空京

校長室

【選択の絆】夏休みの絆!

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【選択の絆】夏休みの絆!

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『泣いたり笑ったり夢見たり筋肉痛ったりツアー 1』
「え、今なんて?」
「だから、行軍訓練に参加しろっていってんの」
 遊ぶ気マンマンのワレーメッワ・ドラゴンウォーター(われーめっく・どらごんうぉーたー)と、それを許さない長尾 沙織(ながお・さおり)
「いやだってこんな素敵な浜辺が目の前にあるのよ? どうして訓練をするの?」
 チョビ髭をはやしたおねぇ口調の残念なイケメンが真顔で答える。
 それを見た沙織のこめかみに青筋が走る。
「そりゃお前がどこにどう出しても恥ずかしくないくらい軍人顔だからだよ」
「そんな! あたしみたいな乙女が訓練に参加したら死んでしまうわ!」
「おう、いっそ死ね。死んで強くなれ」
 沙織のぶったぎった発言にワレーメッワの体内にアラートが走る。
「……あたしの膝ががくがく笑う(予定)! 走って逃げろと心が叫ぶ!」
「……逃げる、だあ?」
「あ、はい、ごめんなさい参加します……」
 沙織の気迫に為す術なく行軍参加が決定したワレーメッワ。……少しなら泣いてもいい。
「……ようしてめぇら覚悟はいいな? みんな愛してるぜーーーー! ブートキャンプの始まりだー!」
「もう、やってやるであります!」
 沙織の掛け声に覚悟を決め、口調と気持ちを切り替えたワレーメッワが走り出す。
「すごい気合。負けてらんないや!」
「そうだね。僕たちも教導団として全力を尽くさなくては」
 ワレーメッワのヤケクソ気味の気合に感化されるはシャレム・アシュヴィン(しゃれむ・あしゅう゛ぃん)シャヘル・アシュヴィン(しゃへる・あしゅう゛ぃん)
「俺たちも頑張らなきゃだけど、ポムクルさんとも頑張らないとな」
「訓練なのだー」
「やってやるのだー」
 傍ら、というか足元にいるポムクルさんを見下ろすシャレム。
「今回はポムクルさんの訓練も兼ねてるんだから、一緒に励ましあっていかないと。頑張ろうぜ! ポムクルさん!」
「でもあついのだー」
「あそびたいのだー」
 訓練の根本を否定するようなことを言うポムクルさんに、思わず笑いがこみ上げるシャレムとシャヘル。
「自由でいいですね。でもちゃんとやらないと、我が団長は怖いですから」
「きょうふせいじなのだー」
「やっぱりがんばるのだー」
「……そうだよな。団長主導の訓練なんてそうそうないよな」
「ええ。だからこそ、真面目に頑張らないと」
 シャヘルの言葉に、シャレムが気持ちを新たにする。
「よし! ポムクルさんとも頑張んなきゃだけど、一番は自分の訓練だな! 全力でこなしてやる!」
「そうだよ。僕も頑張るからさ」
「っしゃー! いくぜー!」
 気合を新たに、ワレーメッワたちに続くように浜辺を走り出す二人。
「いやー歩兵部隊も精がでるね」
「余所見をするな。何時如何なるときも、迅速な対応ができるよう前方を見張れ」
「へえへえ。……ったく、なんでオレが操縦しなきゃいけないんだ」
「何か言ったか?」
「いいえ〜? なにもー?」
 真紅のイコン枳首蛇の操縦席には叶 白竜(よう・ぱいろん)世 羅儀(せい・らぎ)が登場している。
 普段は白竜がメインパイロットだが、訓練ということもあり現在は羅儀が操縦を行っていた。
「というか、ポムクルさんを全部オレに任せるなよ。お前も責任もって育てろ」
「私は他の訓練兵を見定めたい。そちらは任せる」
 きっぱりとした白竜の否定にため息をつく羅儀。
「ま、こうなるとは思ってたよ。……あっちはどうかね」

「正子……見ていてくれ……」
「いや、この訓練は団長主導だから。正子校長はここにはいないからな?」
 量産イコン機であるマリアに乗り込んでいるのは裏椿 理王(うらつばき・りおう)桜塚 屍鬼乃(さくらづか・しきの)
 情報科所属の二人は普段前線にでることはない。愛機であるマリアも通信系の任務で使用する程度で戦闘は滅多に行わない。
 だが、戦場では何が起こるかわからない。それに備えてこの訓練に参加した、というところだ。
「いやー叶少佐のイコンに追いつくのも難しいくらいだねこりゃ」
 苦笑しながらも必死に白竜のイコンに追い縋る理王。
「量産機で、おまけにパイロットが情報科所属なんだ。追いつけてるだけ上出来上出来」
 屍鬼乃も苦笑いを浮かべながら相槌をうつ。
「……ん。ありゃなんだ?」
 理王が見つけたのは小さな飛空艇が二つ。片方には相沢 洋(あいざわ・ひろし)、もう片方には乃木坂 みと(のぎさか・みと)の姿がある。
「よき眺め、ですわ」
「……」
 浜辺を行軍する訓練兵たちを見やりる二人。その二人がこれから一体何をするか。
「……ただの行軍じゃないってことか」
『こちら枳首蛇。前方の飛空艇、片方は任せる』
「え、ええ!? ちょっと!?」
「了解なのだー」
『ああ』
 突然の白竜からの通信に呆然とする理王に変わり、ポムクルさんが通信を返す。
「へー、結構やるじゃん。もうちょっと通信してみない?」
 ポムクルさんが通信したことに意外そうな顔をしながら、無線機をポムクルさんに渡す屍鬼乃。
「と、とりあえずやるっきゃないか!」
 既に動き出している白竜に負けじと行動を開始する理王。