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マリエルの5000年前の友達

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マリエルの5000年前の友達

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地下1階

 遺跡の地下1階に入ると、そこは黴臭い空気で満たされていた。

 長年、外界と接触を絶ってきた空間であることを、よどんだ空気が物語っている。

「よしっ! おもいっきりやっちゃってもいいんだよね!」

 最初に遺跡の中に足を踏み入れたミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)は、勇みながらも、慎重さを忘れていない。

「罠とか罠とか、そんなのは関係ないさっ! ・・・・・・って言いたいところだけど、今のところ中の様子を知ってる人もいないようだし、注意して入っていこうかな?
 まぁ、今回は迷宮探索の専門家もいるし、敵さんが出るまではおんぶにだっこで楽させてもらうもんね」

「HAHAHA、ワタシも楽したいヨ。ここに隠れていれば、凱に見つかることもないだろうからネ」

 こういうのはヤード・スコットランド(やーど・すこっとらんど)。彼女は、パートナーである桜田門 凱(さくらだもん・がい)の人間性に耐え切れず、いつも逃げ回っているのだ。

 と、同じく人間嫌いの八雲 緑(やくも・るえ)が、ローグ特有の直感でヤードの危険を察した。

「ん? 誰か来る。ヤード、そこに隠れて!」

 そこにやってきたのは、どこで拾ったのか、ヴァンガードエンブレムを身につけた男だった。

「フフフ、このエンブレムがあれば、ヴァンガード隊員の振りをして発掘に協力できるぜ。ま、俺自身ペーペーだから大した事はできないけど・・・・・・真面目なフリをしていれば、テティスの覚えめでたいってことになるかもしれないからな」

「げっ、凱が、こんなところまでやってきたヨ・・・・・・」

 ヤードの困惑を察した神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)が、すかさず機転を利かせて二人を引き離しにかかった。

「桜田門さん、あなたも発掘調査に来られたのですか? この遺跡、見た目の割には、階数ありそうですね? それに、古いようですから、色々注意が必要です。自分は回復役ですから、なにかあったら支援しますよ。さあ、こちらへ一緒に行きましょう。」

 そういって桜田門 凱(さくらだもん・がい)を連れて行く神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)の後姿に、ヤード・スコットランド(やーど・すこっとらんど)は後光を見た。

※ ※ ※


 遺跡の地上階と地下1階には何もなかった。

「やっぱりこの階層はフェイクだったんだな。本命は地下2階だ!」

 佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)は、自身の第六感と【捜索】の特技から、こう断定した。

 ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)も弥十郎に同意する。

「上層は既に調べつくしてあるので、やはりマリエルが落ちたところが怪しいですね。ファラールがいるという地下2階が。ま、調査のスピードは年季が違いますから」

 そこで、調査隊の一行は、以前マリエルが落ちた穴から、地下2階へと降りていった。