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リアクション
■ みんなで二度寝 ■
窓越しに、雪が舞っている。
布団に入ったままの体勢で、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)はそれを眺めた。
「雪か……どーりで寒いわけだ」
部屋の中の空気までもひんやりとしている。
ぬくぬくとした布団から出たくなくて、唯斗は今日の予定を脳裏に巡らせた。
今日は学校は休みだ。
他に特に大事な予定も入っていない。
「よし、寝よう」
唯斗は再び目を閉じると、至福の二度寝タイムに入った……。
なかなか起きてこない唯斗の様子を見に来たリーズ・クオルヴェル(りーず・くおるう゛ぇる)は、唯斗の布団を少し揺すった。
「唯斗ー、そろそろ起きたらー?」
呼びかけてみたけれど、唯斗はすっかり眠り込んでいるようだ。
「あーもー、気持ち良さそうに寝ちゃって……」
今日は予定はないはずだから、このまま寝かせておいても良いのだけれど……。
起こそうかどうしようか迷いながらリーズは唯斗を見ていたが、そうしているうちに自分まで眠くなってくる。
(す、少しだけなら良い、よね?)
自分に言い訳しながら、リーズは唯斗の布団に潜り込んだ。
「あー、暖かいー」
布団のぬくもりに眠りに落ちかけた、その時。
唯斗の腕に抱きしめられて、リーズは飛び上がりそうになった。
「え? え、唯斗起きてる?」
狸寝入りしていたのかと思ったけれど、唯斗の寝息は相変わらず静かなままだ。
「ねねね寝てる!?」
どうやらこれは、ただの寝相らしい。
そう気付いたけれど、ドキドキし過ぎてリーズの眠気は吹っ飛んでしまう。
かといって、この状態では唯斗を起こすに起こせない。
(どうしようー)
リーズが焦っていると。
「遅いから様子を見に来てみれば……」
やってきたエクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)が呆れたようなため息をついた。
「えっと、これは……」
リーズが言い訳をするより早く、エクスはさっさと自分も唯斗の布団に入ってきた。
「コレは妾も加わらねばなるまいよ」
慣れた様子で潜り込むと、エクスは唯斗に寄り添った。いかにも自然な仕草だ。
そこに今度は紫月 睡蓮(しづき・すいれん)が走ってきて、エクス、唯斗、リーズと並んで寝ている布団を見て声を上げる。
「あー、姉さんたちズルいですー! 私もまざりまーす!」
無邪気に布団に飛び込んで、睡蓮はニコニコ嬉しそうに言った。
「えへへー、暖かいですー」
睡蓮の純真無垢な笑顔の前には、リーズもエクスも何も言えない。
かくして、1つの布団にぎゅうぎゅう詰め。
雪の降る日の寒さもどこへやら、4人は互いの体温で暖まりながら、とろとろと二度寝を楽しむのだった。
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