リアクション
二回戦 審判:プラチナム・アイゼンシルト ○第一試合 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)(シャンバラ教導団) 対 轟 平八郎 カタルとクリストファーの試合後、前回の優勝者であるルカルカが出てきたため、会場は更に盛り上がった。轟平八郎には、ちとこれが面白くない。 「前回優勝者を倒し、我が『天下一刀流』に弾みもつけてくれようぞ!」 「いくよーっ!」 そんな平八郎の嫉妬も何のその、ルカルカはあくまで明るい。 正眼に構え、振り下ろしてきた木刀を掻い潜り、まずは脛を打つ。 「何の!!」 めげずにかかってきた木刀を正面から受け止め、くるりと回転させる。巻き込まれた木刀は、空高く舞い上がった。 「しまっ――!」 「たあっ!!」 がら空きになった喉元に、ルカルカの突きが入る。咄嗟に平八郎は目を瞑った。が、いつまで経っても衝撃が来ない。恐る恐る薄目を開けると、ルカルカがにっこり笑っていた。 「どうする?」 「……降参、だ」 昨年の覇者らしい勝負に、更に歓声が上がる。 「優勝せいよ。優勝者に負けたなら、言い訳が成り立つからな」 「そのつもり」 ルカルカはもう一度笑って答えた。 勝者:ルカルカ・ルー ○第二試合 ダリル・ガイザック 対 マイキー・ウォーリー マイキー・ウォーリー再び。くるくると踊りながら現れたマイキーに、ダリルは呆れた目を向けた。 「さぁ! この場は、ボクと君だけの愛の世界! 存分に【試愛】をしよう!」 「何で試合が愛の世界なんだ?」 マイキーはこの大会を、相互の愛を確かめ合う「御前試愛」だと勘違いしているのである。……そもそも、そういう言葉があるかどうかはともかく。 そういえばこの男は去年、ルカと戦った男だなとダリルは思い出した。あの時のルカは相当イラついていたようだが――今なら気持ちがよく分かる。 「HAHAHA! ボクの愛を受け止めてくれ!」 「断る!」 マイキーが【シャイニングラブ】を発動するより速く、ダリルは引き金を立て続けに引いた。 「何の! ボクはまだまだ負けないよ!」 「勝負はもう――」 既に勝負がついているにも関わらず、マイキーはカニのような姿勢でダリルに近づいていく。ダリルはプラチナムを制した。やる気なら、最後まで付き合ってやろうと銃を構える。 ――が。 別に何をしたわけでもない。ただ前か、はたまたその前の試合か、とにかく誰かの攻撃で地面に穴が開いたらしい。マイキーは爪先をそこに引っ掛け、転んだ。 「Oh!」 マイキーは叫んだ。「また折れた!」 こうして愛の戦士は、二度目の今年も骨が折れて退場となったのだった。 「……なんか勝った気がしないんだが」 勝者:ダリル・ガイザック ○第三試合 エリシア・ボック 対 冷 蔵子 今度は最初から冷蔵庫の外にいる蔵子だったが、やけに恨みがましい目でエリシアを見ている。そんな目で睨まれる覚えはないのですが、とエリシアは眉を顰めた。 「行くデス!」 ジャキッ、と音を立てて構えたガトリング銃をとにかく、ひたすら、とことん撃ち続けた。 「冷蔵庫の恨みは、恐ろしいデス!」 パラパラパラッ……。 屋外であることと、精巧に作られてはいるが本物のガトリング銃でないことから、音は軽い。だが無数の弾がエリシアを間断なく襲う。 エリシアは走り回ることでそれを避け続けた。彼女の走った後に、銃痕が並んでいく。 「埒が明きません……」 ままよとばかりにエリシアは突っ込んだ。ちょうどその時、ガトリング銃の弾が切れた。 「次デス!」 ガトリング銃を捨て、蔵子はミサイルポッドを装備した。――が、既にその時にはエリシアが目の前にいた。大きく飛び上がり、木刀を振り下ろす。 「一本!」 蔵子は目を回し、プラチナムが高らかに宣言した。 勝者:エリシア・ボック |
||