空京

校長室

【選択の絆】夏休みの絆!

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【選択の絆】夏休みの絆!

リアクション


『泣いたり笑ったり夢見たり筋肉痛ったりツアー 6』

「あのような襲撃があるとは……油断しすぎていたか」
「いやはや、さすがルカさんや団長と言うべきだね」
 そう呟きながら、ラストをひた走るクローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)セリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)
 その後ろにはここまで共に行軍をしてきたラック・カーディアル(らっく・かーでぃある)イータ・エヴィ(いーた・えびぃ)エールヴァント・フォルケン(えーるう゛ぁんと・ふぉるけん)の姿……と。
「せっかく終わりだと思ったのに……ようやく、女の子とデートできるはずだったのにー!」
 魂の叫びを放つブレない男、アルフ・シュライア(あるふ・しゅらいあ)の姿があった。
「もう今からじゃ無理だって、諦めて最後まで訓練尽くしでいこうよ」
 嘆くアルフにエールヴァントが声をかける。
「まあ確かに。俺もできることなら海で遊んでたかったかな」
「でもでも! これだけ苦労して訓練の後ならすっごーく! お料理が美味しいはずだよ!」
 ラックとイータもアルフに喋りかける。
「メシはうまいかもしれんが、やはり……デートが、したかった……」
「こら、あんまり油断していると先ほどのように手痛い襲撃を喰らうぞ」
 落ち込むアルフを見かねたクローラが背中を叩く。
 と、同時にアルフがジト目でクローラを睨む。
「……お前はいいよなあ。恋人と、いつだって、訓練中でも! イチャつけるんだから!」
「別にそういうことはないのだが」
「うるさい、お前に俺の気持ちはわからんだろうさ!」
 うおおおおおお!と言いながら全力ダッシュで浜辺をかけていくアルフ。

―――教導団同士でイチャつけるのなんてお前くらいだああああぁぁ……。

 アルフの叫びが波間へと吸い寄せられていく。
「ま、まだいける、はず……」
「ルースさん、ファイトっ、です」
「う、うおおおおおおっ!」
「……まあ、そう滅多にないことだよね。ははっ」
 教導団同士の夫婦の二人を横目にしつつ、エールヴァントが苦笑する。
「でもクローラもアルフのように、大胆にアプローチすることは大切だよ?」
「占いか……善処はしよう」
「あらら、これじゃますます僕はお邪魔かな?」
 クローラをからかうラックとセリオス。その足取りはまだまだ軽やかだ。
 ならば、と言わんばかりに最後の大仕掛けが動き出す。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ{/arge}ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!?

 突如として地面が激しく揺れる。足元もおぼつかないほどに。
 『震天駭地』。これがルカから訓練兵から贈られた最大級の仕掛け。
「な、なんなのだー!」
「慌てるな! 離れず、揺れが治まるまで待機するんだ!」
 クローラの一喝にポムクルさんたちも従う。
 やがて、揺れが静まる。突然の激しい揺れは、疲弊した訓練兵たちに心のダメージとしてのしかかる。
 全ての参加者は歩みを止め、訓練は壊滅状態に追い込まれる。
「まさか、ラストでこんなことをしてくるとはね……」
「さすがルカさん、容赦なしだ……」
 ラックとセリオスも驚きを隠せないでいた。しかし、クローラはすぐに行動を開始。
「言ってる場合か! 手分けして負傷兵の応急処置をするぞ! ここまできて、リタイアなどさせるか!」
「そうだよ! もう少しで美味しいご飯タイムなんだから、みんなで食べなきゃ!」
 クローラとイータが負傷した兵たちへと走り出す。
「うん、その通りだ。さすが僕のパートナーはいいことを言うねっ」
「リア充は行動的なんでしょうかね。爆発すればいいのに」
「そのうちするよ。幸せの爆発をね」
 その言葉を最後にラックとセリオスも二人の手伝いに走る。
「それじゃ僕はとりあえず、あっちで伸びてるアルフを助けようかな」
 エールヴァントも走る。伸びている自分のパートナーのもとへ。
 彼らの迅速な対応のおかげで多くの訓練兵たちが立ち上がることができた。
 感謝の印を、クローラに告げる訓練兵たち。

「あ、ありがとうリア充爆発しろ」
「助かったよ〜リア充爆発だねー」
「さっすがリア充だ末永く爆発しろっ!」

 これは全て感謝の言葉である。繰り返す、これは全て、感謝の!言葉である。
「クローラばくはつするのかー?」
「いや、これはお祝いの言葉なのだよ。……多分」
 この感謝の言霊たちにはさすがのクローラも苦笑いをするしかなかった。