空京

校長室

【選択の絆】夏休みの絆!

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【選択の絆】夏休みの絆!

リアクション


『泣いたり笑ったり夢見たり筋肉痛ったりツアー 2』

「……爆撃開始!」
 洋の発声と共に二艇の小型飛空艇がスタートする。
「さあ、どうする」
 ラスターハンドガンと『クロスファイア』を併用して、空から弾雨を降らせ訓練兵たちを急襲する。
「こっちもいきますわよ?」
 洋だけではなく、パートナーであるみとも攻撃を開始。
 火術を爆撃、氷術を機銃掃射に見立てて訓練兵めがけて放つ。
『そうはさせないってね!』
 その攻撃を予見していた羅儀が自身のイコンを盾にして防ぐ。
「大胆不敵ですわね」
「だが、こちらはどうする」
 洋の攻撃は訓練兵たちへと降り注ごうとしている。
『そうはいかんざきなのだー』
 ポムクルさんの声と共に現れたイコン、マリアもその身を盾にして攻撃を防ぐ。
「ふむ。この程度の攻撃ならばイコンの身一つでも十分に防げるか。こちらも勉強になった」
 咄嗟に割り込んできたイコン二機に感心しつつ、自身への教訓にもする洋。
「洋さま。今度はわらわたちが攻撃される番のようですわ」
「うむ。それくらいしてもらわなくてはな」
 攻撃を防いだ二機のイコンが反撃を敢行。しかし、飛空艇の機動力の前に中々当てることができない。
『あたらないのだー』
『くそ、オレはこういうの向きじゃないってのに』
 標的を絞れない二機を翻弄し続ける二艇。
「……むっ」
「他の訓練兵たちも攻撃に参加してきていますわね」
 イコンだけではなく、訓練兵たちの銃撃が二人を襲う。
 さすがの手数に攻撃を避けきれず、飛空艇が徐々に損傷していく。
「……少々対応するまでに時間を要した。だが、まったく対応できないわけではないか」
「さて、どうしましょうか」
 飛空艇の損傷がつもりにつもり、最早限界というところまできていた。
「……機体が壊れても、こういった使い方がある」
「その通りですわね。飛ぶだけではない、奇抜な戦術。それはつまり、こういう手段ですわ」
「機体ブースター点火! 最大出力! ベイルアウト!」
 洋がそう言うと同時に二人は飛空艇から身を投げ出した。
 無人となった飛空艇は、二機のイコンをすり抜けて訓練兵たちへと向かっていく。

ちゅどーん!

「うわー!?」
「なんなのだー」
 訓練兵やポムクルさんたちが慌てふためく。飛空艇から、ではなく飛空艇で、攻撃されたのだ。無理もない。
「奇策への対応は零点だな」
「まだまだですわね」
 洋はパラソルチョコ、みとは『我は纏う無垢の翼』を使い空から訓練兵たちを見つめ、評価を下していた。
「まだまだだな」
「……はいはい」
「しょ、正子……見ていて、くれ……」
「だからここにはいないって。はーい元気よくいこー」
 イコンに搭乗していた四人も、最後まで味方を守ることができなかった戒めとして、行軍に生身で参加するのだった。

「こ、これが契約者の力……」
「圧巻、だな」
 一連の光景を目の当たりにしていたマユミ・フジワラ(まゆみ・ふじわら)ユウト・ツカハラ(ゆうと・つかはら)が立ちつくす。
 彼女たちもまた契約者ではあるが、まだ未熟な部分も多い。
 その未熟さを鍛えるために行軍へと参加したのだ、のっけからの激しい攻防。
 それを見ていることしかできなかったのだ。
「これが、世界を飛び回り様々な脅威を振り払ってきた方々の力なのですね」
「負けてられないとは思うが、少し不安になるな。……いいや、泣き言はよくないか。ポムクルさんたちにも見せたくないし」
 足元には必死に行軍を続けるポムクルさんたちがいた。
「……ポムクルさんにも、他の人にも負けてられない。私には守るべきものが、あるんだから」
「立派な心がけね? でも心がけじゃだめよ?」
「!?」
 後ろから漂う鬼とか負とか、そんな感じのオーラに驚いたユウトが後ろを見る。
 そこには、何故か笑顔を浮かべたセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)がいた。傍らにはセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)の姿も。
「なんで片方のおねえさんは水着なのだー」
 ポムクルさんがセレンとセレアナの姿を見てそう呟く。
「それはね、私が教導団で、この訓練に教官として招集されたからよ? バカンスを楽しもうとした矢先に、ね」
「まあ、そうなるわね」
 いつまでも笑顔を絶やさないセレンと至って真顔のセレアナ。
「お二人とも、お若いのに教官なのですね」
 異様な二人にも怖気ず、マユミがそう尋ねる。
「そう、若いのにね。本当は、あっちの浜辺で遊んでるところに混ざりたいんだけどね……ふふ、ふふふ」
「ああ、二人とも下がった方がいいわ。もう限界だと思うから」
 セレアナの言葉も虚しくついにセレンが吹っ切れる。
「さあ、あんたたち! やるからには死ぬ気でいくわよ! 生き残るための全て、死ぬ気で! 獲得しなさい!」
 セレンの表情から笑顔は消え、鬼のような形相が姿を見せる。
「遅かったか……」
「は、はい!」
「が、がんばります!」
 セレアナのため息と、マユミとユウトの元気な返事が浜辺に響き渡る。
「ポムクルさんも、可愛いからって容赦はなしよ! 一人前の兵士になるまで、今日は終わらないと思いなさい!」
「おになのだー」
「鬼で結構よ! さあ、いくわよ!」
 鬼教官セレンが右腕を天へと突き上げるのを見て、マユミとユウト、ポムクルさんも同じように利き腕を突き上げる。
「「お、おおー!」」
「おおなのだー」
「声が小さい! セレアナも声出して!」
「はいはい」
「はいは一回!」
 暴走し始めたパートナーを見やり、「絶対、バカンスが中止になったことと無縁ではない暴走ね」、
 と思うものの口には出さないセレアナ。
「全力で、あの憎い憎い憎い太陽のやつをぶっとばせるくらい強くなるわよ!」
「「おおーーー!!」」
「おおなのだー!」
「……はあ」
 こうして、どこぞの軍曹もはだしで逃げ出すレベルの厳しくも、心強いセレン教官と、
 それをうまくフォローしてくれる苦労人のセレアナ教官が加わる。
 マユミとユウトとポムクルさんは果たして無事に帰ってこれるのだろうか。
 音を上げる者は、まだいない。