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リアクション
「なっ……騎凛師団長が攫われた、と?!」
第四師団陸路行軍に先行し隊を進めていた金住 健勝(かなずみ・けんしょう)少尉と、それに随行していた源 鉄心(みなもと・てっしん)。
金住少尉ら先行部隊は、国境に蛮族集団が屯しているのを察知し、本隊に知らせていた。その後、引き続き任務にあたっていたところ、本隊が戦闘に突入したと聞いて、駆けつけるところだった。半刻程で勝負は付いたものの、彼らを率いていた国頭は騎凛を縛り上げて戦塵の中に姿を消してしまったとのことであった。
「少尉」
鉄心が聞く。金住少尉はしばし唖然としてしまっていたが、それに反応して判断を下す。
「国頭は一体どこへ行こうと? それが問題であります。姿をくらませてコンロンのどこか内地に向かう先があるのか、それとも付近に潜伏して自分らに何らか取引を持ちかけてくる、つもりなのか。
なるべく付近一帯に隊を展開させておきましょう。陸路は狭い国境と言え、山林がありコンロンの闇がすでに浸し始めています。これに紛れたら敵は容易に抜けてしまうのでしょうが……!」
鉄心は落ち着き尚考えていた。国頭はコンロンで何か事を起こすつもりかも知れない。そのために師団長を利用する算段なのかもしれない。金住少尉の言うように、ここで網を張るには、先行部隊では些か数が少ない。相手がコンロン入りするならば、クィクモを通る筈。クィクモで網を張れたなら捕えられるかもしれぬが。
「久多さん。琳さん」
陸路本隊からバイクで来て件を報告してくれた二人。
「はい」
「……むぐ」
久多の方は頬っぺがはれて喋りづらそうだった。ともあれ鉄心は二人に、このまま先に向かうなら、クィクモで網を張れるならそうするべしと伝えておいた。二人はバイクで更に先に向かう。国頭は果たして?
鉄心は兵に指示を与える金住に、
「少尉。俺は本隊の方に一度戻り、騎狼部隊を捜索に出すことを進言してきましょう」
「騎狼部隊を。なるほど」
鉄心は頷き、「では、急ぎます」後方へ駆けていった。
金住少尉はコンロンの方角を見た。国境の丘を越えればすぐにもクィクモの街明かりが見える位置にまで来ている。
「むうっ。あの上空の明かりは? 飛空艇? 空路の部隊は無事、先にクィクモに入ったということでしょうか……?」
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