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リアクション
内海の港の方では、海軍とノイエ・シュテルンとの間にひと悶着があったようだが、それも収まり、応急処置の施された中型艦を始め数隻が出港準備、旗艦大型艦は海軍の技術士らによって引き続き修理が行われた。
一方、港を少し離れた静かな岸辺。ローザマリアは、出港前の数少ない時間を使用し、霧島玖朔を伴いここを訪れていた。
(何をしているのか……)といった様子で霧島は眺めているだけだが、ローザマリアは小石を拾って、水切りに興じている。
「楽しいか」
「ええ」
波紋が九、十、十一、と……鯱の姿のルクレツィアがキュイキュイと水を切って跳ねる小石を追いかけてはしゃいでいる。
「……ふん。子どもだな」
「うん。愛嬌があって可愛いものよね、ルクレツィア」
「……お前がだ」
「あっ」
ローザマリアは、水切りをしてふっと、何かを思いついたように、
「これは、使えるかもしれない」
「何だというのだ?」
「戻りましょう! 出港までに、今夜の内に書き上げておかなければ」
「さっぱりわからんな」
霧島は、水際を走っていくローザマリアの後をゆっくりと追っていった。
出港前夜、ローザマリアは極秘の作戦計画書を記し、クレア中尉・ロンデハイネ中佐に二通を用意し、後にそれが二人へ渡るよう手配しておいた。これはいかなるものであったのか……
翌朝、海軍・ノイエおよび各部隊は、ミカヅキジマへ出港する。
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