空京

校長室

【選択の絆】夏休みの絆!

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【選択の絆】夏休みの絆!

リアクション


『泣いたり笑ったり夢見たり筋肉痛ったりツアー 3』

 一方、その頃の行軍風景。
 それまで砂地に足を取られながらも必死に走り続けていた訓練兵・ポムクルさんたちは皆、はいつくばって匍匐前進をしていた。
「さあ! 丹田を、おへそを鍛えるヨ! 20キロなんてあってないようなものネ!」
「静かに訓練に集中しなさい。それと、20キロないわよ」
 嬉々として訓練に参加したロレンツォ・バルトーリ(ろれんつぉ・ばるとーり)と、この訓練メニューに疑問を感じながらも真面目に訓練を行うアリアンナ・コッソット(ありあんな・こっそっと)
「浜辺近くで匍匐前進の訓練って、そんな戦場があるのかしら……」
「一番重要なのはおへそを鍛えることヨ! 東洋の神秘的呼吸法に大切なポイントてきくからネ」
「……本当にオヘソが鍛えられるのかしら?」
 軍服に身を包んだアリアンナからは疑問の念が絶えない。
「しかし、いくら20キロはないと言ったって長いよなあ」
 匍匐前進で砂だらけになりながらカル・カルカー(かる・かるかー)が呟く。
 そのカルの呟きを聞いていたドリル・ホール(どりる・ほーる)がぜえぜえしながら喋りかける。
「お前は、まだ、いいだろ。こっちは、衣服が、気ぐるみが、水吸って、重いったら、ありゃ、しな、い……」
「おおー、いつも元気なドリルも水を吸って力がでないんだな……頑張れ」
 普段では見られない自分のパートナーの様子に励ましの言葉をかけるカル。
 返事はないもののドリルも匍匐前進だけは続けていた。
「ポムクルさんたちにはなるたけ攻撃には転じないように言ってるけど、わかってんのかなあ?」
「こうげきしないのだー」
「戦いません、みつかるまではなのだー」
 可愛らしい返事をするポムクルさん。
「……イマイチはっきりしないんだよなあ」
「ポムクルさんもおへそを鍛えるネ!」
 すぐ横で匍匐前進をしていたロレンツォがカルに近寄り、ポムクルさんに話しかける。
「ちょ!? しー!」
「おーソーリーネ!」
「あはは、君たち余裕で楽しそうだねー? 訓練中もその心意気やよし!」
 ロレンツォとカルのやりとりを見ていた琳 鳳明(りん・ほうめい)が笑いながら話しかけてくる。
「でもあんまり喋ってばっかりいると危ないよ〜? 匍匐前進は意外と難しいのです!」
「そう、なのか?」
 虫の息のドリルの問いに、さわやかな笑顔を絶やさずに鳳明が答える。
「匍匐前進は踵がちゃんと地面に付いてないと、狙い撃ちにされるんだよ? こんな風に、バーンってね」

バーン!

 ロレンツォの踵近くで本物の銃が火を噴く。
「オー……」
「踵を撃たれたら匍匐前進、普通の歩行だって難しくなる。そうなったら見捨てられちゃうから気をつけるの。痛くて辛いけど、頑張ろう!」
 引き金を引いてもなお笑顔、それが少しだけ怖いと感じるロレンツォたち。
「そうか……なら安全をいの一番に確保しないとな! うおおお! 燃えてきたぜ!」
 銃声で目覚めたのか、ドリルが物凄い勢いで匍匐で前進していく。
 瞬く間にその姿は点となった。
「……体力面じゃ勝てそうにないなあ」
「あら、じゃああっちで座学もやってるけど?」
 鳳明が指した方向ではセラフィーナ・メルファ(せらふぃーな・めるふぁ)がいろいろな質問に答える、何でも質問コーナーが開かれていた。
「レーションはなぜまずいのだー」
「レーションに美味しさなど必要ないからです。レーションはあくまで配給物、美味しいご飯が必要であれば自分で確保すればよいのです」
 厳しい日差しの中でも彼女の笑顔が曇ることはない。
「とはいっても実際の軍事最中に独断での行動は許されませんので、レーションなどで我慢していただく必要はでてきますね」
「まずいのはいやなのだー」
「最低限の栄養を考慮したものですから、味は割り切った方がよろしいかと。とは言っても最近では味を考慮したものもあります」
「ならあんしんなのだー」
 美味しいレーションもあることを学んだポムクルさんもまた一つ賢くなった。
 その様子を遠めに見ていたカルが気合を入れなおして匍匐前進をする。
「……やっぱり体動かしてた方がいいな! さあ、ドリルに負けないぞー!」
「ワタシもおへそを鍛えるよー!」
「オヘソというか、全身鍛えられそうね……」
 三者三様の言葉を砂地に残して訓練は続いていく。
「匍匐前進……うん、これはいい全身運動だね♪」
「や、ヤバイ、かも……」
 同じように匍匐前進をしていたミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)イシュタン・ルンクァークォン(いしゅたん・るんかーこん)
 ミルディアのほうはまだまだ元気そうだが、イシュタンの方はそうでもない。
「まだまだ! この程度じゃダイエットにもならないよ!」
「そもそもこれは訓練なんだけど……」
「丁度いいよ♪ 結局体を動かすことには代わりないんだしねっ!」
 ここまでの行軍もなんのその、身をよじりながらぐいぐいと前進していくミルディア。