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第四回葦原明倫館御前試合

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第四回葦原明倫館御前試合

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二回戦

   審判:プラチナム・アイゼンシルト

○第一試合
ルカルカ・ルー(るかるか・るー)(シャンバラ教導団) 対 轟 平八郎 

 カタルとクリストファーの試合後、前回の優勝者であるルカルカが出てきたため、会場は更に盛り上がった。轟平八郎には、ちとこれが面白くない。
「前回優勝者を倒し、我が『天下一刀流』に弾みもつけてくれようぞ!」
「いくよーっ!」
 そんな平八郎の嫉妬も何のその、ルカルカはあくまで明るい。
 正眼に構え、振り下ろしてきた木刀を掻い潜り、まずは脛を打つ。
「何の!!」
 めげずにかかってきた木刀を正面から受け止め、くるりと回転させる。巻き込まれた木刀は、空高く舞い上がった。
「しまっ――!」
「たあっ!!」
 がら空きになった喉元に、ルカルカの突きが入る。咄嗟に平八郎は目を瞑った。が、いつまで経っても衝撃が来ない。恐る恐る薄目を開けると、ルカルカがにっこり笑っていた。
「どうする?」
「……降参、だ」
 昨年の覇者らしい勝負に、更に歓声が上がる。
「優勝せいよ。優勝者に負けたなら、言い訳が成り立つからな」
「そのつもり」
 ルカルカはもう一度笑って答えた。

勝者:ルカルカ・ルー


○第二試合
ダリル・ガイザック 対 マイキー・ウォーリー

 マイキー・ウォーリー再び。くるくると踊りながら現れたマイキーに、ダリルは呆れた目を向けた。
「さぁ! この場は、ボクと君だけの愛の世界! 存分に【試愛】をしよう!」
「何で試合が愛の世界なんだ?」
 マイキーはこの大会を、相互の愛を確かめ合う「御前試愛」だと勘違いしているのである。……そもそも、そういう言葉があるかどうかはともかく。
 そういえばこの男は去年、ルカと戦った男だなとダリルは思い出した。あの時のルカは相当イラついていたようだが――今なら気持ちがよく分かる。
「HAHAHA! ボクの愛を受け止めてくれ!」
「断る!」
 マイキーが【シャイニングラブ】を発動するより速く、ダリルは引き金を立て続けに引いた。
「何の! ボクはまだまだ負けないよ!」
「勝負はもう――」
 既に勝負がついているにも関わらず、マイキーはカニのような姿勢でダリルに近づいていく。ダリルはプラチナムを制した。やる気なら、最後まで付き合ってやろうと銃を構える。
 ――が。
 別に何をしたわけでもない。ただ前か、はたまたその前の試合か、とにかく誰かの攻撃で地面に穴が開いたらしい。マイキーは爪先をそこに引っ掛け、転んだ。
「Oh!」
 マイキーは叫んだ。「また折れた!」
 こうして愛の戦士は、二度目の今年も骨が折れて退場となったのだった。
「……なんか勝った気がしないんだが」

勝者:ダリル・ガイザック


○第三試合
エリシア・ボック 対 冷 蔵子

 今度は最初から冷蔵庫の外にいる蔵子だったが、やけに恨みがましい目でエリシアを見ている。そんな目で睨まれる覚えはないのですが、とエリシアは眉を顰めた。
「行くデス!」
 ジャキッ、と音を立てて構えたガトリング銃をとにかく、ひたすら、とことん撃ち続けた。
「冷蔵庫の恨みは、恐ろしいデス!」
 パラパラパラッ……。
 屋外であることと、精巧に作られてはいるが本物のガトリング銃でないことから、音は軽い。だが無数の弾がエリシアを間断なく襲う。
 エリシアは走り回ることでそれを避け続けた。彼女の走った後に、銃痕が並んでいく。
「埒が明きません……」
 ままよとばかりにエリシアは突っ込んだ。ちょうどその時、ガトリング銃の弾が切れた。
「次デス!」
 ガトリング銃を捨て、蔵子はミサイルポッドを装備した。――が、既にその時にはエリシアが目の前にいた。大きく飛び上がり、木刀を振り下ろす。
「一本!」
 蔵子は目を回し、プラチナムが高らかに宣言した。

勝者:エリシア・ボック