リアクション
※ ※ ※ 調査隊一行は、地下3階に降り立った。 遺跡はますます暗く、ますます静まり返っていた。 戦闘のない移動中にメンバーたちと会話を楽しんでいた大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)も、さすがにこの雰囲気では気軽におしゃべりをすることもなく、黙って歩みを進めていた。 しかし、重苦しい沈黙は、メンバーの気を滅入らせてゆく。 如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は、この空気を打ち破ることにかこつけて、隣を歩くテティス・レジャ(ててぃす・れじゃ)に質問をぶつけてみた。 「テティスさん、訊いてみたいことがあるんだけど・・・・・・」 「え、なに?」 「さっき見たファラールと同じように、俺のパートナーも封印されていたんだ」 「・・・・・・」 当のエミリア・パージカル(えみりあ・ぱーじかる)は、如月 正悟(きさらぎ・しょうご)の袖を指でつまみながらくっついて歩く。 「俺たちの場合、偶然にもエミリアに触れたことで、封印が解けたんだけどね・・・・・・」 「そう・・・・・・でも、今回はマリエルが触れても封印は解けなかったわね」 「うん。でも、きっと封印を解く方法があるはず・・・・・・それより、俺思うんだけど、なぜ、封印されるような状態になったのか、テティスさんの意見を聞いてみたいんだ」 「そうね。ひとつは、強力すぎて倒せないから、封じるしかないという場合」 「なるほど」 「もうひとつは、封印しておくことで、その状態を保ち続けることができるって場合かな・・・・・・この遺跡では、こちらのケースであるような気がするの」 「ほう。じゃあ、もうひとつ訊いていい? 『剣の花嫁』と『十二星華』に関して、テティスさんはどう思ってる?」 「そうね。剣の花嫁は、光条兵器の守護者であり、パートナーの剣となる存在。十二星華は、星剣を用いてシャンバラ女王を陰ひなたから支える存在・・・・・・かな」 「ありがとう、気になっていたことが訊けて、すっきりしたよ」 と、正悟の後ろにいたエミリア・パージカル(えみりあ・ぱーじかる)が口を挟んだ。 「私も、あなたと同じ、剣の花嫁なんですけど・・・・・・もし、自分が記憶が戻ったとき、以前とは全然違う状況だったとしたら、テティスさんならどうしますか?」 「うーん、そうねえ・・・・・・ごめん、それは私にもわからないわ。実際そうなってみないとね」 「確かにそうね。とにかく今は、封印されてしまった人たちの救出が最優先だね」 朝野 未沙(あさの・みさ)もこれに同意。 「そうそう。マリエルさんが無事にファラールさんと再会出来たら、お祝いしようね。マリエルさんの大好きなスイーツ、いっぱい、いーっぱい作るから、楽しみにしててね!」 こういって、傍らにいたマリエルを励ました。 マリエルの不安な顔が幾分和らぎ、調査隊を覆っていた重苦しい雰囲気も、ちょっとだけ穏やかなものに変わってきた。 ※ ※ ※ やがて、調査隊の一行は、小部屋に入った。 と、前を歩いていた数人が入ったところで、上から扉が降りて来て、先に入った生徒たちが中に閉じ込められてしまった。 と、上のほうからゴトゴトと嫌な音が鳴り響く。 「これは、吊り天井だ! 助けてくれー!! 潰される!」 部屋の中から神崎 優(かんざき・ゆう)が絶叫する。 すかさず、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)が、トラッパーで得ている知識と捜索を使って、解除の方法を探し出した。 「上だ。この上に吊り天井を動かしている装置がある。それを壊すんだ!」 「私が行くわ」 秋月 桃花(あきづき・とうか)はそういうや、上空に飛び立って、吊り天井を動かしている装置のスイッチを切った。 間一髪、中にいた生徒たちは救出された。 命拾いした神崎 優(かんざき・ゆう)は、自戒の念をこめて言った。 「ふう、危ないところだった。どこにどんな罠がひそんでいるかわからないから気をつけないと。それに、もし間違った行動をして、マリエルの友人を死なせてしまっては元も子もないからね」 一行は、一層気を引き締めて、奥へと探索を進めていった。 |
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