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リアクション
【1】脅迫
「何と言うことをしてくれたのですか!」
「申し訳ありません。緊急事態のため止むを得ず」
エレクトロンボルトがルカルカに詰め寄っていた。しかし、それをクイーンが制す。
「私の身を思いしたことです。責めてはなりません」
「ですが……」
「お引きなさい」
「…………」
エレクトロンボルトが薄く呼吸してから、身を控えた。
ほんのわずかな時を挟んでから、エレクトロンボルトが翔子に向き直る。
「しかし、これ以上の遅れは避けたいところ。……イコン部隊でこの氷壁を破壊してはもらえませんか?」
その言葉に翔子が反対の意を唱える。
「上空にはまだ敵イコンがいます。それを止める部隊が少なくなれば、クイーン様の身に危険が迫ります」
「アイシャ様は先に向かわれている。我々が遅れてしまえば、アイシャ様に迫る身の危険も高まるというもの、違いますか?」
「……」
「あなたが『何を懸念しているのか』を真に迫って探ることもできる。しかし、それは双方に望ましいものでは無い筈でしょう」
そう言われた翔子は、こう答えるしかなかった。
「わかりました。イコン部隊を呼び、氷壁を破壊します。ルカ少佐も、それでよろしいですね」
「……問題ありません」
“承諾させられた”
翔子とルカルカは移す視界の端で、クイーンの変わらない微笑みを見た。その瞳からは、何を考えているのかまるで読み取れない。
すぐさまイコン部隊が来て、氷壁の破壊に着手。破壊したことで、迂回するよりも大幅に進行時間が短縮される。
「それと、先に行った方たちに宮殿前で待機して欲しいと通達して頂けますか? あれより先は、クイーン様がいたほうが安全に進めますから」
その言葉は鋭峰に向けられていた。鋭峰は少し考え、諦め、口を開く。
「承知した。……全部隊、最後まで気を抜かずに行くぞ」
光条世界の介入を許してはいけない。そして今、ここで従わねば確実に光条世界は動く。苦渋の選択だが、決めざるを得なかった。
しかし、クイーンの足とアイシャの足が止まっていた事実はかわりなく、大幅なタイムロスとなったことも事実だった―――――。
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