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リアクション
女王ポムクルさんを救出せよ 1
そのころ、イーダフェルト2号の別の場所では。
ニキータ・エリザロフ(にきーた・えりざろふ)が、
ポムクルさんたちに女王ポムクルさんの居場所を聞き出そうとしていた。
「ナノダーコロスー」
「はいはい、いいからさっさと白状しなさい」
捕獲されたポムクルさんはジタバタ暴れている。
「ここは吾輩、名探偵ニャームズの出番であるな」
三毛猫 タマ(みけねこ・たま)が、ひげを前足でゴシゴシこすり言う。
「あんた、そんな名前じゃないでしょ?」
「見た目は三毛猫、頭脳はポータラカ人、その名は……ッ」
「はいはい、色々やばいから黙りなさい」
ニキータはタマの口を押える。
「ナノダージケンナノダー」
「ナノダーメイタンテイハ、イクサキザキデジケンニマキコマレルノダー」
「あんたたちも何言ってんの。
明後日の方向に話飛んじゃったけど、
女王ポムクルさんの行方はどこなの?」
「ナノダージョオウハツカマッテルノダー」
「やや、どこに捕えているのだ?
吾輩ならば、せっかくの実験体、いろいろと研究をしたいところであるが……」
「ナノダーコンゴウサイボウトガッタイナノダー」
「なんですって!?
混合細胞はデヘペロが破壊しようとしてるのよ。
早く救出しないと」
ニキータが慌てる。
「ふむ、吾輩の推理どおりだったな!」
タマがドヤ顔で言う。
「別に推理してないでしょ。
とっとと行くわよ!」
ニキータはタマとともに、女王ポムクルさんのもとに向かうのだった。
■
「ここが要塞の最深部!?
女王ポムクルさん!」
董 蓮華(ただす・れんげ)は、
震天駭地で、ゆる族型起動歩兵をぶっ飛ばし、
スティンガー・ホーク(すてぃんがー・ほーく)の率いる傭兵団と、
飛行機晶兵たちとともに、
イーダフェルト2号の最深部にたどり着いたのだった。
「ぐごごごごですぅなのだー」
女王ポムクルさんは、混合細胞と合体し、いろいろとうねうねしたものが生え、
要塞の動力部につながれていた。
「なんだか、前にもこんなことあった気がするのですよ。
こんな邪悪なアールキングとデヘペロの混合細胞を動力にするなんて、
何を考えてるのですぅ」
土方 伊織(ひじかた・いおり)は、
改めてポムクルさんたちの発想にあきれていた。
「ぐごごごごですぅなのだー」
「お嬢様、やはり、ここは破壊するしかないのではないでしょうか。
女王ポムクル様も死んでも死なないはずですし」
サー ベディヴィエール(さー・べでぃう゛ぃえーる)が、
正気を失っている女王ポムクルさんを見て言う。
「でも、悪のポムクルさんにつかまってるわけですから、
今回は女王ポムクルさんは被害者なのですよ」
「わかりました。お嬢様、さすがお優しい。
では、周囲を破壊して助け出すことにいたしましょう」
伊織とベディヴィエールは、身構える。
一方、ロイ・グリーン(ろい・ぐりーん)は、
忘年会に出たがっていたのを、
パートナーのエドワード・ゲネス(えどわーど・げねす)に連れてこられていた。
「女王さん、この要塞の操縦一寸貸してくれない?
俺、お台場に行きたいんだよ」
ロイの空気を読まない発言にエドワードがハリセンで突っ込む。
「こんな時に遊んでる場合か!」
「どこから出したんだよハリセン」
「そんなのはどうでもいいんだよ!」
「だって、忘年会出られなかったんだし。
忘年会の後は新年会とか初詣だろ。
お台場もいいぞ。
な? 女王ポムクルさん?」
「そうですよ、女王ポムクルさん。
ハワイより日本の方がサービスは良いし、温泉も食事も豪華に楽しめます!」
「日本の温泉は料理の種類も豊富で、
温泉の質も素晴らしく、美肌効果抜群です」
蓮華とスティンガーが、
女王ポムクルさんを説得する。
蓮華の連れてきた悪に染まっていないポムクルさんたちも同意する。
「ダメだこいつら……」
エドワードはツッコミの手が足りずに脱力していた。
「なのだー、ニホン、オンセン……」
女王ポムクルさんは楽しげな話に少し反応するが。
そこに、水原 ゆかり(みずはら・ゆかり)と
マリエッタ・シュヴァール(まりえった・しゅばーる)が、
問答無用で攻撃を仕掛ける。
「女王ポムクルさんには一時的に死んでもらって、
事態を収拾!
そのあと、ハワイの手前でイーダフェルト2号を止めて、
ハワイでバカンスするわよ!」
「どうせ悪に染まってしまっているんだったら、
さっさと倒して平和にするべきよね。
悪の女王ポムクルさん、覚悟しなさい!」
「ぎゃーなのだーですぅー!?」
「私達の貴重なお正月休みがかかっているのよ!
せっかくだしさっさと事件を解決して
ハワイで過ごす時間を増やすんだから」
「というわけだから、悪の女王ポムクルさん、早く倒されて!」
しかし、ゆかりとマリエッタの攻撃で、
女王ポムクルさんの周りにうねうね動いている
機械だか触手だかよくわからないものが破壊されていく。
「はわわ、早く女王ポムクルさんを切り離すのですぅ」
「はい、お嬢様!」
伊織とベディヴィエールが、女王ポムクルさんを救出しようとする。
「ふははは!
そうはいくか!」
そこに、高笑いとともに悪の軍団が登場した。
「ふははは!
我が名は世界征服を企む
悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス(どくたー・はです)!
くくく、女王ポムクルさんの身柄は、我らオリュンポスがいただいた!
無事に返して欲しければ、
イーダフェルト2号をハワイへと向かわせるのだ!」
ドクター・ハデス(どくたー・はです)が、
悪のポムクルさんに協力しているのだった。
「悪の秘密結社オリュンポスは福利厚生の充実で有名な組織!
戦闘員たちの親睦を深めるためにも、
社員旅行はとても重要な行事なのだ。
我々のハワイ旅行のため、このイーダフェルト2号は使わせてもらうぞ!」
「了解しました、兄さん!
私達オリュンポスのハワイへの社員旅行、
誰にも妨害はさせません!」
最愛の兄のため、高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)が、
「あなたのためなら死ねる!」状態となり、
魔法少女に変身する。
「私達の旅行のためなら、
ハワイの一つや二つ、滅んでも問題ありません!」
「何言ってるの、
ハワイが滅んだら私たちのバカンスが台無しでしょ!」
「滅ぶのはあなたたちだよ!」
ゆかりとマリエッタが宣言する。
「ああっ、女王ポムクルさんが捕まっちゃったのですよー!」
ゆる族型起動歩兵たちが、伊織たちの元から女王ポムクルさんを連れていってしまう。
「ナノダーコロスー」
「ククク、よくやったぞ、我が戦闘員たちよ!
さあ、敵を排除せよ!」
ハデスは怪人っぽくゆる族型起動歩兵を従え、ご満悦であった。