空京

校長室

戦乱の絆 第二部 第一回

リアクション公開中!

戦乱の絆 第二部 第一回
戦乱の絆 第二部 第一回 戦乱の絆 第二部 第一回

リアクション


第七龍騎士団

椎堂 紗月(しどう・さつき)は、
恋人である鬼崎 朔(きざき・さく)を連れ戻すために、
パートナーの死装束 葬姫(しにしょうぞく・そうひめ)や、
友人の本郷 涼介(ほんごう・りょうすけ)
クレア・ワイズマン(くれあ・わいずまん)とともに、空母に潜入していた。

第七龍騎士団団員である朔は、
ヘクトルに動力室を守ることを進言し、実行に移していた。
塵殺寺院への復讐を成し遂げるため、エリュシオンの力が必要だと考えた朔だが、
実際には、雪だるま王国やイルミンスール武術部の面々、
そして、恋人で婚約者の紗月のことが心残りではあった。
そのことを察しているパートナーのスカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)は、
ひそかに、紗月に携帯で連絡を取っていた。
(朔様のお心を考えると……スカサハが止める事はできないであります。
だから、選択肢を……朔様に提示するだけ。
朔様には幸せになって欲しいであります)

涼介とクレアは、友人のため、動力室までの道の露払いを行う。
空母の警備体制は堅牢であったが、各所で混乱が起きたために、人手が足りなくなっていた。
「さあ、友人二人のためにここは一つ踏ん張ってみますか」
ブリザードで従龍騎士を相手取りながら、涼介はつぶやく。
「椎堂さん、おにいちゃんと私に任せて、先へ!」
葬姫も、奈落の鉄鎖で、敵を足止めし、パートナーを先に行かせる。
「ああ!」

紗月は、動力室に辿り着くと、鬼神のごとき表情で立っている恋人を見た。
「朔……」
「きっと、来ると思ってた」
「俺は朔がいないなんて嫌だぜ。
ずっと一緒にいるって、守ってくって約束したんだ……それに、俺はそっちに行く気もねえ」
紗月は恋人に想いをぶつける。
「朔との想い出が詰まってるシャンバラを攻撃してくる奴らのとこなんていけるかよ。
朔は大切だけど、俺達の想い出だって大切だろ……?」
「……」
「お前の居場所はエリュシオンか?
シャンバラか?
ちげーだろ……お前の居場所は俺の隣だろ……?
なあ、戻って来いよ朔!」
朔はしばらく黙っていたが、薄く笑みを浮かべると言う。
「……ありがとう紗月、こんなにも想ってくれて。
でも、私を取り戻したいなら力づくだ!
私も、紗月を……首輪付けてでも一緒に連れていく」
逮捕術で、朔は紗月を捕縛しようとする。

「くっ!」
腕をつかまれて、紗月は朔を見据える。
「帰ってこいよ。お前の居場所は俺の隣だろ……!」
「!!」
紗月は、引き寄せられた瞬間に朔に口づける。
そして、その一瞬の隙に、ヒプノシスを使った。
「私は……」
朔は、そのまま、紗月の胸に倒れ込む。

「これで……私達の勝ちです」
「朔様……」
葬姫と、スカサハはつぶやく。

「お前の望みは、俺が一緒にかなえてやる。
だから、そのために、エリュシオンの手駒になんてならないでくれ」
「大切な仲間も、シャンバラには大勢います。
朔さんも、きっと、わかってくれると思いますよ」
紗月は、恋人を強く抱きしめながら言い、その様子を見て、涼介も続けた。

こうして、朔は、自らの意に反して、シャンバラに帰還させられることとなる。
この結果、動力室を守れなかったこと、
また、スカサハが紗月に連絡をしていたことの責任を問われて、
朔は、第七龍騎士団団員の地位を剥奪される。