたいな!」
「……え? リュート、それはお勧めしないわよ。今言っても軽くあしらわれる……って、聞いてないわね」
 キラキラと目を輝かせるリュートにため息をつきつつ、エリスも激闘続くビーチバレーを夢中になって観戦していた。

「セイニィよ、我には分かる。おぬし、ティセラの胸を気にしておろう?」
「な! ……べ、別に気になんかしてないわよっ」
 祭神 千房姫大神(さいじん・ちふさひめのおおかみ)に図星を言い当てられたセイニィが、ぷいっとそっぽを向く。一見ただの世間話に見えて、実はこれは弥涼 総司(いすず・そうじ)の壮大な作戦であった。彼はそのおっぱいに対して絶大な効果を発揮する眼力を駆使し、おっぱいの動きから女性の一挙手一投足を見分けられるのである。つまり、ティセラは元から大きいので問題なく見分けられ、後はセイニィが千房姫大神の言葉に乗ってしまいさえすれば、勝利は磐石、という算段であった。
「我に任せておくがよい。我にかかれば、おぬしのAAカップが見る間にEカップに早変わりじゃぞ」
「……どうしてあたしのカップがバレてるのか大いに問い詰めたいところだけど……そ、そこまで言うなら……」
 どうやらセイニィも、胸が大きくなるかもという期待と誘惑には勝てなかったようで、千房姫大神に連れられて女子更衣室へと向かっていく。
「ティセラさん、僕と一勝負、お願いできませんか?」
 総司がのぞきのためにこっそりと付いて行き、その場に残される形になったティセラへ、クライス・クリンプト(くらいす・くりんぷと)が声をかける。
「ええ、いいですわよ。少しお待ちくださいね、今セイニィが――」
 微笑みながらティセラがそこまで話したところで、女子更衣室の方で大きな音がする。
 
「ぜんっぜん大きくならないじゃない!
 どういうことよこれはー!」

 
 グレートキャッツを喚び出したセイニィが、のぞきを敢行していた総司を一撃の下に高々と吹き飛ばし、総司は昼間の星になった。どうやらセイニィのひんぬーは、豊乳術如きではびくともしないようであった。
「……あらあら。セイニィは随分とお怒りのようですわね」
 セイニィの心情を知らないかのように呟き、ティセラがクライスに振り向く。
「では、ビーチバレーの方、始めましょうか」

「どーしてあたしまで参加なのよー! ボール来たらあたし逃げるからねー!」
 嫌がる様子のサフィ・ゼラズニイ(さふぃ・ぜらずにい)がボールを打ち上げ、クライスがアタックを放つ。それをティセラが纏ったケープからの光線で防ぎ、上がったボールが頃合いの高さまで来た時には、ケープの代わりにビックディッパーを構え、踏み込みの体制に入っていた。
「わたくしの一撃、あなたに受けきれるかしら!?」
 ビックディッパーをティセラが振り抜き、衝撃と共にボールがクライスを襲う。
「これからこの国を支えるためにも、この一撃、耐え抜いてみせる!」
 対するクライスは、【女王の加護】【女王の盾】【護国の聖域】に『女王のソードブレイカー』『女王のカイトシールド』、さらに【庇護者】を組み合わせて挑む。
「これが今の僕に出来る最高の防御技、【真・女王の祝h――!!??」
 クライスの言葉は途中で聞き取れない言葉に変わり、そして直撃を受けたクライスがネットごと吹き飛ばされていく。
「女王を持ち出すのでしたら、わたくしも同様の効果を受けるはずですわ。となればあなたの用いた技は、効果を発揮しないものとみなされるのではありませんか?」
 実際にどういう判定が正しいのかは定かではない――実際は使った分だけ防御力が上がる判定になるし、数値次第ではティセラの攻撃を防げたかもしれないが――とはいえ、一見筋が通っているような気がするティセラの言葉をクライスは聞くことなく、彼も総司に続いて昼間の星になった。
「はーい、クライス君が星になっちゃったので、降参しまーす♪」
 満面の笑みで、サフィが勝負の続行を拒否するのであった。

「な、なんかさっきから人が飛んでってるんですが……
 きっと、こういう過ごし方が正しいことの証明ですね!
 この行動はちゃんと目的に沿ってます! 決して砂浜と日差しの暑さに怖気付いたわけではありません!」
 海の家で、ブルーハワイのかき氷を口に入れながら、ラズリー・ロウ(らずりー・ろう)がどこか言い訳のように聞こえる独り言を呟きつつビーチバレーを観戦していた。
(……ほうほう、水着姿のラズリーもなかなかじゃのう)
 一方の毛利 祐介(もうり・ゆうすけ)はといえば、イチゴのかき氷を食しつつ、水着姿のラズリーを気付かれないようにそっと視姦していたのであった。

『あーオレもビーチバレー参加ね参加ー。テティスちゃんとバレーしたいよバレー』
 コックピットから桐生 景勝(きりゅう・かげかつ)の声が、スピーカーを通じて大音量で放たれる。ビーチバレー会場に突如現れたイコン、『コームラント』を前にして、テティスがおののきつつも反論の声を上げる。
「ロボットシナリオじゃないのにイコンを持ち出すなんて、何を考えているの!? 許されると思っているんですか!?」
 性格からか、どこか学級委員長が似合いそうな様子で訴えるテティスの言葉に、同乗していたリンドセイ・ニーバー(りんどせい・にーばー)も不安げな面持ちで景勝に尋ねる。
「ねぇ景勝さん、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫ー、これコメディシナリオだしー。つーわけでビームキャノンで薙ぎ払っちゃってー」
「……流石にそれは死人が出るわよ。あくまでビーチバレーなんだからね」
 景勝に軽く釘を差して、そしてコームラントがビームキャノンを取り出し、ボールをコートに叩きつけんとする――。

「マニュアルをちゃんと読まんかー!」

 その時、先程も現れた、どこかで見たことのあるような気がする人物が再び姿を現す。
「あ、あれが噂の……」
 呟くテティスの眼前で、見る間にコームラントと同じ大きさに巨大化したその人物が、ビシッ、と指を差して言い放つ。
「ジャンル『ロボット』でないシナリオで、イコンは使えません!」
『えー、でもこれジャンル、『グランドシナリオ(無料)』って表示されるしー』
「…………」
 一瞬、沈黙が流れる。

「登録したときはコメディだったんだー!
 公開されればちゃんとジャンルが明らかになるはずだー!」


「んなの知るかよー!」
 ある意味尤もな叫びを残して、景勝とリンドセイの乗るコームラントが三つ目の昼間の星になった。

「……うん、何か強力な衝撃波を感知して来てみたけど、ティセラ以上にヤバいのいるわね。折角のイコンを台無しにされても困るし、アイオン、戻りましょ。……折角勝ったら、ティセラのおっぱい揉ませてもらおうかと思ったのに。何よあの大きさ、どうやったらあんなに育つのよ……」
「そ、そうですね」
 何やらぶつぶつと不満のような物言いを口にする夕条 媛花(せきじょう・ひめか)夕条 アイオン(せきじょう・あいおん)が困った表情を見せて、そして二人を乗せたイコンが会場を後にしていく。
「あら……人の次はロボットまでも空を飛んでいってしまいましたわ……」
「うーん、暑さで頭がボーっとしてるのかなあ? ご主人様〜、海に入ったら治るかもしれませんよ〜せっかくだし入りましょうよ〜」
 その光景を、海の家で観戦していたフローリア・エルランド(ふろーりあ・えるらんど)ミラ・エルランド(みら・えるらんど)がのんびりとしつつ見守っていた。