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【2020春休み】パーティへのお誘い

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【2020春休み】パーティへのお誘い

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間章二 ――休憩時間(二回目)――


「ドリンクいかがですか~?」
 絶賛女装中! な遙遠はコンサートホール内でドリンクを売っていた。
「一つ下さい」
「はい、ありがとうございます~♪」
 クライス・クリンプト(くらいす・くりんぷと)はドリンクを受け取る。ライブとあってか、彼はジャケットにGパンと薔薇学生としてはラフな格好だ。
「俺にも一つ」
 そこへ今度は虚雲が現れる。気のせいか、まだ顔が青ざめている。
「あれ、顔色悪いですよ、どうしたんですか?」
「上でちょっと、な。大体の料理は堪能した後だったからまだ良かった」
 二人は飲み物を飲みつつ、軽く談笑。その後、見やすい場所に移動する。
 客席では、最後のバンドのライブへ向けて各々応援しようとしている者達が、準備を始めてもいた。
「……ペンライト、どうぞ自由に使って下さい!」
 これまでのコンサートの流れから今がその時と、朔がペンライトを観客に配っている。後に自分の友人の出番が控えているためだ。
「こんさーとというのは、随分熱気溢れるものですな」
 朔のパートナーの尼崎 里也(あまがさき・りや)は会場の写真を撮っていた。特に、ライブ前半は気合を入れていたようだ。

「……さっきの歌、良かったぜ。月桃も、感動してたし」
 刃は月桃を連れてネージュに声をかけた。少しぶっきらぼうな言い方なのは彼の性格のようだ。
「ありがとう。実は、こんな多くの人前で歌うのは初めてだったんだ。喜んでもらえたなら嬉しいよ」
 ネージュは応じる。出番が終わり、客席に来た所で声を掛けられたのだ。しばらく話、二人ともパラミタに来て日が浅いのを知ると、
「……そうでしたら……ぜひとも刃ともどもよろしくお願いします」
「おいおい、俺よりも、月桃と仲良くしてくれよ」

 と、その時である。
 ステージ上に、またもや何者かが上がり込んだのである。
「また? 今度は何をする気かな?」
 一回目の休憩時と同じようにセシリアが警戒する。なぜかその手には野球のバットが握られている。
「ほな、いきまっせ!」
 ステージ上に現れた望月 鈴子(もちづき・りんこ)はPAに合図を送り、曲を流させる。なお、今回は電源も落ちていないので、特にトラブルにはならない。
 ヒップホップダンスを踊る鈴子。キレもあり、なかなかのものであった。
「お、まさかのサプライズ? ダンスまであるなんてなー」
 梓は感心していた。
 一曲終わると、鈴子はステージから下りた。やるだけの事はやりきったようだ。休憩中だったとはいえ、見ていた人は終わった時に拍手を送るほどだった。
「へー、やるじゃんか。良かったよー」
「ありがとな。踊りには自信あるんや。ステージも空いとったし、ちょうどええと思ってな」
 二回目の休憩時間は、突然のダンスパフォーマンスも上手くいき、このまま順調に終わる……かに思えた。

「ふはははは、ステージから見る眺めは絶景だな! まるで世界の中心に立っているようだ!!」
 唐突に、ステージに珍妙不可思議で得体の知れないものが出現した。黒い風船ボディに一つ目と艶やかな唇、そして赤い髪のような触手を持つそれはみるみる膨らんでいく。
「一体、あれはなんだ?」
 恭司がステージへと向かう。なんとなく嫌な予感がしたからだ。
 ステージ上の謎の存在は、鈴子のダンスを見よう見真似で踊っている。が、まるで出来ていなく、不思議な踊りを踊っているかのようだった。
「これはさすがに止めなきゃね!」
 スタッフ数名がステージへ殺到する。
「手伝おう」
 恭司も上がり、みんなでそれを引きずり下ろす。
「何をする!? まだまだこれからだというのに」
 そうは言うが、問答無用で連行される。逃げ出そうと思ったのか、今度は萎み出す。 
「えい!」
 それをセシリアがバットで叩き潰す。気を失ったようで、それは動かなくなった。
「それにしても、なんだろうなこれは? とりあえず、責任者に届けた方がいいんじゃないか?」
 とりあえずスタッフ側は、無線でエミカに連絡を取るのであった。


「さて、今回もいろいろありましたが、気を取り直していきましょう! ここからはバンドサウンドに酔いしれちゃって下さい!」
 
 パーティもついに佳境に入った。