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リアクション
馴れ初め
ファラールが無事に封印から解放され、ホッとした雰囲気が一行を包んでいた。
遺跡から外へ出るまでの道すがら、生徒たちはパートナーとの馴れ初めを語り始めた。
エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)がロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)に尋ねる。
「それにしても、封印か・・・・・・そういえば、ロートラウトも封印されてたんだよな。でも俺たちは何故か地球上で会った・・・・・・どういう経緯か、詳しく聞かせてくれないか?」
「え、ボクの封印理由を聞きたいの? えっとね、ボクを造ってくれた人は古王国時代の、な技師さんなんだよ。いわゆる『女王様万歳!』な人。
で、そのために『分離形態での広域制圧』と『合体形態での一点突破』のコンセプトを持つ高性能機晶姫として造ったんだけど・・・・・・コストが、ちょっとね。だから、経済的に危険ということで封印されたんだけど、パラミタ復活の際に解けちゃう程度だったし、気がついたら地球にいたんだよ」
「・・・・・・そんな理由だったの?」
「技師さんは偏屈者だったから、合体パーツも、あえてこういう所に封印してたりして。合体してこそのボクだから、合体パーツの封印は厳重かも?ロボットもののお約束だね!」
「・・・・・・こりゃ、デカトリースさん以外の人もずっこけそうだな・・・・・・」
しかし、サン・フォーティーン(さん・ふぉーてぃーん)の語る過去は、パートナーを少なからず驚かせた。
「昔、サンは、本来の主人と契約を交わしてはったんです。その人は心優しく、正義感の強い人物だったとか・・・・・・ですがある日、主人とサンは大量抹殺事件を起こしてしまいました」
岬 蓮(みさき・れん)とアイン・ディアフレッド(あいん・でぃあふれっど)は、初めて聞くサンの過去に、固唾を呑んで見守った。
サンは続ける。
「主人は身代わりとしてサンを封印し、そのまま逃げはったそうです。それで、サンはそのまま35年間眠らされていました。そやから、サンは今でも主様を恨んでるんどす。けど何故か、主様は、ほんまは心まで裏切ってないのではとも思うんどす・・・・・・恋する者の気持ちは、複雑どすなぁ」
岬 蓮はほうっとため息をつく。
「そうだったのか。私がサンの封印を解いたときは、ただ氷の中に人がいて、なんだろうって思って近寄っただけなんだけどね」
「蓮様、助けてくれてありがとな。サン、今回のマリエル様の気持ちがハッキリわかるんどす。大切な人を助けたい。そんな強い心が。だから、その思いを裏切らず、2人が再会できて、ほんまによかった・・・・・・」
アインも目を丸くした。
「ただの恋愛好きのナンパ馬鹿なアホかと思ってたけど・・・・・・うーむ。長き年月を経とうと、誠の心を持つ友がいる、か。いや、ファラール、貴様は幸せ者やな」
ファラールや他の生徒たちの昔話に、屍枕 椿姫(しまくら・つばき)は共感を持って、耳を傾けていた。
「私も、封じられていた期間の絶望感は理解できますね。私の場合、魔道に堕ちたため兄弟の子孫達に疎まれて・・・・・・というのが封印の経緯なので、ちょっと状況は違いますけど。でも、マリエルとファラールも、今後はお互い心の在り方を一緒に考えていって欲しいです」
ひととおり、馴れ初め話が済むと、シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)はファラールに質問をしてみた。
「パートナーのリーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)のことなんだけど、十二星華ティセラにそっくりなんだ。姿だけならオレのせいかもしれないけど、光条兵器まで似過ぎなんだよな。本人が記憶ないっていうし、五千年前の事から何かわからねぇかな? リーブラも知りたがっているんだよ」
しかし、ファラールは首を横に振った。
「ごめんなさい。十二星華のことは私にもわからないわ」
「そうか、わかった。なら仕方ないな」
やがて一行は、ようやく陽光あふれる地上へと出てきた。
※ ※ ※
何日か経って・・・・・・
「ファラールも蒼空学園に来たら、いつもマリエルと一緒にいられるよ」
こうアドバイスする
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)にしたがって、ファラールは蒼空学園に入学することになった。
彼女が、現在のシャンバラに慣れることも含め、学園で一緒に勉強を始めたのだ。
佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は、仲良く並んで勉学に励む2人を、優しいまなざしで見つめていた。
「よかったよかった。さて、調査も終わったことだし、遺跡近くの植物や、遺跡内部の菌類調査でもはじめましょうかねぇ」
おわり
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担当マスターより
▼担当マスター
ヴァイオリン弾き
▼マスターコメント
こんにちは。マスターのヴァイオリン弾きです。
みなさん、今年はお花見に行かれましたか?
春は出会いと別れの季節。
今回のストーリーも、長年別れ別れになっていたパートナー同士が再会するという話です。
みなさんのキャラクターにも、出会いの馴れ初めを話す場面がありましたが、過去の話をどう表現しようか、感情移入できているのか、ちょっと心配です。
あらためて、蒼空のフロンティアの世界設定は深いな、と感じました。
また、みなさまとお会いできますことを楽しみにしております。